大気中に不純物が少なく、光害の影響を受けにくいニュージーランドは、天体観測に適したスポットとして世界的に有名。
特に夜の時間が長く、空気の澄んだ冬は、星空観賞のベストシーズン!
北半球に位置する日本では見られない、南半球の夜空を眺めてみよう。
冬の星空観賞がおすすめな理由は?
星空観賞のハイライトといえば天の川。天の川自体は1年中見られるが、中心部の明るく濃い部分を観測できるのは、北半球でも南半球でも5~9月頃。ニュージーランドでは秋の終わりから春の初めにあたり、夜の時間が14~15時間と長いのが利点だ。冬至(6月下旬)前後なら日没は17時頃、日の出はオークランドで7時30分頃、クイーンズタウンなら8時30分頃なので、夜はもちろん、早朝でも星を眺めることができる。
では夏はどうかというと、星景が楽しめるほど空が暗くなるのは21~22時以降。また、天の川は外側部分しか観測できないため薄く感じる。さらに暖かい空気が大気中に残って光の屈折率が高くなり、星空全体がややぼやけた印象になる可能性も。こうした条件をふまえると、冬は星空観賞のベストシーズンといえるだろう。
日本の星空との違いは?
日本とは見られる星座が異なるのもニュージーランドで星空観賞する魅力。最も有名な、みなみじゅうじ座の南十字星は南の方角で1年中見られるが、4~8月頃には高い位置まで昇るので発見しやすい。
南十字星と同じ南の方角では、エータカリーナ星雲、大マゼラン星雲、小マゼラン星雲にも注目。これらは南半球特有の星雲(ガスや塵が集まって形成される天体)なので、ぜひ探してみよう。
星座の形が日本とは上下逆さまになるのも面白い点だ。わかりやすいのは北の空に現れるオリオン座。ちなみに日本でよく知られる北極星や北斗七星はニュージーランドで見ることはできない。
星空保護区とは?
ダークスカイ・インターナショナルが制定した認定プログラム。エリアの広さや取り組み方によってダークスカイ・サンクチュアリ、ダークスカイ・リザーブなど6つのカテゴリに分かれている。2024年6月現在、世界22カ国に200以上の保護区が存在。サンクチュアリは20カ所、リザーブは22カ所が認定されている。
ニュージーランドは天体観測地の宝庫。世界の光害問題に取り組むNPO団体ダークスカイ・インターナショナルが星空保護区に指定したエリアの中から、ぜひ行きたい有名スポットと星空観測ツアー会社を厳選してご紹介!
グレートバリア島
ハウラキ湾に浮かぶ島のひとつで、オークランドからはフェリーで約4時間30分、小型飛行機を使うと約30分でアクセス可能。島の面積のおよそ6割が自然保護区に指定されている。2017年、島としては世界で初めて星空保護区に指定された。
【ツアー会社】
●Look Up & Get Lost Dark Sky Experience
ワイララパ
ウェリントンの北東に位置し、ワイン産地としても知られるワイララパ地方。2023年、ワイララパ南部からカータートンまで面積3,665㎢に及ぶ広大なエリアがニュージーランド国内5番目の星空保護区に認定された。
【ツアー会社】
●Star Safari
●Under The Stars
●Stonehenge Aoteatoa
レイク・テカポ
ニュージーランドで星空観賞というと真っ先に名前が上がるのが南島レイク・テカポ。世界で最も南に位置する天文施設のひとつであるマウント・ジョン天文台とコーワンズ天文台を有し、ダークスカイ・プロジェクトによる星空観測ツアーが人気を集めている。「星空をユネスコ世界遺産に登録しよう」という活動が始まったのもここ。2012年にレイク・テカポを含むアオラキ/マウント・クック国立公園およびマッケンジー地区(面積4,367㎢)がダークスカイ・リザーブに指定された。
【ツアー会社】
●Dark Sky Project
text by Miko Grooby