報告:オークランド経済懇談会(二水会)担当役員・三菱商事・清水泰雅
コンテスト名称
2024 JSANZ Tertiary Japanese Language Speech Contest
主催
JSANZ(Japanese Studies Aotearoa New Zealand)
コンテスト参加者数:合計8名
コンテスト参加者所属大学
University of Auckland
Victoria University of Wellington
IPU New Zealand Tertiary Institution
University of Canterbury
University of Otago
コンテスト採点方式(審査期間:2024年9月)
スピーチビデオを審査員がオンライン上で視聴して採点(各審査員持ち点:最高100点)
⇒ 全国の大学から参加のため、審査はオンライン形式をとる
主な評価・採点内容:
プレゼンテーション力、マナー、記憶力(カンペを見ない)、スピーチ内容、メッセージ力、語学・語彙力、正確さ、流暢さ、コミュニケーション力など
コンテスト上位入賞者結果発表・名前・所属大学・「スピーチタイトル」
1位 André LEADER・University of Auckland・「他人の期待に応えるより、自分の幸せを選ぼう」
2位 Kerry KANG・University of Auckland・「私の志」
3位 Imogen DOMBROSKI・IPU New Zealand Tertiary Institution・「男女不平等」
二水会が本イベントを支援する背景
他言語(第2外国語)を話すことは、その国の文化を知り、その国民とのコミュニケーションには欠かせない。また特に、日本語を話す若いニュージーランド人世代が増えることは、将来の日本とニュージーランドの文化・経済交流が活性・拡大し、双方にとって有益だ。これは二水会の活動方針と合致するため、本イベントへの支援を2018年から開始・継続中。
二水会は上位入賞者に「二水会賞」、その他参加者に「参加賞」を贈呈。
総括
ニュージーランド全国の大学から参加者があり、関心の高さがうかがえた。(ニュージーランド全大学で日本語を履修している学生数(Formal、EquivalentFull-time)は「600人」を超える)
入賞者のスピーチ内容は…自分に向き合うものや、社会的な課題への疑問を投げかけるものだった。
・ 一度きりの人生なので、周りに流されないことも大切
・ 自分が将来やりたいことに悩みつつも、自分で「道」を切り開 いていくことが大事
・ 日本での留学経験から、日本での男女格差(賃金・家庭内不 平等)への洞察
入賞者以外のスピーチは、「将来は、外交官になって、母国・ベトナムの経済・文化発展に貢献したい」、「幸せは実践して実感するもの」、「ご両親がロシア人だが、ユーゴスラビアが母国で、同国の言語と文化が消滅することに危機感をいだいた」、「人生そのものが闘い、人生に意味を与えるのは、自分だ」や「日本のアニメがなぜ人気なのかを考察、日本の文化的背景や、アニメ技術の発展」など、多岐にわたり、ご自身へのエール、社会的な事象や、日本のサブカルチャーへの考察があった。
スピーチ参加者は日本語の習得を通じて、得られた気づき、違う目線で多面的に物事(社会など)をみる考え方、ご自身の人格形成になることに役立てられており、単なる語学の枠組みを超え、実体験を通して、よい人生経験をされ、ご自身も成長されていることを実感した。
昨今、ITディバイス等の発達で、翻訳・通訳が容易にできるご時世だ。しかし、自らの言葉で相手とコミュニケーションをとることはいつの時代も大切だと考える。コミュニケーションは自分の「想い」に相手が「共感」して初めて成り立つ。日本語を話す若いキーウィが増えれば増えるほど、日本・ニュージーランドの文化・経済のパイプが太くなることは間違いない。スピーチ参加者への動機づけとして、今後も当イベントへの二水会の支援継続の必要性を強く感じている。

JSANZより、設立10周年のご挨拶
ニュージーランド日本研究学会(JSANZ: Japanese Studies Aotearoa New Zealand)は、設立10 周年を迎えました。JSANZはニュージーランドの高等教育における日本語教育・日本研究の連携と発展を目的として設立され、全国日本語スピーチコンテストの開催、国際学会での研究発表や書籍出版など、幅広い活動を展開してきました。
近年、コロナ禍を経た世界情勢の変化や生成AIの普及により、社会や学びの形が大きく変化してきています。日本語教育だけでなく、日本研究を含む人文学系分野においても組織の改編や縮小に直面する厳しい状況が続いています。こうした中で、JSANZは「Vision(ビジョン)」「Value(価値)」「Visibility(可視化)」という「3つのV」を軸に日本語教育・研究活動を進めていきます。世界12カ国・地域の学会が加盟する『日本語教育グローバル・ネットワーク』の加盟団体の一つとして、国内外の教育機関とさらに連携を深めながら、新たな日本語教育と日本研究のあり方を探究し、未来の学びを切り拓いていきます。今後とも応援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

ニュージーランド日本研究学会 会長代理 荻野 雅由
