子育て支援手当を拡充
4月1日から子育て支援手当が増額され、所得制限も緩和される。この政府補助は、養育する子の数と世帯収入によって決まる。これまでは、子どもが1人の家庭は、年間所得が7万9248ドルを越えると手当が受給できなかったが、4月からは同10万9096ドルまでなら受給できるようになる。例えば、10万8160ドルの年収がある共働き夫婦に子どもが2人いて、週17.5時間(学校休暇中は週47.5時間)の保育を必要とする場合、従来は所得制限にかかり支給されなかったが、4月からは学校週は118ドル、学校休みの週には319ドルが支給される。子ども2人を育てる1人親で週40時間働き、年収5万4080ドルの場合、受領額は週360ドルだったのが週452ドルに増額される。
対中関係のむずかしさ
マフタ外務大臣は、先月21日に中国を訪問し、北京で秦剛外務大臣らと会談した。内容は貿易、人的交流、気候・環境問題など両国が協力しあえる分野のみならず、人権問題や安全保障上の課題についても懸念を表明したという。中国は最大の貿易相手国であり、2022年12月期の輸出額は213億9000万ドル、輸入額は189億3000万ドルにのぼる。そのため、もし中国の機嫌を損ねれば、貿易を制限されて大打撃を受ける可能性がある。しかし、この訪中の直前にリトル情報大臣は、中国から帰化して政府機関に勤務していた職員が、中国政府に情報を流していたと発表し、中国は根拠のない中傷だと反発した。リトル大臣は、サイバー攻撃でも中国の関与を非難している。
生活費増が選挙の争点に
ワンニュースの世論調査によれば、有権者の48%が今年の総選挙では、生活費高騰への対策が争点となり、投票の際に考慮するだろうと回答した。統計局が発表した家計調査によれば、2022年6月期の世帯年収(税込み)の平均は11万7126ドルだった。世帯収入の伸び率が5.4%だったのに対し、物価上昇率は7%を超えた。統計局は、約15万5000世帯が必要な物が買えない窮乏状態にあり、46万世帯が何とか収支の帳尻を合わせている状況だと推計した。賃貸層の26%は、収入の40%以上を住宅費に使っており、それゆえ可処分所得に全く余裕がない状況にある。家賃の上昇率は、ローン返済の負担率を上回り、持てる者と持たざる者の格差が広がっている。
国営放送合併を見送り
ヒプキンス首相は、政策の優先順位の見直しの一環として、2大公共メディアであるラジオNZとテレビNZの合併を白紙撤回すると述べた。昨年3月に決定された合併案では、3億7000万ドルを投じて新たにアオテアロア・ニュージーランド公共メディア(ANZPM)を発足させる法案を7月1日までに通過させるとしていた。ヒプキンス首相は「政府はあまりに性急に多くをやりすぎており、生活費に焦点を当てる必要がある」、「公共メディアへの支援は、より低コストで、このような大きな構造変化を伴わないことが必要だ」と述べた。他にも失業保険制度の導入見送りやヘイトスピーチ法案の撤回に加え、水道三事業(スリーウォーターズ)の修正を検討中だという。
Text:Kazzy Matsuzaki
2023年4月号掲載