今こそ自然災害への備えを整える時期　ニュージーランドの住まいの保険 ＜家財保険編＞

災害時などには家財がダメージを受けることも多く、損害が大きくなることがある。住宅関連保険ブローカーのトッド・マウントフォートさんに、今度は家財保険についてお話を伺った。

家財保険とは？

賃貸住宅であろうと持ち家であろうと、家財保険は契約者にとって最も重要なものを補償します。家財保険は、宝石類やパソコン、携帯電話、電動自転車、家具などの貴重品の紛失、破損、盗難による修理や交換で必要な費用や個人賠償責任を補償するものです。私たちがお客様より最も保険金のご請求をいただく内容は、宝石や貴金属の紛失、洪水や食品の染みによるカーペットの交換、過電圧によるテレビ、チューナー、パソコンの損傷、携帯電話やタブレットの破損や紛失です。

今回の自然災害では浸水の影響により、家財保険での請求は電化製品の故障や家具の損傷が多く発生しました。ニュージーランドでは賃貸の場合、賃貸物件に入居する際の家財保険は任意であり、テナント自身の加入が必要となります。家主の住宅保険は、個人の所有物を補償するものではありません。またテナントの過失による損傷は自己負担での修繕もしくは取り替えとなります。そのため、賃貸物件への入居の際は家財保険への加入を強くお勧めいたします。ただほとんどのアイテムは補償の対象となりますが、特定の基準を満たす必要があるため、個別にリストアップしておくか、特定のアイテムとして追加する必要のある貴重品は事前の告知を要求される場合もあります。  

考慮すべき点は何ですか？

❶ いくらの補償をかけるか 

家財にどのくらいの保険金をかけるかの判断は難しいものです。特に宝石、美術品、コレクションは価値の査定が保険会社によって異なる場合もあるため、保険会社で用意されている見積もり計算ツールを活用して事前の高額商品の保険金を確認しましょう。

❷ 全て補償されるとは限らない

保険証券に記載されている限度額を確認しましょう。保険会社やプランによって限度額が指定されています。また免責金額も保険会社によって異なるため、保険を比較検討する際には、必ず保険約款を確認ください。

磨耗や破損による損失は除外されます。例えば、指輪からダイヤモンドが落ちてしまった場合に留め具が摩耗していることが確認された際は補償の対象外です。定期的にジュエリーの金具を点検することが大切となります。

❸ 領収書や評価額の書類を保管 

貴重品の写真を撮るだけでは不十分な場合があります。領収書や評価額を表した書類を保存しておくと、請求の際に迅速に支払いが進みます。デジタルコピーをクラウドストレージに保存しておけば、請求時の対応が楽になります。ぜひ家族で共有しましょう。

1年に1回は補償対象を確認

学校の進学や新しい家族を迎える、あるいは引っ越しといったイベントでは多くの家財の購入または処分が発生します。ぜひ補償が必要か、もしくは不要かの見直しをしましょう。

その地域の自然災害リスクを知ろう

終わりになりますが、自分が住んでいる地域の自然災害リスクを考慮し、適切な保険を選ぶことが大切です。地震、風水害、洪水、山火事などの自然災害が頻繁に発生する地域では、それらのリスクに対する補償を追加した総合的な保険が必要となる場合もあります。また車や住宅保険は住んでいる地域によりリスクが異なるため、引っ越し後に保険料が変更になることがあります。

また保険金請求時には、証拠書類を漏れなく集めましょう。保険会社からの保険金の支払いには、請求書、発生した損害についての証拠等の提出が必要となります。

＊あくまでも記事内で紹介した内容はモデルケースや参考例であり、保険会社や補償プラン、および個人の状況によって補償等の内容や時間に変更が生じます。また記載されている情報に基づいて読者が被ったあらゆる損害に関しても一切責任を負うものではありません。
＊弊誌では情報の精査に努めておりますが、記載されている情報は2023年3月中旬現在のもので、変更が生じる場合があります。

2023年4月号掲載
Text: Mariko Mckenzie