Good Kiwi Tucker! vol.211 朝にジュージュー焼いてます!?ブレックファースト・ソーセージ

Good Kiwi Tucker! GOURMET

長い間ニュージーランドに住んではいても、わたしは日本人なので、時には朝ごはんやお弁当のおかずにウインナーが食べたい…と思うのである。皮にちょっと切り目を入れて、フライパンでジュージュー、コロコロ。あっという間に火が通って、忙しい朝でもすぐできる。日本では定番中の定番な上、お気に入りのメーカーまであるのだから、なんとかこの国でも近い感じのがないかな〜?と探したこともあった。そうしたら、かつてクライストチャーチでけっこうメジャーなお肉屋さんから“クランスキー”というチーズ入りソーセージ(そう、ウインナーじゃないよね、ソーセージ!)が出たのだ。それはサイズも手頃であり、まあまあパリッと焼けて味もイケるということで、日本でいうウインナーに近かった。その上、他のメーカーからも似たようなウインナーっぽい商品が出始めたりして、当時ちょっとした流行りに⁉

しかし、プチブームはその時だけでラインナップは広がりを見せず「日本のと似てるけどな〜」というところでウインナー的ソーセージの進化は止まっている感じなのだった。

だいたい、本来ニュージーランドで主流とされるソーセージは、いわゆるウインナーとは全然ちがうものだ。生〜な感じのソーセージミート(ひき肉)が極薄の皮に包まれていて、形は大きく太いのに、持ってみるとモニョ〜と柔らかで…そういうのが1パックに6本ぐらい入っている。これだと朝食っていうよりはバーベキューで豪快に食す、みたいなスタイルがお似合いなのよね。平日の朝っぱらからこんなの焼いて食べる家ってないだろうし…。そんなことを考えながら、お店のソーセージのコーナーを隅から隅まで(けっこう種類が多いのだ)見ていたら、あっ!こういう生タイプのソーセージにもあるじゃないの、ウインナーみたいに小さめサイズのものが。しかも名前も"ブレックファースト・ソーセージ"だ。そしてこれがまた、お店によってポークだったりビーフだったり、ひっそりとオリジナリティを発揮しているから…気になる!

パリッとできたが遅刻!?
イラスト リカ

そんなわけで、手作りソーセージが並ぶお肉屋さんをハシゴして、ブレックファースト・ソーセージと名のつくものを2本ずつとかいう単位で買ってきてみた。グラム売りだとこういう時に助かるのだ。そして、それらをフライパンでジュージュー、コロコロすればいいんでしょ、かんたーん!ところがムムッ?いわゆるウインナーだったら、強めの火でササっと焼けるものなのに、ブレックファースト・ソーセージとは原型はあくまであのモニョ〜とした薄っす〜い皮のソーセージである。しかもサイズが小っちゃくてデリケ〜トだこと…。

つまり、パリッと焼くなら火はやや弱め、転がすときもじ〜っくり、やさ〜しく、ゆっくりと⁉

いや、ビーフのもポークのものも個性があって、とってもおいしかったです。でも、ブレックファーストとか言いつつ、これを朝用にじんわりトロトロ焼いていたら遅刻する‼

やっぱり、フライパンを引っ張り出してイングリッシュ・ブレックファーストでございますゥと気取るのは、週末に限るってことかしら。ジュージュー、コロコロのウインナーを目指すわたしたちの道のりはまだまだ遠い(あるいはもうクランスキーで終点に着いている?)。もしも「朝はコレがいい!」というのを発見したら、どうかわたしにも教えてください!

*Tuckerとはキーウィ独特の言葉で、「食べ物」というよりは「お腹に詰め込むもの」という意味

マツザキ リカ

ニュージーランド在住27年。クライストチャーチを拠点に暮らし、心も体も豊かにするキーウィフードの探求に余念がない。おいしいものも不思議なものも、いただきます!

2023年11月号掲載

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