冬、お気に入りのパティスリーやベーカリーで特別なトリートを買って、温かいお茶やコーヒーでいただくのは格別ではないでしょうか? 今回はイチオシのお店にこだわりや開店エピソード、営業していて感じる大変さや嬉しさをお聞きしながら、お勧めの商品をご紹介いたします。
この国でお店を持つ理由
今回ご紹介するお店の一つであるSabeno Patisserieのオーナーである砂織さんがニュージーランドに初めて来たのは、お姉さんがワーキングホリデーに来ていたため、観光がてら1ヶ月滞在した時。衝撃だったのは、ホイップクリームたっぷりのクリームドーナツがなんと80セントだったこと!
「普通のスーパーに生クリームが2リットルで売っていたのを見て、驚きました。日本では業務用でも1リットルの大きさです。バターや牛乳はとても濃厚で、約20年前は無塩バターがわずか2ドルで購入できました。乳製品の質が高く、価格が安いので気軽に買うことができる。パティシエにとって、こんな素晴らしい国はないと思いました」
ニュージーランドは多様性のある国だが、ショーケースに並ぶスイーツは全て砂織さんの手作りで、グルテンフリーやビーガンにも対応。「誰にでもお誕生日はきますし、記念日や大切な日があると思います。そんなときにアレルギーでスイーツを食べることができないのは悲しいですよね。みなさんにスイーツのおいしさを楽しんでもらいたいです」
コーヒーは欠かせない
ニュージーランドではコーヒー文化が強く、お店では必ずコーヒーも提供したいと思っていた砂織さん。そのためにはコーヒーも作れるようにならなければいけないと、2年間バリスタとしても経験を積んだ。
「スイーツはもちろん、コーヒーも自信を持って淹れています」
Sabeno Patisserie
東京、パリ、オークランドでの
パティシエ歴30年に裏打ちされた珠玉のケーキたち
美味しいスイーツが持つ特別な力
「スイーツは心の必須栄養素だと思っています!特別な日の為だけではなく、ご褒美トリートやくつろぎのお供にスイーツを楽しんでいただきたい。そんな思いから、リーズナブルなクオリティのスイーツを提供しています」と砂織さん。コンスタントにお客様に通ってほしいという願いから、コストを最大限まで抑え、ケーキの値段は6ドル前後に設定。プロが作る本格スイーツをお得に楽しめる。「お手土産に持って行ったり、自分用として購入される方もたくさんいらっしゃいます」
経験から自信を持ってレシピを選び取れる
東京、パリ、オークランドで30年以上のパティシエ経験で得た選りすぐりのスイーツを、ぜひお客様に楽しんでもらいたいという思いで創業。
大阪の菓子専門学校に在学中にフランスへ留学、お店の名前にも由来する「Abeno Tsuji 製菓専門学校」でスイーツ作りを学んだ。パリのミシュラン3 つ星レストラン他、有名レストランで勤務してきた豊富な経験からレシピの数は数え切れないほど。「お子さんがおいしい!と言ってくれたときはとても嬉しいですね。子どもは素直で率直な感想を言ってくれるので、おいしいと言ってもらえるとパティシエ冥利に尽きます」
Sabeno Patisserie
電話オーダー受付有り【所】70 East Coast Road, Milford, Auckland
【営業時間】火~土曜8:00~15:30、日曜8:00~15:00
【休】月曜
【Ph】09-948-2443
【Web】https://www.facebook.com/sabenosweet
Uncle Tetsu’s
Japanese Cheesecake
ニュージーランドの素材と日本の製法で実現した
ここでしか味わえない美味しさとなめらかな食感
日本の人気店、ニュージーランドへ進出
「てつおじさん」が福岡で1990年に創業、2009年に日本国内で全国展開してから2011年に最初のグローバル店舗として台湾に出店、その後、順次国際展開を果たしていく中、ニュージーランドは2017年にオークランド1号店をクイーンストリートに出店し、2020年12月にローズデールへと移転した。日本だけでなく中国や韓国をはじめとするアジアや、欧米、インドや太平洋島国出身のカスタマーなど、幅広く親しまれている。「ニュージーランドで営業する日系飲食店として、いつも変わらない美味しさを毎日お届けすることを大切にしています」
この国ならではのこだわりの素材
