老後はNZ?日本に帰国? 今から知って備えたい、NZの年金制度

老後はNZ?日本に帰国? 今から知って備えたい、NZの年金制度 IMMIGRATION

※情報は2024年6月現在のものです

NZの老齢年金NZ Superの受給資格・条件とは?

ニュージーランドにはNew Zealand Superannuation(NZ Super)という老齢年金制度がある。税金を財源としており、以下の条件を満たせば日本人でも受給可能だ。

◆65歳以上
◆ニュージーランド国籍、市民権、永住権保持者
◆受給申請時にニュージーランド、クック諸島、ニウエ、トケラウのいずれかに居住していること
◆20歳を超えてから通算10~20年間(生年月日によって異なる。以下の表参照)ニュージーランドに居住し、かつこの期間内に50歳を超えてからの5年間が含まれること

生年月日居住年数
1959年6月30日以前10年
1959年7月1日~1961年6月30日11年
1961年7月1日~1963年6月30日12年
1963年7月1日~1965年6月30日13年
1965年7月1日~1967年6月30日14年
1967年7月1日~1969年6月30日15年
1969年7月1日~1971年6月30日16年
1971年7月1日~1973年6月30日17年
1973年7月1日~1975年6月30日18年
1975年7月1日~1977年6月30日19年
1977年7月1日以降20年

受給金額は独身、既婚、事実婚、一人暮らし、同居人がいる、ほかに収入があるなど個々の状況に応じて変わる。一例は以下のとおり。2週間ごとに指定の銀行口座に振り込まれる。

<2週間ごとの支給額> 
※金額はTAXコードM(ほかに収入がない)の場合
◆独身者が単独で暮らす場合 $1,038.94(税引き後)/1人
◆独身者が同居人と暮らす場合 $959.02人(税引き後)/1人
◆既婚/事実婚者が2人で暮らす場合 $799.18(税引き後)/1人

65歳になる12週間前から申請可能。 
申請はWork and Incomeのウェブサイトからオンラインで行う。なお、日本を含む海外生まれの居住者は、出生国の年金受給資格の有無を証明しなければならない。

NZ Super受給者になると、自動的にスーパーゴールドカードが発行・送付される。このカードを持っているとオフピーク時の公共交通機関を無料で利用できるなど、さまざまな割引サービスが受けられる。

国外でもNZ Superを受給できる

日本に長期一時帰国するなど、ニュージーランド国外にしばらく滞在する場合でも、すでにNZ Superを受給していれば引き続き受け取ることが可能。ただし以下のようなルールがあり、詳しくはWork and Incomeに個別の相談が必要なので覚えておこう。

●国外滞在期間が26週間以内の場合 → 受給額に変更なし
●国外滞在期間が26週間以上の場合 → 全額もしくは一部の受給が可能。出国の6週間前までに要相談

Work and Incomeへの届け出なしに30週間以上、ニュージーランドに戻らなかった場合、出国後に受給したNZ Super全額の返金を求められる可能性があるので要注意。

 また、以下の場合も届け出が必要だ。
・ニュージーランドを28日間以上不在にする(海外旅行含む)
・不在にする期間が未定である
・1年間に2回以上、国外に行く予定がある

日本の年金との関係は?

日本の年金制度を管理しているのは日本年金機構(Japan Pension Service)。
受給資格は以下のとおりだ。

◆原則として65歳以上(60歳からの繰り上げ受給、66~70歳までの繰り下げ受給も可能)
◆保険料納付済み期間・保険料免除期間などの合算が10年以上

前述のとおり、NZ Superを申請するならWork and Incomeに日本の年金受給資格を申告する必要がある。日本の年金に関する詳細は、日本年金機構へ問い合わせを。日本全国に窓口があるが、日本の最終住所(最後に住民票があった市区町村)の事務所が管轄となる。申告を怠るとNZSuperの受給資格を失う可能性があるので必ず行うこと。

日本の年金受給資格者は、基本的にNZ Superの受給額から日本の年金の受給額を引いた額が支払われる。そのため日本の年金受給額がどれくらいあるのか把握しておくことが重要だ。

2017年3月、ニュージーランド政府は2037年までにNZ Super受給開始年齢を67歳に引き上げる計画があると発表した。今後、年金に関する制度は変更される可能性があるので、定期的に条件等のチェックをして備えていこう。

ニュージーランド在住のNZ Super/年金受給者にインタビュー

プロフィール
67歳女性(日本生まれ、ニュージーランド国籍)、ニュージーランド人の夫(62歳)と2人暮らし
Q
日本の年金を受給することになった経緯は?
A

長年ニュージーランドで暮らし、ニュージーランド国籍も取得したので日本の年金受給資格があるとは考えていませんでした。しかし、受給資格の確認が必要とわかり、年金機構に問い合わせて手続きを進めることになりました。

Q
手続きは大変でしたか?
A

年金機構とのやり取りは郵送だったので、非常に時間がかかりました。手続きが完了するまでに1年ほど要しました。

Q
日本の年金はどれくらい・どのように受給していますか?
A

年金機構とのやり取りは郵送だったので、非常に時間がかかり日本から2カ月に1度、ニュージーランドの銀行口座に振り込まれます。為替によって金額が変動しますが、平均すると週$70ほどです。日本での受給資格が60歳からだったので、手続き後にそれまでの分もまとめて支払われました。ました。手続きが完了するまでに1年ほど要しました。

Q
日本とニュージーランドの税金はどうなっていますか?
A

年金の受給額が少ないので、日本での申告は不要です。しかし、ニュージーランドではどんなに少額でも課税されます。日本からの年金額からも税金が引かれています。

Q
NZ Superにはどのような影響がありましたか?
A

支給額から日本の年金支給額と税金を差し引かれた額が振り込まれます。日本の年金受給資格があるとわかったので、65歳から67歳まで2年分の差額をWork and Incomeに返金しました。ただ、60~64歳までの年金に関してはNZ Super受給前のため差額等の返金は求められていません。

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