【公認会計士】高校卒業後に英語の勉強のためNZへ。語学学校にとどまらず大学へ進学、さらに公認会計士の資格を取得して自ら事務所を立ち上げた。 – 松堂さん

認会計士(Chartered Accountant) 松堂 英斗さん BUSINESS

日本の高校卒業後すぐ、英語の勉強のためにニュージーランドに渡った松堂さん。語学学校にとどまらずニュージーランドの大学へ進学、卒業し、さらに公認会計士の資格を取得、自ら会計事務所を立ち上げるに至った。ビジネスの始めやすい国、ニュージーランドで公認会計士の果たす役割は大きく、起業をサポートすることで自らも日々刺激を受ける毎日だそう。そんな松堂さんに、英語環境で進学することの苦労や楽しさ、ニュージーランドでの就職活動や職場環境、会計士という仕事の魅力についてお話を伺った。

Q. ニュージーランドへ来たきっかけは何ですか?

2001年、高校を卒業した直後に、英語を勉強するためにニュージーランドに来ました。ニュージーランドを選んだ理由は為替レートが他の国と比べて良かったからです。1NZドル=50円を下回ってたと記憶しています。

Q. ニュージーランドで公認会計士になるにあたって、何をどのように準備されましたか?

ニュージーランドに来て初めの10か月は南島の語学学校で、その後の1年間はワーホリとして働きながら、楽しく過ごしていました。大学に進学するかどうか悩んでいたのですが、ワーホリビザが切れるころに決意を固め、大学入学のためにファウンデーションコースを始めました。ここに6か月通う間に、英語の大学入学要件であるIELTS Academic 6.5以上をクリアしました。

会計の道に進むことを決めたのは大学の初年度が終わるころです。必須科目として法律やマネージメント、会計などの様々な分野の勉強をした結果、他の科目と比べて数学が得意だったこともあり、自分には会計が合っていると考えたのです。大学で4年間勉強した後、卒業後に大手会計事務所に就職しました。実務経験を1年積むと、公認会計士協会の1次試験を受けることができます。それに合格した後さらに2年半の実務経験と5か月間のプロフェッショナルスクールを経て、公認会計士協会の最終試験の受験資格が得られます。この最終試験に合格して、ようやく公認会計士(Chartered Accountant)の資格を得ることができました。

大学入学を決めた頃は、本当に入学できるのか、英語の授業についていけるかの心配はありましたが、ニュージーランドの学生は多国籍なので、同じ悩みを共有できる友達がたくさんできました。もちろん、初めは英語で読んだり書いたりするのにものすごく時間がかかり、かなり勉強しないとついていけませんでしたが、大学にも各種サポートがあるので、それらを利用して乗り越えることができました。挑戦の意思をもって真剣に取り組めば、結果は必ずついてきます。

Q. ニュージーランドでの就職活動はどのように行いましたか?

初めて就職した現地の会計事務所は、大学卒業後に新卒枠にて就職したのですが、この時はとにかく多数の企業にCVを送りました。そのうちの一つに拾ってもらった形です。

ニュージーランドでは転職が一般的で、私も転職した事があります。転職活動では、Seekなどの求人サイトで条件の合う仕事を探し、CV、Cover Letterを作成して送りました。コツは、各募集に合わせてCV、Cover Letterを変えることです。同じ職種でも、企業により募集している内容が少しずつ違うためです。面倒ではありますが、使い回しのCV、Cover Letterは募集側には感づかれていると思います。

Q. ニュージーランドで会計士として働くために必要な資格、あった方がいい経験などがあれば教えてください。

会計士として働く為には、大学もしくはポリテック等の資格があれば仕事が見つかりやすいと思います。会計の勉強をしたことがなくても、過去の経験があれば、会計士として就職することも可能です。経理から仕事を始めて経験を積み、会計士になる方もいます。

