疲労回復・血行促進にスパイナルロールアップ
体が何となくだるく重い、疲れがなかなか取れきらないと感じた時、座ったり横になれる場所がなくても、ちょっとしたすき間時間に取り入れられるリラックス法をご紹介します。2分程度でできる、全身の疲労回復および血行促進のポーズです。
重力に身を任せる前屈のポーズ
まず、両足を腰幅程度に開き、ひざを曲げて、前屈のポーズ(ウタナーサナ)から始めます(写真1)。
脚を伸ばそうとお尻を天井方向に上げたりする必要はありません。上体は重力に委ね、ダラーっと垂れ下がるようなイメージで、頭頂を床に向け、視線は両脚のすき間へ。肩、腕、手首の力を完全に抜いて、手が床に付く場合は手の平を上に向け、付かない場合は指先を軽く床に下ろします。この状態で、額、耳、頬、顎の筋肉を緩ませます。口で息を吐きながらおなかをへこませ、鼻から吸った息を横隔膜や腹部全体に行き渡らせましょう。ここからは口を閉じ、ゆっくりと腹式呼吸を5回行います。
次に、鼻から大きく息を吸い、息を吐きながら足裏でしっかりと地面を踏込み、ゆっくりと上体を起こしていきます(写真2)。この時、上体を起こそうと体幹部に力を入れてしまうとリラックス効果が薄れてしまうので、足を踏み込む力で徐々に脚、背中を伸ばしていき、椎骨が積み重なるのをイメージします。上体が起き上がったら、最後に顔を上げて真正面に視線を向けます。
頭頂を上へ引き上げる山のポーズ
続いて、山のポーズ(タダーサナ)です。顎は若干引き気味にして、首の後ろを伸ばし、頭頂を天井に引き上げます(写真3)。頭頂からひもで吊るされている状態をイメージして、なるべく肩の力は抜き、腕は楽に横に下ろします。胸骨を若干上げながら鎖骨を開き、肩甲骨を軽く引き寄せます。額、耳、頬、顎の筋肉を緩め、地に足が根付いている感覚と、頭頂が上部へ引き上がる感覚を味わいながら、体全体及び左右のバランスを確認しましょう。
姿勢改善および血行促進のために、橋と滝のポーズ
普段、身体の動きや呼吸に意識を向けずに、何気なく体を動かしてしまっていると、自身の行動パターンや癖に気づくことができず、次第に左右のバランスが不釣り合いになったり、身体の中核である骨盤や背骨が歪んできてしまいます。すき間時間に1日2分で良いので、腹筋、臀部筋、背筋を鍛えながら、気持ち良く体を伸ばしていきましょう。
橋のポーズと滝のポーズ
橋のポーズは、体の前側を大きく開くため体内のエネルギーを活性化させ、元気にしてくれます。おなかを伸ばすことで内臓機能を整え、内分泌系の不調にも効果的です。肩甲骨を引き寄せ体の背面を強化するため、猫背を改善し、しなやかで美しい姿勢を作ることもできます。さらに、両ひざを寄せるよう意識をすると、骨盤周りの筋肉が引き締まります。
滝のポーズは、足を天井に向けて上げることで重力を利用し、リンパの停滞や血行不良を改善するとともに、体内の循環システムを活性化させ、心と体の状態を安定させます。
- 両ひざを立てたままマットの上であお向けになり、両ひざの真下にかかとが来るようにします。
- 全身を楽にして足裏、手のひら、腕、肩、背骨、後頭部それぞれと、地面との接点を感じます。吸う息でお腹を膨らませ、吐く息で両手と足の裏で強く床を押し、骨盤、おなか、胸の順にゆっくりと天井に向けて引き上げます(写真2 橋のポーズ)。
- 腕を伸ばし肩甲骨を寄せ、手をお尻の下で組み、拳で床を押します。より骨盤が引き上がります。
- 深く息を吸ってから拳を解き、吐く息で、背中、腰、お尻の順に、ゆっくりと体をマットに下ろします。全身が床に支えられているのを感じてください。体の前後のバランスを整えるため、後屈ポーズ橋の後に前屈ポーズ滝を行います。
- 両足を天井に向けて自然と足裏を伸ばし、ふくらはぎとハムストリングが伸びているのを感じます(写真3 滝のポーズ)。腕は、頭の横に伸ばし、上腕の重みで鎖骨付近の筋肉と体側を伸ばします。
※本コラムで紹介する情報はあくまでも補助的なものです。既存の症状がある場合は、まず専門医を受診することをおすすめします。
Misato Radovanovich
ラドヴァノヴィッチ京(井上 京)十代のころにヨガに目覚め、衣食住含め生活の節々にその哲学を取り入れる。RYT500認定ヨガ講師。
YOGA WEST、Unity Studiosほか
マタニティヨガ、産後ヨガ、ハタヨガ、リストラティブ、陰ヨガ、瞑想及びマインドフルネス、ヴィニヤサ、体質及び姿勢改善ヨガなどの多彩なプログラムを担当。
【Web】yogabliss.theblog.me
2021年1月/3月号掲載