ニュージーランドでの離婚に関する法律について教えてください。(前編)

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「困ったときの法律駆け込み寺」日本とは勝手が違い、戸惑うことも多いニュージーランドの法律。現役弁護士がお答えします。

夫の不倫が許せず、離婚を考えていますが、穏便に、でも私に有利になるような形にしたいと思います。
ニュージーランドでの離婚に関する法律について教えてください。(前編)

離婚について考える際、まず知っておいていただきたいのは、ニュージーランド在住日本人の離婚問題に関する準拠法は、①日本法、②ニュージーランド法、③その他第三国の3つに大別されるということです。ご自分たちの司法管轄や準拠法がどこになるかは、「夫婦の生活拠点がどこにあったか」、「家族はどちらにいるのか」、「どれくらいニュージーランドにいるのか」、「日本での婚姻期間がどれほどあったのか」などさまざまな要因から決定されますので、個別に弁護士にお問い合わせしてください。では、今回と次回の2回に分けて、離婚に関する家族法の基本概念についてお話していきましょう。

日本法では、2名の証人がいれば、離婚届を役所に提出することで離婚が成立します。ここで問題なのは「夫婦が協議した結果、合意をして離婚をしたのか」ということです。離婚協議中に、悪意ある一方が離婚届に判を押し役所に届けてしまうこともあり得ます。これを防ぐためには、離婚がちらついてきたら不受理申出を役所に提出し、役所が離婚届を受け取れないようにする手段があります。

話し合いが決裂し離婚話が前に進まない場合は、裁判所による調停となり、それでも合意に至らなければ裁判になります。裁判で必要となる離婚原因には、①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上生死不明、④回復の見込みがない精神病、⑤その他、婚姻を継続しがたい重大な事由、があります。②の悪意の遺棄とは、生活費を払わないなど共同生活を送る上での義務を放棄していることを指し、⑤の重大な事由とは、性格の不一致、暴行・虐待、ギャンブル、宗教上の問題、性的な問題などを指します。一方、自分にその理由があるという方が離婚したいというケースもあります。例えば、不倫をした側が配偶者と離婚したいというケースです。この場合、離婚請求を行うには10年以上の別居期間が必要となります。

日本法の場合は、結婚生活を破綻せしめた一方が、慰謝料にしても、離婚申請に関しても不利になる仕組みとなっているのです。


共著:綾部薫平(第一東京弁護士会所属、しぶや総和法律事務所所長)
※本記事はあくまでも法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用いただくためのものではありません。

Yuka Asari
弁護士
Yuka Asari
浅利 友香

オーストラリアでの弁護士キャリアを経て2020年にK3 Legalへ所属。
専門は会社法・商法・ 用法、主に企業担当。

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2021年8月号掲載

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