Good Kiwi Tucker! vol.202 イースターはまだ先でもエッグハント真っ最中!?

Good Kiwi Tucker! GOURMET

ほんの数号前に「卵がものすごく高くなってきた!」という話を書いたばかりだが、今年に入ったらついにその高額おタマゴ様でさえ買いたくても買えない事態になっている。なんと、どのお店の卵のコーナーに行っても、だいたい棚がスッカラカンなのだ!いや〜、ないないと言ったって、大きなスーパーなら自分の分ぐらいはあるもんでしょ、そうでなければオーガニックにしてフリーレンジの超高級おタマゴ、ダースに12〜3ドルも出す気概があるなら買えるはず。そんなふうに覚悟を決めて卵コーナーに向かうというのに、目に飛び込んでくるのは何もない棚だけである。それでも、ものすごく運が良ければ、たまたま貴重な入荷直後の卵が積まれた瞬間に出くわすこともあるし、もっと運が良ければまあまあ許せるお値段のケースを手にすることができる。しかし、その日の運勢がふつうならば棚はカラ、凶ならばスーパーを数軒ハシゴしてもその状況が変わらない、ということになる。

なんだってこんなことに…。それもこれも、ニュージーランドの採卵養鶏場でのニワトリの飼育方法が昨年の12月から変更され、バタリーケージと呼ばれる狭いケージで卵を産ませるのが残酷とみなされて禁止になったことが原因らしい。そうしたら国内の75%の養鶏業者さんたちが今までの飼い方を変える必要に迫られたのだそうだ。さらに規制が始まる前に養鶏自体をやめてしまう業者さんも多かったようで、今年になったら必然的に卵が世の中に行き渡らなくなったのだ。当然、卵が大好きで、料理にもお菓子作りにも卵を使いまくっていたわたしの生活もおかしなことになってきた。今では卵は貴重すぎて、いかにして2個使うところを1個で済ませるか…と悩んだり、卵ケースの残りが6個ぐらいになったらもう切なくて1個も使いたくなくなるとか、なんとも悲しいこのありさま。

ナイものは描けないという・・・
イラスト リカ

ましてや、せっかく大枚はたいてゲットしてきたケースを家で開けたら、実は中の1個にヒビが入っているのに気付いたりした日には!以前は半ば冗談で『ニワトリさんの幸せのためなら、人間はどうなってもいいわけ?』なんて言っていたが、今の時点ですでにわたしがだいぶ不幸っぽい気がする!

しかし、わたし以外の人たちもこれでいいのだろうか…。たしかにこの国では平日の朝から卵料理、なんていうのは一般的じゃないから、そこまで卵、卵言わなくても生きていけるのかも。それに、ちょっと郊外に行くとニワトリをペットとして飼っている人などもけっこういて、自分で食べる分ぐらいは自分でなんとかしてます、みたいなのもよく聞く話。う〜んごめんなさいっ、わたしは相当な食いしんぼだけれど、食に対してそこまでマメになれるわけでもなくて…。やっぱり卵は、本当はもっと手に入りやすい値段で、お店に行ったらいつでも買えるものであってほしいし、たまにはたっぷりと使って、おいしく食べられるものであってほしい。今のこの卵不足も一時的な現象だったらいいと思うけれど…高くてもガマンして買っているうちに、きちんと出回るようになってからも値段だけは高値がしれっと定着しそうでコワい。それでも食べますけどね!フワッフワのケーキだって、めちゃめちゃぜいたくな気持ちで作って、リッチに平らげるぞ。ただし、そんな日が来ても、ニワトリは絶対飼わないな…とてもわたしの手で幸せにできる自信がないから!?

*Tuckerとはキーウィ独特の言葉で、「食べ物」というよりは「お腹に詰め込むもの」という意味

マツザキ リカ

ニュージーランド在住26年。クライストチャーチを拠点に暮らし、心も体も豊かにするキーウィフードの探求に余念がない。おいしいものも不思議なものも、いただきます!

2023年2月号掲載

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