【歯科技工士】日本から遠隔での就職活動でジョブオファーを獲得!成功のカギと実践的アドバイス- Shinさん

歯科技工士/【Auckland】 辻 伸一郎 (Shin Tsuji)さん BUSINESS

歯科技工士として日本で働きながら、いつか海外で働く日を夢見て、ヨーロッパへ履歴書を送っていたShinさん。履歴書はヨーロッパを超えて他国にわたり、ニュージーランドの歯科技工所からジョブオファーを手に入れた。日本からの遠隔での就職活動でジョブオファーをゲットしたShinさんに、海外での活躍のチャンスの多い歯科技工士のお仕事や、ニュージーランドでの働き方、移住前の事前準備などについてお話を伺った。

Q. ニュージーランドへ来たきっかけは何ですか?

ニュージーランドの歯科技工所からジョブオファーを頂いたのがきっかけです。とにかく行ってみようと思い、すぐにこちらに来ることを決め、2007年にワーキングホリデービザで入国しました。

Q. ニュージーランドに来る前はどんなお仕事をされていましたか?

日本の技工士学校を卒業後、日本で歯科技工士として2年ほど働いていました。

Q. 歯科技工士の主な仕事内容について教えてください。

我々歯科技工士の仕事は、基本的には歯科医師からの依頼を受け、人工の歯を作る仕事です。大きく分けてセラミック等を使用した人工歯を作る仕事と、入れ歯を作る仕事があります。私はセラミックの人工歯を作る仕事を専門にしています。セラミック以外にも金の人工歯を作ることもあります。

必要であれば患者さんに直接オフィスに来ていただいて歯の色を見たり、デザインを相談したりすることも仕事です。品質の高い責任のある仕事を要求されます。虫歯等痛みを伴う治療に使用する人工歯を作る以外にも、前歯等審美的にコンプレックスを持たれている患者さんにセラミックベニアなどを使用し、審美的治療をすることも大事な仕事です。

新しい人工歯によって笑顔と自信を取り戻した患者さんから後日お礼の連絡をいただいたときは、この仕事をやってて最も嬉しい瞬間のひとつです。

Q. ニュージーランドで初めての歯科技工士としての仕事はどのように探しましたか?

日本から遠隔での就職活動で、ニュージーランドでの正規雇用に至りました。

元々歯科技工士として海外で働きたいという思いがあり、研修を兼ねて、アメリカやヨーロッパにも見学や就職活動に行ったりしましたが、簡単には仕事は見つかりませんでした。今思い起こせば、技術的にも人間的にもまだまだ未熟であったのだと思います。

いつか就職活動の際役に立つように、歯のサンプル模型作りはよくしていましたね。我々物を作る仕事は、作ったものを直接見れば、ある程度技術はわかりますから。

同時に、取引のあった外資系の歯科業者の方々のコネクションを通じて、海外に履歴書を送る手助けをしていただいていました。特に歯科医療先進国であったスイス、ドイツなどで働きたかったので、主にヨーロッパに送っていました。それがヨーロッパを超えて他国の営業の方達に渡り、ニュージーランドの歯科技工所からジョブオファーをいただいたんです。

何が縁で仕事をゲットできるか分かりませんから、とにかく動いてみることが大切だと思います。

Q.ニュージーランドで歯科技工士として働くために必要な資格、あった方がいい経験などがあれば教えてください。

私はニュージーランドの歯科技工士免許を15年ほど前に取得しました。当時は、比較的簡単にオーストラリアの歯科技工士免許を取得することができ、オーストラリアの免許をニュージーランドの免許に切り替えることも出来ました。私はそのルートでニュージーランドの免許を取得しましたが、現在は制度が変わり、そのルートはもう存在しません。海外の歯科技工士免許保有者がニュージーランドの免許を申請するには、歯科技工の試験とIELTSアカデミック7.0程度をパスする必要があるようです。

ただ、歯科技工士の免許については、ニュージーランド国内でスーパーバイザーの元で働くのであれば、必要ないようです。もし自分で開業したり、患者さんと直接接し、歯の色を直接見たりする仕事(shade takig) をする際には、免許が必要になります。

英語については、やはり海外で働き、生活するためには英語は必要不可欠です。私も基本的な日常英会話くらいはできないと困ると思い、ニュージーランドに来る前に、日本で少し英会話教室に通っていました。実際にニュージーランドで生活して思うのは、日常英会話だけでなく、色々な人とコミュニケーションをとることで充実した楽しい生活を送ることができるということです。人と繋がることでいろいろなチャンスも生まれてきますので、英語は勉強しておいた方がいいと思います。

Q. ニュージーランドと日本での働き方の違いなどはありますか? 

仕事場はノースショアの商業地にありますが、少し移動するとビーチ等自然の多い所がたくさんあります。仕事と生活はできるだけ切り分け、仕事のない時は自然の多いところでのんびりできるのが魅力です。スクールホリデーの時期には少し仕事が落ち着く傾向にありますので旅行に行ったりリラックスすることを心がけています。特に夏のクリスマスホリデーは長期の休暇が取れますので、キャンプや海外旅行に長期で行くことも可能です。

私が日本で歯科技工士として働いていた当時は、歯科技工士という仕事は夜遅くまで働き、休暇もあまり取れないという状況でした。ニュージーランドでは歯科技工士という職業にかかわらず、家族や友人などとの時間、または自分自身の仕事以外の時間の大切さがより重要視されているように感じます。

Q. オフの日や仕事終わりの過ごし方はどのような感じですか?

オフの日や仕事が終わった後には、子供のスポーツを見に行ったり友達家族とバーベキューをしたりと、家族や友達と過ごすことが多いです。仕事後にサッカーをしに行ったり、サーフィンに行くこともあります。

Q. 最後に、これからニュージーランドで歯科技工士をやりたいと考えている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

日本人歯科技工士は、基本的技術の高さと勤勉さで海外での評価が高く、需要のある人材です。もちろん人それぞれ個性はありますが、実力と行動力次第では海外での就職、生活にチャレンジしやすい職業であると思います。

我々海外で働いている歯科技工士は、その評価と期待に恥じないよう振る舞い、活躍することで、後に続く人達への助けになればと心掛けています。


歯科技工士/
辻 伸一郎 (Shin Tsuji)さん


歯科技工士
辻 伸一郎 (Shin Tsuji)さん



1979年滋賀県生まれ。京都歯科医療技術専門学校卒業。2007年ニュージーランドに移住、同年ニュージーランド歯科技工士免許取得。オークランドの歯科技工所勤務後、2019年に独立、自身の会社”Tooth Maker”を設立し、ハンドメイドのセラミック人工歯製作を中心に活動しているNewZealand Academy of Cosmetic Dentistry、DentalExpoなどで講演。2022年7月号情報誌Verveに記事掲載。趣味は音楽、映画鑑賞など。

IG: www.instagram.com/shink444/
facebook: www.facebook.com/shinktsuji

取材・編集 GekkanNZ

この記事の内容は個人の過去の体験談です。必要な場合は、最新の情報をご確認ください。

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