タトゥーイストライセンスを持つ数少ない信頼できる日本人タトゥーアーティスト、Kojiさん。
日本、オーストラリアで彫師の経験を持つ、彼の “仕事” について話しを伺った。
紅い牡丹、細部まで描かれたライオン、竹林に潜むトラ。Kojiさんの作品からは日本の洗練された技術や経験、オーストラリアで得た洋の感性が感じられる。現在、オークランドシティのタトゥースタジオで奮闘するKojiさんは、日本で数年、自身のスタジオを運営しながら彫師としての経験を積んだ後、2012年にオーストラリア移住、その後2017年にニュージーランドへ移住した。当時は全くできなかった英語を猛勉強し、オーストラリアのタトゥーイストライセンスを取得した後も、ワークメイト達に認められ数々のタトゥー作品を生み出し続けてきた。
「オーストラリアではキーウィの彫師もたくさんいて、彼らの勧めで移住しました。この国で感じるのはマオリの伝統的なタトゥーがあり、マオリも自分達の文化に誇りを持っていること。文化としてタトゥーが受け入れられていて、そういう良い意味での寛容さに惹かれています」ニュージーランドではタトゥーアーティストに資格は必要ない。移住してすぐに足を運んだ今のスタジオで、即ジョブオファーをもらったそう。作品では多彩な画風をうまく使い分け、時には日本のアニメや漫画を描き起こすこともあるという。
「日本のアニメはやっぱり人気で、最近では海外アーティストの影響からジブリのイラストを入れたいという人も増えました(笑)」
様々な要望を叶える中、最も得意とするのはやはり和彫。龍や般若など日本独自のモチーフを今まで培った経験から、体の丸みを計算しフリーハンドで手掛けてしまうほどで、絵柄の繊細さや和の雰囲気がリピーターを増やしている。
「私の顧客は10代や20代の若い世代だけでなく、上は70代まで幅広い世代の方が来店してくれ、おしゃれだけではない『信念、決意、思い出』などタトゥーの〝意味〟を求める人も多いです。要望に応えてお客様に気に入ってもらえるのがやりがいだし、何より私のタトゥーイングが良いとまた来てくれるのが一番嬉しい」「アーティストだからって自分の好きなものをお客に押し付けるのでは意味がない。どんな要望にも応えられる、身も心も任せてもらえる彫師でいたいと思っています」と彫師の信念を語った。
タトゥーと言えば気になるのは衛生面。タトゥーで使われるインクはオーガニックのものがほとんど。痛みはもちろん伴うが、マシンの性能も以前より上がり施述後にきちんとケアすれば化膿しにくいそうだ。デザインに依るがKojiさんの施術では1時間180ドルから、小さなものであれば80ドルで入れることができる。身体に残る一生もののタトゥーだからこそ、真剣に考えた上で信頼できるタトゥーアーティストに相談してほしい。
Kojiro Tattoo
(Ballistic Tattoo内)LEVEL1,280 Queen St., CBD, Auckland
【Ph】09-307-1760
【営】月~土曜 10:00~18:00
【Instagram】tattooist_kojiro
【facebook】Kojirotattoo
【Web】www.kojirotattoo.com
取材・文 GekkanNZ営業部
2020年8月号掲載