ニュージーランドで、安心して歳を重ねよう

ニュージーランドで、安心して歳を重ねよう LIFESTYLE

Age Concern Aucklandに日本人サポートを含む
Asian Servicesが公式に発足

移住者の中には、長年ニュージーランドに住んでいても、ニュージーランドで老後を迎えることについては言語や文化的な壁を感じて不安を持つ人も多い。そんな中、2022年12月2日にAge Concern Auckland(以下ACA)内で公式に発足したAsian Servicesを祝う式典が行われた。出席メンバーのスピーチに加え、ACAで活動している田中久美子さん、富樫史生さんにお話を伺った。

Age Concern Aucklandの田中さん(中央)、富樫さん (右)。また、日本人会の和田咲子さん(左)や、日本人 コミュニティ向けにさまざまなイベントを行っているオー クランド・ネットワークの主催メンバーも駆けつけた。

ACAの主な4つの活動

Health Promotion部門:身体的、精神的、社会的に活発な活動を送ることを目的とする(エクササイズクラスや自動車の運転、終活やインターネット詐欺への対処方法等のワークショップ等)。

Social Connection部門:配偶者との死別や環境の変化、文化の違い等から生まれる孤独を解消するために社会と積極的に関わっていくことを推進する。

Community Social Work部門:安全で健康的な生活環境をととのえるために必要な手続きをサポートしたり、外部組織と連携し必要な支援をコーディネートする。

Elder Abuse Response Service部門:高齢者への虐待行為が報告された場合、環境支援、Power of Attorney (後見人制度)のアドバイス、介護施設や福祉サービス提供者への教育活動などを行う。

記念すべき一歩

式典はACAのAsian Servicesマネージャーのフェリックス・リン氏が司会を務め、まずACAのCEOであるケヴィン・ラム氏がオークランドのアジア系高齢者をしっかりサポートする強い意志を表明し、次に労働党国会議員であるネイシ・チェン氏が「ニュージーランドのヨーロピアンコミュニティでは高齢者サポートの長い歴史があるが、アジア人コミュニティではアジアの文化を取り入れたサポートが必要で、異なるキャンペーンをやってきた。ニュージーランド社会は高齢者を助ける責任を持っている」と力強く語った。ACA役員であるトレヴァー・ロウ氏も、アジア人の多いオークランドにこうした部署が発足したことを祝し、国民党国会議員メリッサ・リー氏、オークランド市長ウェイン・ブラウン氏、Ministry of Social Development内のOffice for Seniorsのダイアン・ターナー氏らがビデオレターを送り、この記念すべきアジア人コミュニティの一歩を祝った。

Age Concern AucklandのCEOケヴィン氏
Age Concern AucklandのCEOケヴィン氏
ケーキカット
Asian Servicesマネージャーのフェリックス氏とケヴィン氏のケーキカット

人生を楽しむための居場所

ACAでは身体的、精神的、社会的に健康的に年齢を重ねること、“Positive Aging”を目標に様々な高齢者サポートを行ってきている。配偶者や友人との死別など高齢者が陥りがちな孤独に加え、移民はさらに孤立しやすく、社会的な問題だけでなく鬱病やその他、健康への影響も少なくない。近年は高齢者虐待の実態も明らかになってきており、ACAとつながることを呼びかけている。ACAは各地で交流会をはじめ、デジタル活用講座や各種ワークショップを開催している。ワークショップは情報収集だけでなく言語や文化の近い参加者同士の交流を得られる場にもなっている。アクティビティを開催してきたジェニー・ツェンさんは活動の写真をまじえて説明しながら涙し、家族の中ですら孤独を感じていた高齢者のエピソードも紹介しながら、孤独を感じている高齢者を救っていきたいと語った。

アクティビティ開催メンバーのジェニーさん
アクティビティ開催メンバーのジェニーさん
交流会での遊びの紹介
交流会での遊びの紹介

社会保障につなぐサポート

ACAで相談受付窓口担当をされている田中さんと、Asian ServicesでJapanese Community Connectorをされている富樫さんにお話を伺ったところ、孤独から高齢者を救うことに加え、ニュージーランドで本来受けられる政府補助にも繋げていくサポートについて語られた。

「在オークランド総領事館によると、近年オークランドには300人ほどの日本人高齢者がいるとされていますが、もしも孤独を感じていたり生活に不便を感じていたらACAにつながってもらい、安心してニュージーランドで暮らせるよう私たちが手助けをしたい」と富樫さんは言う。田中さんは「ニュージーランドの社会保障には手続きがシンプルでないものもあり、高齢な移民の中には言語の壁もあって補助の受け取りをあきらめてしまう方もいらっしゃいます。ACAでは年金や各種補助金、住宅サポート、Auckland Transport(タクシー割引券)への申請手続きや、病院や介護を提供する組織と協力し個人にあったサポートをコーディネートするお手伝いをしております。『あれ、困ったな』と思ったらまずご一報を。私たちは利用者個人と向き合うことで問題をより深く理解し、サービスを改善することを心がけており、日本人利用者が増えることで日本人のニーズに合ったサービスを提供できるようになると思います」と話す。  

ACAのサポートは無料で、相談内容のプライバシーは守られる。「私たちのキーワードは、『ニュージーランドで安心して歳を重ねる』です。ACAが主催する各種講座や交流会にぜひ来てみてください」と田中さんは言う。  

老後、自分や家族の生活基盤はもはや日本ではなくニュージーランド、という人も多いが、いま特に不便を感じていなくても、ACAの情報を生活に取り入れてみてはどうだろう。

相談やサービスは無料です!
Age Concern Auckland
Asian Services
【Web】www.ageconcernauckland.org.nz/what-we-do/asian-services
【Ph】09-820-0271
【E-mail】asianservices@ageconak.org.nz
【FB】www.facebook.com/ageconcernauck

取材・文 GekkanNZ
2023年1月号掲載

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