受賞者からのコメント
今年のJSANZのスピーチ大会に参加できた事をとても嬉しく思っています。することで自分がまだまだ成長できると実感し、勉強への情熱を改めました。末期のお爺さんの看病をしていたため、授業にあまり顔を出せなかったにも関わらず僕を信じてこのチャンスをくれた先生方や同級生に心底感謝しています。今後の大会の参加者のスピーチを毎年楽しみにしています。
「私の志 」
皆様、こんにちは。ニュージーランドのカンタベリー大学四年生、トリップ・ラズと申します。私の志は地球の環境汚染に関する問題を解決する事です。皆様は自然が好きですか?どこかの絶景や不思議な動物を見て感動した事がありますか?私はあります。私の実家は農家なので、子供の頃から自然と触れることが多くて、動物の存在は当たり前のように生活の一部でした。その環境で育てられた私にとって、周りの植物や生き物は不思議で妖艶でした。そんな私は中学校に入る前にスペインのバルセロナと言う街に引っ越しました。バルセロナには見慣れていた木や小川の代わりに渋滞している道路が高いビルに囲まれている景色が待っていました。市内は無論、郊外に行っても動物はペットしか見当たらない。育った環境とは大違いでショックを受けました。それから家庭の事情で何回も引っ越して、アメリカ、イスラエル、ドイツ、タイ、イタリア、エジプトなど色々な国々を見て来ました。私の知らない文化に出会えて、見た事のない風景を見られて、とても楽しくていい経験でしたが、どこの国へ行っても一番印象に残ったことは変わりませんでした。環境汚染です。エジプトの紅海を見に行ったら魚と同数のビニール袋を発見しました。タイに行ったらヤモシカがプラスチックゴミを食べているところを見ました。好きな動物達が住んでいるほとんどの環境がゴミだらけで、その動物の数が段々と減っていたのが分かりました。そんな悲しい世界を見て「動物達を、地球を守りたい」と強く思いました。そして「私に出来ること」を考えた結果、まず自分の住んでいるクライストチャーチに、固有種が生きやすく、綺麗な環境を作り上げる事にしました。2011年にクライストチャーチは大きな地震で破壊され、土地が不安定なため居住不可能とみなされたレッドゾーンと言う地域があります。高校 3 年生の時に放課後や週末にレッドゾーンに行ってゴミを拾うグループを作りました。しばらくして学校にも協力してもらい、木を植えるための道具とお金が手に入りました。そう言った活動を続ける事で、少しずつクライストチャーチの自然を復活させる事が出来ました。大学に入ってからは家族の牧場で自生植物を植えたり、外来種の捕食者防止フェンスで固有種が繁栄できるエリアを作ったりして、志に向けて取り組みを続けています。将来の世代が地球の綺麗な自然を見て感動出来るように、環境汚染に関する問題の認知を広めて、地球を守る仕事をしたいです。最後に皆様に1つ、お願いがあります。ゴミを正しく分別する事や過剰包装の製品を避ける事、日常生活でそういった小さな事を意識すれば地球を守る事が出来ます。地球を守るには皆様の協力も必要です。
小さな変化でも、毎日の繰り返しで大きな影響を与えるので、是非出来ることをしてみましょう。ご静聴ありがとうございました。
※スピーチ内容、コメントは原文のまま掲載しています。
JSANZからのコメント
ビデオ投稿による大学生スピーチコンテスト(Tertiary Japanese Language Speech Contest)は、今年で10年目を迎え、国内の大学から選抜された9人のファイナリストの中から選ばれた入賞者の受賞式が先日オークランド大学で行われました。このコンテストは、ニュージーランド初の大学生による日本語スピーチコンテストとして、ニュージーランド日本研究学会(JSANZ)により2014年に立ち上げられたもので、学習者の学習意欲と日本語能力を高める動機づけとなり、同時に大学間、教員、学生、またスポンサーを含めた支援者とのつながりを生み出すことを発足の意義としています。寄せられるスピーチの質は高く、毎回メッセージ性の非常に高いスピーチが流暢な日本語で語られます。2018年より二水会のご厚意により一位受賞者には日本への往復航空券が送られるという大きな魅力もあり、日本語学習者の大きな目標となっています。
2024年1月号掲載