激しい盛り上がりを見せたラグビー・ワールドカップ日本大会から4年が経ち、またまたあの熱い闘いの火蓋が切って落とされた。思い起こせば、4年前の日本でのラグビー旋風はすごいとしか言いようがなかった。開幕前は「ラグビーって…そんなになじみがないけどネェ」なんて言っていた日本の親戚や友達がこぞってテレビにかじりつき、ラグビー談義にケンケン、ゴウゴウしている姿を見ては呆気にとられたものだった。なんだか、いちおうニュージーランドに住んでるわたしの方が「いや…そこまではァ…」と腰が引けていたような。そもそもわたくし、スポーツのイベントに自分自身がのめり込むということはほぼないのでございます。たとえそれがニュージーランドのお家芸といわれるラグビーであっても(こんなこと書いてたらなさけなくて泣きたくなるけど〜)熱量はそこそこ。ウッ、ゴメンなさい。そこはちょっぴり後ろめたいです!だがしかし、それより何より、こういうイベントがあるとなったらわたしが真っ先に気にすること…それは、ワールドカップテーマの食べ物が登場しないかな〜⁉ということに他ならないのである。
ましてや今年の開催国はグルメの国フランスだというではないか。ならばラグビーボールのショコラとか、マカロンなんて、あったらいいじゃーん⁉ 4年前の日本では、ラグビー日本代表チップスや、レストランでのスペシャルランチなどまさにその場に便乗した限定食べ物が出ていたのを覚えている。日本ではもともと、ラグビーが盛んな町のおみやげとしてラグビーまんじゅうやらモナカなんかも作られていたりして「せっかくだから記念に買っちゃう〜!」みたいな心理を見事についたお菓子自体が前からあるのだ。そこへワールドカップがきたら、日本はしっかり乗っていた。そしてここニュージーランドでも…前の時にはあったよね、突然ひらめいたような“ラグビー・クッキー”(一応ボールの形だというが、線が一本しか入っていなくてコーヒー豆⁉にしか見えなかったけど…)とか、いろいろな国がテーマのスペシャルフレーバーのポテトチップスとか。チョコレートもたしかニュージーランドのフラット・ホワイト味と日本の抹茶味が出て、どっちを食べるか悩んだりもした。
前回はそんな感じだったから、さて今年は⁉と思ったら…。ないのよ、ほぼ何にも。そんなはずは、といろいろ探してはみたものの、今のところワールドカップ関連のものは、公式ビールだけしか発見できていない。なんならムキになって翻訳機能でフランス語でもサーチしたけど、フランスにもナイ!ええ〜お菓子だけでも買って応援しようと思ったのに。なんだかんだ、4年前は乗ってみたけれど買わされる方の国民としては「それが何⁉」で終わったのだろうか…。わたしのようにイベント=食べ物じゃないのね。やっぱりラグビーは、ラグビーを見て応援しよう(当たり前) 。かろうじて、4年前にいかにもニッポンテーマで発売されたワサビマヨ味のポテトチップスだけは、いまだに人気があるみたい。広いスーパーの棚という棚を見て回った結果、それだけは見つかったのである。せめてそれとおビールでニュージーランドも日本も両方応援しよう!そしてワサビ味が鼻にしみるようなカラい展開が続かないことを祈ります(初日ニュージーランド戦の後なので、つい…)。
*Tuckerとはキーウィ独特の言葉で、「食べ物」というよりは「お腹に詰め込むもの」という意味
マツザキ リカ
ニュージーランド在住27年。クライストチャーチを拠点に暮らし、心も体も豊かにするキーウィフードの探求に余念がない。おいしいものも不思議なものも、いただきます!
2023年10月号掲載