猫が路上の車の上で優雅にお昼寝していたり、犬がしっぽを振り振り散歩したりしている光景をよく見かける。飼っていてもいなくても日常生活にちょっと癒しを与えてくれるペットの動物たち。
今月は、犬と猫の飼い主さんたちにペット事情やペットとの生活について伺った。
NZでは、放し飼いか家猫か
ニュージーランドでは、「猫は外に出さないとかわいそう」という強い信念がありますが、猫は外に出さない方が明らかに安全です。アパートで完全室内飼いの方も多くおられます。ウチ(保護猫カフェNeko Ngeru)からもらわれていった150匹中、約1割は交通事故で亡くなっています。少なくとも日が落ちてからは室内にとどまらせる方がいいでしょう。ネイティブ・バードなどへの被害も少なくなります。ちなみに、派手な首輪は鳥への被害を抑えると言われています。
迷子になる可能性はあるので、マイクロチップはしておいた方がいいですね。ウェリントン市のようにマイクロチップが必須になっている地域も増えてきています。実際、マイクロチップで身元が分かり飼い主が見つかったという話は何件も聞きます。以前、ノラ猫が居着いたから引き取ってほしいという要請がウチのカフェにあり、フェイスブックの呼びかけで飼い主が見つかったことがありますが、マイクロチップがあればもっと早く見つかっていたかもしれません。
猫の住環境については、日向ぼっこも外を見るのも好きですので、窓に取り付けられるベッドがあればいいですね。理想を言えば、Catio(Cat+Patio,金網等で囲われた外のスペース)を作ってあげるといいでしょう。
果樹園で育つ犬たちの生活
我が家の犬たちは広大な果樹園に住んでいるため、敷地外への散歩はたまにビーチに行く程度です。ミカンが大好きで、現在鈴なりになっているみかんを、皮をむいて投げるとパクッと口でキャッチして食べます。私が果樹園に入っていくと、みかんを投げてもらえるのを待っているんですよ。また地面に落ちているミカンも足を使い皮を取って食べたり、アボカドも大好きで、皮をはいで食べることができます。意外と器用な犬たちです。
ポピーは、敷地内に入ってきた人に吠えて番犬として活躍してくれています。果樹園は広いのですが、万が一敷地から出ていかないように、首輪に電波が流れるエレクトリックカラーを付けています。
犬を飼う時のマナーとは
ニュージーランドでは、犬の育成において「ソーシャライズ」が重要なマナーであるようです。パピースクールではいかに人間に従順で過ごせるかをメインに訓練が進みます。ロックダウン中に子犬期を家族とだけで過ごした仔犬達が、家族以外の人間に吠えてしまうという相談もあったと聞きました。しかし、治安が悪く番犬として犬を飼うことが多い国や野良犬が多くて犬を警戒する傾向のある国から来た移民も多いこの国では、ソーシャライズの考え方も多様です。ウェリントンでは、番犬ではなくペットとして飼っている方が多く、仔犬期からソーシャライズさせることに力を入れています。そのためドッグパークへはある程度ソーシャライズされた犬を連れて行くのがエチケットと思います。ドッグパークに通うと常連の方と顔見知りになり、お話する機会ができますよ。
犬同士が初対面の時、相手が攻撃的でないか、相性が悪くないかを瞬時に判断しないと大惨事になる場合があります。パピースクールで教わったのは、公道では人間が内側、犬がお互いの外側になるようにすれ違うこと。犬同士のあいさつが突然の攻撃になり得ることを想定して、人間がさっと間に入って犬同士を引き離せるようにするためです。
猫の一日は規則正しい⁉
飼うのなら保護団体から保護猫をと思い、SPCAとキャット・プロテクション・リーグに数回訪問。「猫から寄ってくるのは相性がいい証拠」と勧められた通りに夢を選んで正解でした。当時は交通量の多い道路沿いに住んでいたので、家猫にすることに保護団体の方も安心されていました。
我が家の猫の生活ルーティンはほぼ時間通りです。朝は5時半に自動自給機から出るカリカリごはんの朝食を食べます。その後ベッドに戻るか、リビングの窓から外をパトロールし、7時半に飼い主を起こしに来てくれます。飼い主の出勤・帰宅時の玄関での見送りお出迎えも欠かさず。留守番中は、家の中から外をパトロールしたり、窓辺やキャットタワーで昼寝したり、おもちゃを使って遊んでいるようです(激しく遊んだのかおもちゃが移動していることも)。夕食後は、飼い主と遊んだり、一緒にテレビを見てくつろぎ、深夜1時に就寝です。
朝食とランチは1回、夕食は2回、朝・夜のおやつは2回ずつ。自動自給機は、決まった時間にご飯をあげられるので健康にも良いし、外出が思ったより長引いてしまった時も気にしなくてよいので便利です。
飼い始める前に考えたこと
日本は完全室内飼いが主流で、東京の実家でも室内で猫を飼っていたので、何となく猫を外に出すことに抵抗がありました。友人や知り合いから、愛猫が交通事故に遭って亡くなったり、外に出たまま行方不明になったりという話を聞くことがあり、心配なので室内飼いすることにしました。外に出て知らないうちに変なものを食べたり、ほかの猫とけんかをしてけがをしたり、よそのお宅の庭でふんをすることなども避けられると考えましたし、完全室内飼いと放し飼いの猫とでは、平均寿命に大きな差があることも理由の一つです。でも、放し飼いの猫より運動量が少なくなるので太りやすく、体重管理は気を付ける必要があります。
放し飼いの猫は知らない人に慣れており、フレンドリーな性格の子が多いように感じます。うちの猫は基本的に家族としか触れ合わないので、知らない人のことは怖がります。一方飼い主に対してはよく懐き、まるで犬のよう。外出から戻ると玄関まで迎えに来たり、名前を呼ぶとすぐに来たり、家でも後をついてきたり、ひざにのって甘えたり、夜はベッドでくっついて一緒に寝たりと、とてもかわいいですよ。