【フローリスト】 フローリストに魅せられて。ホテル業界から転身してセカンドキャリアを実現。- Chikakoさん

【フローリスト】 フローリストに魅せられて。ホテル業界から転身してセカンドキャリアを実現。- Chikakoさん BUSINESS

ホテル業界で長くキャリアを積んできたChikakoさん。ホテルの仕事に活かすため英語を勉強しに来たニュージーランドでフローリストの仕事に魅せられて、新たなキャリアに挑戦することに。学校で学んだフローリストの技術と、ホテルで身に着けたホスピタリティの精神で、お客様に喜ばれる花屋としてセカンドキャリアを実現した。現在はご自分のお店を持ち、花を売るだけでなく生産する側にも興味があるというChikakoさんに、フローリストのなり方やフローリストとしてのお仕事ライフについてお話を伺った。

Q. ニュージーランドへ来たきっかけは何ですか?

日本のホテル学校を卒業後、ホテルで勤務していました。海外のお客様が多いため、英語を話せるようになりたいと思い、留学を決意しました。日本の人混みや忙しさとは真逆な、自然に囲まれのんびりとしたイメージのあるニュージーランドを選びました。1993年に3カ月の学生ビザで入国しました。

Q. フローリストの主な仕事内容について教えてください。

私は花屋を経営していますので、自分の店で販売するための花や植物の仕入れ、水やりなどの手入れ、花束やアレンジメントの作成が主な仕事です。季節や用途に応じた商品を展開し、贈り物やイベント装飾、配達にも対応しています。花の市場の日は、オークションが朝5時に始まるので、早起きします。ニュージーランドで花を送る習慣のある2月のバレンタインと、5月の母の日はとても忙しいです。

ここ数年は花の生育にも興味を持ち、少しずつですが自宅で栽培をして店頭で販売をしたり、知り合いのお花屋さんに分けたりもしています。自分が好きな花を育てられるので、とても楽しいです。

OrakeiにあるChikakoさんのお店の「White Tree Floral Design」
OrakeiにあるChikakoさんのお店の「White Tree Floral Design」

日本は世界中からお花が輸入されているので、日本のお花屋さんにはとても珍しいお花や、素晴らしい品質のお花が1年を通してあります。それに比べニュージーランドは、ほぼ国産のお花だけになるため、選択肢に限りがあります。また、ニュージーランドで育てられたお花の中でも、品質の良いお花は、ニュージーランド国内で販売されず、海外に輸出されてしまうのは残念です。日本のお花屋さんに行くと、見たことのないニュージーランド産のお花が売られていたりします。

Q. ニュージーランドでフローリストとしての仕事はどのように探しましたか?

ニュージーランドで語学学校を卒業した後は、ホテルに就職しました。働いていたホテルに花の部署があって、見学していて興味を持ったのでUnitecでフローリストのコースを受講することにしました。コースを受講するうちに、ゆくゆくは花の仕事をしたいと考えるようになりました。

コースを終了すると、さっそく就職活動をしました。「手当たり次第にお花屋さんに直接履歴書を持って行く」という活動をつづけた結果、1つの花屋でパートタイムでの仕事が決まりました。同時進行でホテルの仕事も続け、ホテルの花の部署にも入る事になったので、3つの仕事を掛け持ちで朝8時から夜9時までしていました。当時はまだ20代前半で体力はあったものの、今考えると結構キツいスケジュールでしたね。ただ毎日が楽しいと言うだけで出来てたんだと思います。

就職活動のときは、「自分を雇ったらどんなメリットがあるか」「自分が会社に対して何をもたらすことができるか」などを書いた手紙を履歴書と一緒に渡していました。また、履歴書には日本の学歴を事細かく書くことはせず、花屋に関係のある学歴(ホテル学校とフローリスト学校卒業)と職歴のみを記載しました。こうすることで、自分の過去の経験がどのように応募職種に活かせるかをより簡単に説明できるので、おすすめです。

