6年ぶりの政権交代へ

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労働党の支持半減で敗北

10月14日に実施された第54回総選挙の暫定結果によれば与党労働党は34議席(得票率27%)しか獲得できず、ヒプキンス首相は敗北を認めた。前回の2020年選挙ではアーダーン首相のもとで65議席(得票率50%)という歴史的大勝を果たした労働党だったが、昨年から支持率が低迷し、今年1月には首相交代に至った。後継者となったヒプキンス首相は、経済重視の政策に転換して一時的に支持を盛り返したが、低下傾向に歯止めをかけることができなかった。起死回生をはかり、歯科診療の無料化や青果物をGST非課税にする目玉政策を追加したが、離れた支持は戻らなかった。労働党は前回選挙で得た浮動層の支持上乗せ分をほとんど失い、2014年選挙の32議席(得票率25%)に次ぐ厳しい結果に直面している。

投票の確定と連立のゆくえ

暫定結果で50議席(得票率39%)を得た国民党は、同11議席(同9%)を得たACTと連立協議に入った。両党の議席の合計は61議席で、かろうじて過半数だ。しかし、この暫定結果には、在外投票や郵便投票、期限後登録などの特別投票分が含まれてない。過去の選挙では、投票総数の約2割を占める特別投票分が算入された結果、国民党から2議席が反対陣営に移動している。このため、国民党は8議席を得たNZファースト党とも予備的な協議を行って11月3日の確定発表に備えいてる。ACTのシーモア代表は単独議席から党勢を拡大した新進気鋭の40歳、NZファースト党のピーターズ代表は幾多の浮沈を経て当選15回の老練な78歳。NZ航空CEOから政治家に転身して当選2期目のラクソン代表(53歳)は、国を率いる前にまずこの手強い2人と交渉をまとめる必要がある。

浮動票のダイナミズム

労働党だけが議席を大きく減らした一方、他の政党は議席を増やした。政権交代が起こる選挙では二大政党に票が集まる傾向があるのだが、今回はむしろ労働党からグリーン党やNZファースト党、マオリ党などの小党にも票が逃げたことがうかがえる。この選挙結果は、ジョン・キー政権が3期目を賭けた2014年選挙の結果に近い。同様に国民党も票を集めきれず、一部がACTに流れている。グリーン党やマオリ党の候補者が選挙区で勝利するなど、小党が地力をつけてきている。平均8年弱で政権交代を起こしてきたこの国の浮動票の行方がより多様化し、政治にダイナミズムを与えそうだ。

主要政党の議席数の推移

Text:Kazzy Matsuzaki 
2023年11月号掲載

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