ニュージーランドのイメージの一つである羊。
羊といっても世界には3,000種以上の種類の羊がいる。
なかでもメリノ種は最も細い羊毛を産する羊。
その魅力と、ニュージーランドの羊毛産業について、
メリノウールのインナーウェアブランド「YARN」のディレクター下山陽子さんにお話を伺った。
メリノウールの特徴とは
冬は暖かく、夏は涼しい
着る人に合わせて、熱をキープしたり放出する機能を持っている。
臭わない、ムレない
天然の抗菌防臭作用があるので、洗濯せずに何日か着ていても快適。旅先で大活躍。
柔らかい肌触り
極細の羊毛だから、直接肌に触れてもチクチクしない。
UVカット機能も
紫外線遮蔽率が高い素材で、紫外線から皮膚を守る。
気軽に洗濯もできる
伸縮性に優れているので洗濯機で洗っても型崩れしない。
「ZQ認定メリノウール」って何?
ニュージーランドには、動物福祉、羊毛品質、サステナビリティ、社会的責任、牧場の水質や土壌などの環境保全など、厳しい基準による認証システムがあり、基準をクリアした生産者の徹底した品質管理のもとで生まれた高品質なメリノウールを「ZQ認定メリノウール」という。品質が保証されるだけでなく、生産者の顔やどのようにつくられているのかがわかる「トレーサビリティ」の仕組みによって、買い手は洋服から生産者を辿ることができ、生産者は自分が育てた羊毛がどのように使われているかを知ることができる。また、売値の変動が少なく、生産者への負担が少なく、長く健全に続けられる仕組みになっている。
メリノウールと日本のデザイン、技術を融合させたインナーウェアブランド「YARN」は、「ZQ認定メリノウール」を使用している。
その理由は、「ものづくりは、限られた資源を使うことだから責任があると思っていて、無駄にしたくないし、長く大事に着てもらいたい。
メリノウールは天然素材なので最後は土に還る。こうした循環の仕組みの中で作られる羊毛を使いたい、そして消費者の方々に伝える責任がある」というディレクターの下山陽子さんの思いからだ。
また、メリノウールに、他の繊維にない優れた機能がたくさんある理由を「メリノ羊が一年を通して経験したことを毛が覚えているから」と語るディレクターにさらに詳しく伺った。
日本で縫製をしている理由は?
下着は肌に触れるものなので、サイズ、デザインはすごく大事だと考えています。ここニュージーランドでは、アジア人に合うサイズのインナーウェアを探すことが難しいと思います。それなら自分で作ろうと思ったことが始まりでした。
もともとニュージーランドの良いものを日本に紹介したいという思いがあったので、ニュージーランドの素材を日本でデザインして、日本の技術で生産することを目指しました。しかし、アパレル業界の経験が全くなかったので、ゼロからのスタート。まずは、どうやって洋服を作るんだろうというところから生地の仕入れ方や、縫製工場探しに奔走しました。
当時、メリノウールの薄い生地自体が日本ではほとんど流通していなかったので、各地の工場にお願いをしました。工場によって何を専門にしているか、どの素材を扱っているかが違って、一つの工場で全部できるわけじゃないんです。肌に刺激がないように、デコボコのないシームレスな縫製で作りたかったので、そうするとまた限られていて。「こんなの大変すぎてできないよ」と言われることもあり、製品にするまでにとても時間がかかりました。
今後、やってみたいことは?
次のステップはグローバルにやりたいなと思っています。言語、住んでいる場所が違っても、『良いもの』と思う感覚は、届く、響く、ということがわかったので、日本人としてニュージーランド在住で作ったブランドをいろんな国に届けたいなと考えています。
もう一つは、発信をもっとしていきたい。ものづくりを通して、ニュージーランドの羊毛産業、日本の産業にも貢献したい。日本の縫製産業はどんどん衰退しているのが現状。技術者の高齢化もありますが、大手のブランドなどが低価格で作れる海外の工場などに動いたことで受注が減ってしまったことも大きな理由であったりします。だから、一緒に育って続けていくという努力が大切だと感じます。
ニュージーランドの羊毛産業についてのドキュメンタリー作品を昨年製作しました。PART2として日本の縫製産業編をちょうど撮影してきたところです。
山梨、岐阜、福井、愛知、奈良など日本各地に提携している工場があります。糸作りをしている工場、糸から生地を編む工場、次に洗ったり色をつけたり。そして質感のチェック、調整をする工程のあと、生地になったら、ようやく縫製工場で、裁断して、縫って、検品して出来上がる。1年がかりです。いや、1年かけて羊毛ができて、1年かけて商品が出来上がる。手元に届くまでには、2年必要ですね!そのストーリーを伝えていきたいです。
YARNの購入は、陽子さんが経営するセレクトショップまで
Wonder Journal
8 Te Ara Tahuhu, Britomart,Auckland,NewZealand 1010
11:00-16:00 月曜日休
https://yarn-nz.com