ちなみに、花屋は経験によって職種が決まっています。ジュニア(主に掃除や水揚げの補助)、インターミディエイト(花束作成やシニアの補助)、シニア(全般の仕事、結婚式、お葬式、イベントなど)の3段階があります。学校を出たからと言って、いきなりインターミディエイトやシニアになれるとは限りません。

chikakoさんのアレンジメント

また、この業界は狭いので、良い仕事をすると前の職場から次の職場へ紹介してもらえる機会があります。

Q.ニュージーランドでフローリストとして働くために必要な資格、あった方がいい経験などがあれば教えてください。

White Tree Floral Designの店内

フローリストは資格がないとなれないわけではありません。しかし、何の経験もない人が急に花屋でフローリストとして働くのは難しいと思います。フローリストの学校を出るか、花屋で働いた経験があると良いと思います。

フローリストは接客業でもありますので、コミュニケーション能力やホスピタリティの基本を身に着けている人は重宝されます。私は、ホテルで働いていたときに身に着けたおもてなし精神が、ニュージーランドのお客様に喜ばれていると思います。同様の観点から、接客に困らない程度の英語力も必要です。

Q. 「ニュージーランドで働く」ならではの楽しさや魅力、やりがいについて教えてください。

ニュージーランドは、いくつになっても何にでも挑戦できる土壌があります。日本では1つの事をずっとやり続ける事がよしとされていますが、ニュージーランドでは、無理をしないで色々とやってみて自分の可能性を見つけ出し、それにチャレンジできるのです。私がホテル業から花屋に転職できたのもニュージーランドにいたからだと思っています。

Q.また反対に大変なことや難しいと感じる部分はありますか?

ニュージーランドでは、日本のようにチーム内で助け合って仕事するという感覚が少ないと感じますね。自分の仕事が終わっても、他人の仕事を手伝うことはありません。時間外まで残って手伝うなどもってのほかです。自分の仕事ではないと思うこと、余力がなくてできないことは、ハッキリ出来ないと意思表示しないといけません。日本の感覚で何でも引き受けていると、気づけば自分一人が全部やっているということになってしまいます。

Q. ニュージーランドと日本での働き方の違いなどはありますか? 

ニュージーランドでは、学校の長期休暇が始まると、仕事が驚くほど暇になります。日本では考えられないことですが、子どもの学校の休みに合わせて親も休暇を取り、家族旅行に行くのが普通です。年に何回もの休暇が取れる習慣は凄いと思います。

Q. オフの日や仕事終わりの過ごし方はどのような感じですか?

家庭菜園が好きなので、仕事が終わって家に着いたら真っ直ぐに畑に向かいます。水をやったり草を抜いたりして、1時間くらいのんびりします。料理も好きで、休日はパンを焼いたりお菓子を作ったりしています。

Q. 最後に、これからニュージーランドでフローリストをやりたいと考えている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

ニュージーランドの花屋に興味がある方は、ニュージーランドに来る前に日本で花屋で働く経験をしておくのをおすすめします。日本で大体の基本を学んでおくと、ニュージーランドで働くのにも役立つと思います。

また、花の名前を英語で覚えたり、花屋で働いている間に自分が作った花束やアレンジメントの写真を撮ってポートフォリオを作っておくのもいいです。プライベートと別アカウントでインスタグラムなどに載せておけば、仕事探しの時にアピールになります。

ゆっくりしたニュージーランドで自然と触れ合い、お花と仕事をするのんびりとした生活は楽しいですよ。

White Tree Floral Designの店内



フローリスト
Chikakoさん

岐阜県出身。1993年に3カ月の学生ビザでニュージーランドに入国。ニュージーランド在住歴30余年だが、南島には一度しか行ったことがないので、いつかのんびりニュージーランドを一周してみたいと思っている。パートナーと猫たちと一緒にオークランド在住。13年前からオークランドのOrakeiで花屋を経営していて、後々は生産者になるのが夢。お近くにお越しの際はぜひ遊びに来て下さい。76 Coates Avenue Orakei Auckland

[Web] whitetreefloraldesign.co.nz
[IG] https://www.instagram.com/white_tree_floral_design/
https://www.facebook.com/whitetreefloraldesign/

取材・編集 GekkanNZ

この記事の内容は個人の過去の体験談です。必要な場合は、最新の情報をご確認ください。

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