在ニュージーランド日本国大使館便り- 大澤 誠 特命全権大使インタビュー

在ニュージーランド日本国大使館便り BUSINESS

現在、ラクソン政権は経済活動を重視しており、主な政策としては、減税、公的部門の人員削減や、インフラ整備・鉱山開発・養殖等の実施手続を簡素化するファストトラック法案の審議などを進めています。

貿易面では、「China and…」アプローチを掲げ、最大の輸出先である中国との良好な関係を維持しつつ、CPTPP※やEUとの自由貿易協定(FTA)の活用や、インドやUAE等との新たなFTA交渉を通じ、貿易の多角化を図ろうとしています。

外交・安全保障政策に関しては、前労働党政権が昨年発表した「国家安全保障戦略」を基本的に維持し、自由や民主主義といった基本的価値を共有する諸国との連携を重視しています。ラクソン首相やピーターズ外相は、伝統的パートナー・同志国を訪問し、連携の維持強化に努めています。

投資の活性化も重視しているので、日本企業にも新たなチャンスがあるかもしれません。再生可能エネルギー、水素、宇宙開発といった新たなビジネス分野での協力も進んでいます。

講演の様子
訪日直前のラクソン首相と
訪日直前のラクソン首相と
日本企業支援
日本企業支援

引き続き、大使館では、ニュージーランド政府との対話を通じ、日本企業の皆様の活動を後押ししていきます。
本講演後の6月17日〜19日には、ラクソン首相が日本を訪れました。岸田総理との首脳会談では、基本的価値を共有する日本とニュージーランドの「戦略的協力パートナーシップ」の更なる強化を確認し、安全保障面では情報保護協定の実質合意が大きな成果となりました。また、ニュージーランド企業による日本製人工衛星の打上げ契約をはじめ、新たなビジネス分野でも具体的な進展が見られました。

※ 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership
オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11ヶ国によって締結された、多国間貿易協定

大澤 誠 特命全権大使インタビュー

※1「総督」ニュージーランドの国家元首であるイギリス国王に任命され、その名代としてニュージーランドの首相、閣僚の任命。議会で承認された法案の裁可などを行う。
※2「信任状の捧呈」外交使節団の長として大使を派遣することを派遣国の元首(日本の場合は天皇陛下)から大使の任国の元首に対して伝達するため、信任状と呼ばれる公文書を手渡すこと。大使は、任国の元首に信任状を捧呈することによって、外交活動を正式に開始することができます。

本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。
ご一緒にいろんなお写真を拝見しながら、お話を伺います。

まず、大使として取り組みたい重点分野をお聞かせ下さい。

まずは「経済的な協力関係を繋ぎたい」、そして「日本の投資を強めていきたい」と考えています。ニュージーランドと日本は考え方が近いことが非常に多いので、同じ民主主義国家として自由な貿易、自由な投資を大事にして環境作りしていくことが大事だと思います。

シンディ・キロ総督と信任状捧呈式にて
シンディ・キロ総督と信任状捧呈式にて

様々なものを召し上がっているお写真がたくさんありますが。。。
 はい、私の狙いたいことのもう一つに「フュージョン」を推すことがあります。ニュージーランドと日本のそれぞれの食材をフュージョンさせたいですね。その第一段階として、まずはニュージーランドの良いものを知るために、いろいろといただきました。この農産物の豊かなニュージーランドでも、そういうことをやって、日本からの輸出にもつなげていければと思います。

フィジョアはいかがでしたか?
はい、大好きです。あの酸っぱさがたまりません。ついつい、これを使って和のスイーツができないかとか考えてしまいますね。

イチゴ狩りの写真ですか?
これはネイピアで日本人の方が、日本の栽培技術で作られているイチゴなんです。ネイピア空港でも販売されていました。

いちごやフィジョアを食す大使

農林水産省のご出身ならではの取り組みですね。
そこで、ニュージーランドでの日本食の普及に関してぜひ、
お考えをお聞かせください。

日本食の普及については、もっとできることがあると思います。ニュージーランドには、日本食を専門に扱っている会社がいくつかあり、販売流通網がしっかり作られています。これは、私が以前住んだフランスやスイスには、なかったこと。こんなルートがあるというのは非常に素晴らしいと驚きます。さらに、日本式の魚の処理をすることで、本当に美味しい魚をもっと普及できる気もします。日本の果物なども季節が逆な両国の関係を生かせると良いですよね。

インタビューでお会いした時のネクタイの柄が食材のデザインで印象的

食に関するアイデアも満載ですね。
日本食に関するイベントなどをタイアップできたら良いと考えます。
こういうことを言う理由の一つには今から10年ほど前の私に日本食をユネスコ無形文化遺産に登録するという仕事がありまして。

ええっ!すごいです!
10年前は、まだまだ和食の文化的価値が今のように浸透していませんでしたので、少数の部下と手探りで案を考えました。提案してみると多くの話題に取り上げられ、個人的にはすごく嬉しく思います。最初は『会席料理』で登録申請を予定していたところ、庶民文化の必要性を問われるのでは?との話になり、『和食』に切り替えました。ニュージーランドでも、もっともっと和食を広めたいものです。

さて、少しプライベートのお話もお聞かせいただけますか?
このお写真というかイラストは何でしょう?

これは、昔の私なんです。

どのくらい昔なのですか?
20年ほど前、駐在地ジュネーブでのカラオケ大会です。 私は、とても声がハイトーンなもので、音域がピッタリと
合いまして、1番得意なのは荻野目洋子の『ダンシング・ヒーロー』なんですよ。そういえば、最近、日本で大阪の高校ダンス部がバブリーダンスって振り付けで準優勝。『 ダンシング・ヒーロー』が再度注目を浴びました。農林水産省の若手はみんな私の歌しか聞いたことがなかったので「これが、もと歌か!」って初めてわかったという話も。

古田暁人(2009~2011ウエリントン在住)画
古田暁人(2009~2011ウエリントン在住)画

なるほど(笑)
その他はテレサ・テン、男性では徳永英明とか、音域が合いますね。庄野真代の『飛んでイスタンブール』も懐かしいです。

本当に女声ですね(驚)。
今、密かに練習してるのはYOASOBI、ちょっと早すぎてついていけないんですけど。

ぜひとも、ニュージーランドの夜空に響かせて下さい。
多分1曲では、収まらないと思いますが(笑)。

大使は、早寝早起き、十分な睡眠確保、好き嫌いなく食べること、そして、大好きな歌を歌うことが健康法。
この後も話は尽きることなく、楽しく興味深いお話をたくさん伺いました。
カラオケ大会でのお話の続編。
学生時代から、農林水産省に入るまでのお話。
仕事上、生活上のモットー。
マラソン姿のお写真についてなどなど。
この後のエピソードはGekkanNZwebサイトにて、近日公開いたします。お楽しみに。

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