ニュージーランドには公的年金のNew Zealand Superannuation(NZ Super)のほか、任意で加入できる政府主導の個人年金KiwiSaver(キーウィセーバー)が存在する。
一体どのような制度なのか、押さえておきたい基礎知識を紹介しよう。
※情報は2024年9月現在のものです
KiwiSaverとは?
ニュージーランド国籍または永住権保有者を対象に、2007年7月1日から開始された任意の個人年金制度。雇用主のもとで就労している人の場合、給与に応じて計算された金額が控除される。支払額は加入者が給与額(税引き前)の3%、4%、6%、8%、10%から選択できる。自営業者や未/非就労者は、KiwiSaverのプロバイダーに直接連絡して加入する。財政年度内(7月1日~6月30日)に$1042.86以上を積み立てると、政府から援助金として最高$521.43がKiwiSaverの口座に振り込まれる。$1042.86に満たない場合も、積立金$1につき50¢が政府援助金として支払われる。
積み立てたKiwiSaverは、加入者が65歳以降になると引き出し可能。
また、以下のような場合は65歳未満でも引き出すことができる。
- 加入から3年以上が経過し、最初の住宅購入に資金を充てたい場合(積立金の一部を引き出し可能、KiwiSaverの口座に$1000は残すこと)
- オーストラリアへ移住する場合(積立金をオーストラリアの年金制度に移行できる)
- オーストラリア以外の国へ移住する場合(移住してから1年後に積立金のほぼ全額の引き出しが可能)※日本への永久帰国もこれに含まれる
- 経済的に厳しい状況にある場合
- 病気やケガで働けない、または命の危険がある場合
- 加入者が死亡した場合
など
KiwiSaverのプロバイダーとは?
KiwiSaverは、加入者が積み立てた金額を銀行や保険会社といったプロバイダーが投資して運用するシステム。プロバイダーは自分で選ぶことができるが、加入時に選択しなかった場合、6社のデフォルト・プロバイダーの中から1社が割り当てられる。プロバイダーはいつでも変更可能。新たに加入したいプロバイダーにコンタクトを取れば、移行の手続きをしてくれる。
●デフォルト・プロバイダー
BNZ
Booster
BT Funds (Westpac)
Kiwi Wealth
Simplicity
Smartshares (NZX)
●その他の主なプロバイダー
AE KiwiSaver Limited
AMP
Anglican Financial Care
ANZ Investments
ASB Group Investments Ltd
BNZ
Booster Investment Management
BT Funds (Westpac)
Civic Financial Services
Consilium NZ Limited
Craigs Investment Partners Superannuation Management Limited
Fisher Funds Management Ltd
Fisher Funds Wealth Limited
FundRock NZ Limited
Generate Investment Management Limited
Kernel Wealth Limited
Koura Wealth Limited
Medical Funds Management Limited
Mercer (NZ) Limited
Milford Funds Limited
New Zealand Funds Management Limited
Nikko Asset Management New Zealand Limited
Pathfinder Asset Management
PIE KiwiSaver Scheme
SBS Wealth Limited
Sharesies Investment Management Limited
Simplicity
Smartshares Limited
Summer
KiwiSaverのファンド(運用タイプ)とは?
プロバイダーのファンド/Funds(運用タイプ)は以下の5つ。それぞれのメリットとリスクを考え、合うものを選択しよう。住宅ローンや子供の学費など数年以内にまとまった資金を使う予定が見込まれるなら損失の可能性が低いディフェンシブやコンサベイティブがよい。長期運用できる余裕があるならハイリスク、ハイリターンの商品を選ぶのも手。なお、ファンドの変更はいつでも可能だ。
● ディフェンシブ/Defensive
- リスクを極力避けたい堅実派向け
- 運用比率が低く、0~9.9%ほどのローリターンが見込まれる
- 運用期間は最短2~3年
● コンサベイティブ/Conservative
- ある程度の変動は想定しているが、あまりリスクを負いたくない人向け
- 成長資産は10~34.9%を予測
- 運用期間は最短4~5年
● バランスド/Balanced
- リスクとリターンを程よく組み合わせたい人向け
- 成長資産は35~62.9%を予測
- 運用期間は最短6~8年
● グロース/Growth
- 成長が見込めるベンチャー企業などへ投資したい人向け
- 運用比率が高く、ハイリスク、ハイリターン
- 成長資産は63~89.9%を予測
- 運用期間は最短9~12年
● アグレッシブ/Aggressive
- リスクを理解し、長期的な運用を考えている人向け
- 成長資産は90~100%を予測
- 運用期間は13年以上
プロバイダーとファンドはどう選ぶ?
先に挙げた通り、プロバイダーの数は多い。すべてをチェックするのが困難なら、6社のデフォルト・プロバイダーの中から選ぶといいだろう。
プロバイダーやファンドを簡単に比較できるサイト「Sorted Smart Investor」を活用するのもおすすめだ。プロバイダーはいくつものファンドを提供しているので、ファンド選びに迷ったら「Sorted Smart Investor」をチェックするほか、加入プロバイダーの担当者や会計士などの専門家に相談してみよう。