ニュージーランドでも、季節折々の旬の食材を楽しみたいもの。今だから食べたいレシピをお届けします。
春の食卓を華やかに見せてくれる、桜
日本人の心をゆする風物詩、桜
桜は、古くから食卓でも料理にお菓子にと活用されてきました。適度に塩気を含むかわいらしい桜花は、寿司や白和えに飾るのも奇麗ですし、花や葉を塩漬けすればクマリンという成分が持つ桜独特の香りを楽しめます。300年の歴史を持つと言われている桜もちですが、葉の代わりに花の方を使ったら地元のキーウィの間でも話題になりました。桜花のほのかな塩気と香りに甘い餡が絶妙です。
桜の花の塩漬けを料理やお菓子に活用
6~7分咲きの桜を軸2㎝くらいのところから摘み、塩漬けを作ってみましょう。
10月上旬~中旬に咲くKanzanなどの八重桜が適しています。
❶花の全量の重さを量る(以下は70~80輪の花で50gの場合)。水を溜めた中でやさしく洗い、キッチンペーパーなどである程度の水気を取る。
❷桜の重さの30~35%の塩(15~18g)をまぶし、ジップロック等の袋に入れて、花の重さの2倍(100g)の重しを上にのせる。一晩か二晩おき水分が出てくるのを待つ。
❸中の水を捨て、大さじ2の酢を加える。花の重さの半分(25g)の重しをのせて、冷暗所に1週間置く。この間に酸が働いて鮮やかなピンクになる。
❹オーブントレイなどにキッチンペーパーを敷きつめ、花を一つずつ並べ水気を取る。一晩置いて完成(完全に乾いてなくても良い)。
フライパンで作る関東風桜もち
材料(12個分)
★小麦粉(Plain flour):50g
★米粉(White rice flour):50g
★白玉粉(Glutinous-rice flour):30g
★砂糖:大さじ3
★塩(桜塩でも):小さじ1/4
★水:1カップ(250ml)
少量の水で薄めた食紅(ピンク):適宜
桜の花の塩漬け(3分浸水させて塩気を抜き、ペーパータオルで水気をふき取る):12個
こし餡:300g
作り方
❶こし餡を12個に分けて俵型にする。(餡は袋などから出し、しばらく置いておくと表面の水分が抜けて扱いやすくなる)
❷ボウルに材料★を入れて泡だて器でよく混ぜる。食紅を1~2滴ずつ色合いを見ながら加え薄いピンク色にする。(火が通ると色が濃くなるので薄めの色がよい)
❸テフロンやフッ素加工のフライパン(またはホットプレートやパイクレット・パン)に、キッチンペーパーに含ませたオイルを薄く敷く。 弱火のまま、生地(1枚分は大さじ2杯)を長めの楕円形に流す。表面が乾かないうちに花を片側にのせ、少し押し込むようにする。
❹表面が乾いてきたら返して、裏面も10~20秒ほどさっと焼く。(火が通りすぎると花が茶色くなるので注意!)
❺お皿に取って乾燥しないようにラップをかけておく。残りも同様。(米粉は下に沈みやすいので、その都度よく混ぜて生地を流す)
❻皮が冷めたら、餡をのせて端から巻く。(花が表に出てくるように)
ひとくちメモ
桜漬けはジップロック袋に塩と入れて冷凍保存すると鮮やかなピンク色が長持ちします。使用前に、料理用はさっと洗って余分な塩を落とし、お菓子用は水に3~5分つけて塩抜きを。
佐々木由美さん
料理家ワナカでローカル向けの和食料理教室を毎月開催して今年で10年。旬を取り入れ日本の文化・風習とともに紹介する季節のレシピは大好評。宿・ささの木(sasanoki.co.nz)も経営する。
【ブログ】japanesedinnertable.blog.fc2.com
【FB】 Japanese cuisine cooking class@wanaka
2021年5月号掲載