コネがあると就職に有利とは言いませんが、何かの時にどこかでお声がかかったりする場合もありますので、ニュージーランドでは横の繋がりは大事にした方がいいと思います。

ニュージーランドで会計士として働く松堂さん

Q. 会計事務所を起業されたとのことですが、起業に踏み切ったきっかけを教えてください。

現地の公認会計士事務所、現地の一般企業にて会計士としての経験を積む中で、ビジネスオーナー、経理部署の方々、現地企業で働く様々な方とお付き合いさせて頂く機会がありました。そこで、クライアントに対して、年度末の確定申告だけではなく、数字を理解したうえでのビジネス戦略、システム導入など、会計士としてサポートできることがもっと沢山あるのではないかと感じる事が多々ありました。そのギャップを埋める為には自分のビジネスを始めた方が良いと考え、起業に踏み切りました。

会計士という職業柄、一般的な知識はある程度あったと思いますが、実際に起業の実務となると大変な事が沢山あり、今でも日々勉強の毎日です。

Q. 会計士の主な仕事内容について教えてください。

会計士の主な仕事は、確定申告、税務アドバイス、ビジネスコンサル、会計ソフトの導入などです。クライアントは、中小企業からトラスト、個人まで、様々いらっしゃいます。

これからビジネスを始める方には、どの体制がいいのか相談に乗ったり、GST申告等各種の税務申告、株主、会社分散、節税に伴う構成などの税務計画、ビジネス費用の削減レビューなどを行なっています。

個人については、収入がPAYEの差し引かれる給料のみの場合は確定申告の必要はありません。しかし、フリーランスの仕事の収入や家賃収入など、「その他の収入」がある際には、確定申告が必要となってきます。その時は会計士に相談するといいですよ。

Q. 会計士として仕事をする上でのやりがいを教えてください。 

やりがいは、クライアントが「会計士だから」話してくれる事があり、クライアントから信頼されていると実感できることです。

逆に、どんなに頑張って仕事をしてクライアントに税金の支払い額を連絡しても、感謝される事が全くないのはデメリットですね(笑)。

Q. 「ニュージーランドで働く」ならではの魅力について教えてください。

ニュージーランドは世界的に見てもビジネスが始めやすい国と言われていて、実際にビジネスを立ち上げる人がたくさんいます。そういう方と多く話していると自分も刺激を受けることができますし、そのサポートをさせて頂くことで、多くのビジネスを間近に見ることができるのは楽しいですね。

Q. ニュージーランドと日本での働き方の違いなどはありますか? 

私は日本で就職した経験がないので具体的な比較はできませんが、ニュージーランドは仕事をしっかりとしていれば、フレキシブルな働きが認められやすいと感じます。私の周りには、週2日は自宅勤務をしている人、子どもの学校のイベントに参加するために他の日に長めに働いて勤務時間を調整する人、スクールホリデーになると必ず休暇をとる人などがいて、公私ともに充実しているように見えます。

ニュージーランドは仕事をしっかりとしていれば、フレキシブルな働きが認められやすいと感じます

Q. 最後に、これからニュージーランドで会計士をやりたいと考えている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

ニュージーランドで会計士として仕事に就きたいと考えている方は、日本でもニュージーランドでもいいので、経理の経験があると良いかもしれません。学校の勉強ももちろん大切ですが、就職となると経理実務経験がある方が採用されやすくなると思います。ニュージーランドは頑張っている方を応援してくれる方も多いので、自分のしたい事を周りに話すのも良いと思います。


認会計士(Chartered Accountant) 松堂 英斗さん


公認会計士(Chartered Accountant)
松堂 英斗さん


沖縄県出身。高校卒業後、語学学習のため単身ニュージーランドに留学し、その後オークランドで大学を卒業。ニュージーランド公認会計士として16年の経験を持つ。オークランドの会計事務所、Toroma会計事務所の創業者。2017年には日本ビジネスクラブNZを主催し、各種セミナーや交流会を開催して、日本人向けにもビジネスの情報共有を促進している。
Web: www.toroma.co.nz
facebook: www.facebook.com/ToromaAccountants/
LinkedIn: linkedin.com/company/toroma-chartered-accountants/

取材・編集 GekkanNZ

この記事の内容は個人の過去の体験談です。必要な場合は、最新の情報をご確認ください。

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