原材料から全て店舗で製造しており、原材料は基本的に全て現地調達。酪農の国ニュージーランド産のチーズやバター、牛乳を使ったチーズケーキは、他の国では味わえない格別のものとなっていて、熟練のスタッフが毎日気持ちを込めて手作りしており、ここでしか味わえないスイーツとなっている。また、保存料や添加物は不使用なので、子どもから年配の方まで安心して楽しむことができる。
専門店で研究された自信の商品たち
看板メニューのチーズケーキは、焼き立てはふっくらとしていて柔らかく、卵の風味が豊か。冷蔵すればしっとりとクリーミーになり、チーズの風味が引き立つ。
昨年6月末に販売開始した濃厚でクリーミーなチーズタルトもまたたく間に人気商品へ。タルトカップを焼き上げる工程からチーズフィリングを入れて二度焼き、最後に蜂蜜を塗って三度焼きするこだわり商品。出来立てはとろっとしたチーズクリームが特徴だが、冷蔵すれば食感はしっとりとして甘みの方は少しさっぱりとした違った味わいが楽しめるそう。開店直後に売り切れになることもしばしばあるので、ウェブサイトからプレオーダーをするのがおすすめだ。これまでラズベリー味、チョコレート味、タロ芋味を期間限定商品として発売してきたが、期間限定商品はインスタグラムやフェイスブックで発信されているのでお見逃しなく。日本人には親しみのある日本風プリンもお店の人のお勧めの一つで、ローカルの友達と楽しんでみるのも良いだろう。
Uncle Tetsu’s
Japanese Cheesecake
オンラインショップ有り【所】Unit 9, 56 Apollo Drive, Rosedale, Auckland
【営業時間】月~日曜11:00~15:00、定休日なし
プレオーダー限定で、毎週土曜日はCBD、ニューマーケットそしてホブソンビルに展開するカフェ”Gilli”で受け取りも可能。
【Web】https://uncletetsu.co.nz
Mizu Bread
天然酵母の本格的なサワードウに加え、
懐かしの日本らしいパンがローカルにも大人気
長蛇の列がきっかけで出店へ
最初はポップアップショップとしてスタートしたのだが、美味しいパンを求めるお客さんで長い行列ができ、ちょうどその並びに空き店舗を持っていた店舗オーナーから「お客さんが外で並んでいて寒そうだから、ここで店をやったら?」と声がかかり、一年半ほど前に出店へ。
素材へのこだわりは「水」から
店名であるMizu(水)も濾過して使用しており、水道水のフッ素等の添加物から取り除いているという。なるべく無添加にと、できるだけ手作りで提供しており、ティラミスに入っているビスキュイもこちらで焼いている。天然酵母を使っているので酵母の管理に技術が要るが、パンそれぞれに作る過程に特徴があり、まるで性格の違うこどもたちを扱っているように感じるそうだ。「それぞれの性格に合わせて発酵する場所なども変えていますが、釜は一つですからタイミングを合わせて一気に焼きます。まるでいろんなこどものお世話をしているようで手がかかりますが楽しくて」と店主の優子さんが微笑みながら語ってくれた。
ローカルにも好評のお勧めのパンたち
日本では10年以上ヨーロッパ風のサワードウのパンを焼いてきた優子さんだが、ローカルにとっては日本風のパンが逆に新しく、人気が出てきているという。「日本の柔らかく独特なパンが好評で、7割以上のお客様がローカルの方です」と店舗スタッフも教えてくれた。メロンパンやあんパンの他にも、しっかりと煮込んだカレーを使ったカレーパンがよく売れるという。ここでもMizu(水)へのこだわりがあるようだ。「水分量の調節も私たちが扱っているパンにはとても大事です。パンの発酵にも影響しますし、カレーパンのカレーはよく煮込んでベストなタイミングでパンに仕込んで焼き上げます」と語る優子さんの言葉に、さっそくカレーパンを購入したところ、表面がカリッとして香ばしく、中のカレーが意外にもピリッと辛く、絶妙な美味しさだった。
店内には天むすおにぎりや照り焼きサンドイッチもあり、ランチタイムにはお弁当も出していて、インスタグラムで発信しているのでぜひチェックを。また、ロールケーキや季節の果物を使ったタルトなどもあり、どれも試すために通いたくなってしまう。
Mizu Bread
【所】187 Symonds Street, Eden Terrace, Auckland
【営業時間】水〜土9:00〜14:00
【休】日〜 火曜定休
【Web】https://www.instagram.com/mizu_bread
※料金や開店時間等は変更になる場合があります。店舗ウェブサイトなどで最新情報をご確認ください。
取材・文 GekkanNZ