金融政策とは、中央銀行(日本なら日銀、ニュージーランドならNZ準備銀行)が金利やお金の供給量を調整して、景気や物価を安定させるための政策です。この金融政策が、為替市場(通貨の交換レートが決まる市場)に大きな影響を与えます。
金融政策の2つのタイプ
金融緩和:金利を下げ、お金を増やす(景気に対しアクセルを踏む)
目的:景気を良くする
影響:お金が借りやすくなり、企業や個人の支出が増える
為替への影響:金利が低いと投資家がその国の通貨を売り、価値が下がる(円安・ドル安など)
金融引き締め:金利を上げ、お金を減らす(景気に対しブレーキを踏む)
目的:インフレ(物価上昇)を抑える
影響:借入れコストが上がり、消費が抑えられる
為替への影響:金利が高いと投資家がその国の通貨を買い、価値が上がる(円高・ドル高など)
為替市場の反応
例えば、日本が低金利政策を続け、ニュージーランドが利上げをすると、投資家は「金利の高いNZドルを持った方が得」と考えて円を売り、NZドルを買います。これにより「円安・NZドル高」になります。
逆に、日本が利上げすれば、円の魅力が増し「円高・NZドル安」になる可能性があります。
投資家へのポイント
● 金利が高い国の通貨は買われやすい(高金利通貨の魅力)
● 金利差が為替レートを動かす(円安・円高の原因)
● 中央銀行の政策発表は市場の注目ポイント

では実際の例で確認してみましょう。2015年から現在までのNZD/JPYの為替レートとニュージーランド政策金利の推移表(下チャート)をご覧ください。2015年から2020年までニュージーランド政策金利は利下げ傾向となっています。それに連動するかのようにNZD/JPY為替レートが円高に動いています。また2021年から2024年までニュージーランド政策金利は利上げ傾向となっており、為替レートも円安に連動しています。
為替市場の動きはさまざまな要因で動いています。その要因の一つが各国の金融政策です。各国の金融政策を注視することで各通貨の為替変動の方向性を読み取ることができるかもしれません。金融政策と為替市場の関係を理解すると、FXや海外投資の判断がより確実なものになるでしょう。ただし為替市場の動きは金融政策のみではなく景気動向、経済収支、各種経済指標やテクニカルな要因でも動きますので様々な指標を参考にすることが重要です。


池口健一郎
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