日本人向け新薬の治験を行っているニュージーランド・クリニカル・リサーチ。
同社が果たす日本のヘルスケアの発展のための新薬供給の役割とは何か。
治験とはどういうものなのでしょうか。
ゲームチェンジャーとなる新薬の役割
日本では、過去20年間で医薬品への国の支出が着実に増加しています。新薬開発を引き続き促進できるようにし、かつ製薬会社の収益性と安定性を保つことは特に重要でしょう。2007年まで、日本では長く売れ続けているブランド薬に90%以上依存してきました。そのような医薬品事情に対し、厚生労働省は後発薬であるジェネリック医薬品の普及を促進し、最先端技術を使用した高基準の新薬を供給することに成功してきました。
また、厚生労働省が製薬価格(薬価)の改定ルールを変更したことも、医薬品業界の発展に寄与しました。これまでの2年ごとに販売価格を下げるシステムから、臨床的に優れていることを示した新薬を、特別に『ゲームチェンジャー』と評価し、隔年の値下げ対象から除外するようにしたのです。これにより、製薬会社の開発費用と時間を抑え、最も洗練された新薬が日本へ流通できるようになりました。
医薬品許可に向けた治験デザイン
日本のヘルスケア業界を支えるのは、ジェネリック医薬品や新薬の安定供給。さらに日本向けに供給される新薬において安全性を保証することは最重要事項です。このミッションは、厚生労働省の一部である医薬品医療機器総合機構(PMDA)に引き継がれており、PMDAは「外国で行った臨床試験で日本人の被験者がいない場合は、日本で新薬の供給は認めらない」と原則を設けています。
ニュージーランド・クリニカル・リサーチ(NZCR)では、この認証プロセスを満たすため、新薬治験対象者50名程度のグループに日本人被験者8人程度を加えて治験を行っています。複数のグループ事象・原因・関連性を調べ、外国人と日本人の被験者で薬の効果が同じであることを確認し、この結果によりPMDAが、新薬は日本人に適合していると承認すれば日本市場へ提供が可能になります。そのプロセスのひとつとして、NZCRは新薬3種の治験を行ってきました。3種類とも、治験を受けた日本人に副作用や合併症は見られず、日本で認可されてすでに市場に出回っています。支出を抑えつつ日本人の健康を守りたいという厚生労働省のビジョンに貢献できるよう、今後も新薬の治験にご協力いただけましたらありがたいです。
Doctors
地域医療事業の担当者として、東京に長期赴任し、 厚生労働省と医薬品医療機器総合機構の医療事業に貢献している。
現在 NZCR はさらに日本人が新薬を使えるように多くの治験を行っています。これらの治験に参加してくださる以下の条件に合う方を募集しています。
【問い合わせ先】 Info@nzcr.co.nz
【治験の登録サイト】www.nzcr.co.nz/register-auckland
【Facebook】www.facebook.com/nzcrauckland
文 Mark R Marshall, Paul Hamilton
編集 GekkanNZ編集部
2021年9月号掲載