ニュージーランド内には、日本語の書籍を集めて提供している図書室があります。
Japanese Children’s Library
Japan Kauri Education Trust(JKET)で運営している図書館Japanese Children’s Libraryには、現在14,000冊以上の絵本、児童書が並ぶ。子どもの時に読んでいた懐かしい絵本たちが飛び込んできて、思わずはしゃいでしてしまうほどの圧巻の蔵書数だ。絵本の他に漫画、児童書も揃っており、しっかり区分されている。
代表のなおこさんは、2004年4月に家族でニュージーランドに移住。当初、なおこさん自身は、英語に触れられること、異文化の環境で生活することを楽しんでいた。ただ、当時3歳と6ヶ月の2人のお子さんたちに、英語の絵本を読み聞かせしても反応がいまいち。ある日、友人が子どもたちへのプレゼントとしての送ってくれた日本の絵本『ぐりとぐら』を読んでみたところ、とても反応がよかった。
「子どもたちの想像力の広がりをみた時に、これは無くしてはいけないものだなと感じたんです。わたしにはすごく衝撃的な出来事で、子どもたちに伝えられることってなんだろうと考えるようになりました。わたし自身が本に囲まれて育った子どもだったので、みんなで日本語の本をシェアできる場所を作れないか、そう思ったことが日本語子ども図書室を立ち上げたきっかけです。一つの場所に本を集めて貸し借りできるようになれば、みんなでたくさん本を読めるよねと思ったんです。そこがスタートです。」
日本語の絵本の必要性を感じ、図書室のアイディアを実現させるために奮闘。まだニュージーランドに来て1年ほど。知り合いも少なく、なかなか寄付も集まらず、日本のNGOや絵本屋さんなどにも連絡をしてみた。100件送って1件返ってくれば良いような状況だった。「それでもいろんな人と出会えて、それが楽しかったんです」と話す、なおこさん。ついに日本のNPO団体の協力で、2,600冊ほどの絵本が日本からニュージーランドへ届き、2006年、なおこさんの自宅から図書室の活動がスタートする。
徐々に活動が広まり協力してくれる仲間たちが増え、蔵書数も年々増えていき、自宅から拠点を移し、現在はオークランドノースショアのRosedaleで運営を続けている。活動を続けてきて嬉しかったことの一つは、小さな子どもとして図書室に来ていた子たちが大きくなっても遊びに来てくれたり、親になった彼らが、自分の子どもを連れてきてくれることだと話してくれた。毎週水曜日に開かれている2歳未満のお子さん向けの絵本の読み聞かせには、10家族以上が集まり、賑やかで楽しい時間が流れる。集まってくる家族の皆さんに図書室のことを知った経緯を聞いてみると、口コミがほとんど。「Japanese Children’s Libraryを知る前は、市立図書館を巡って絵本を探していたので大変でした」など、なくてはならない存在に。世代を超えて、受け継がれているこの図書室は、日本語の本に出会えるだけでなく、異国で生きる家族にとって、安心できる憩いの場所でもあることが伝わってくる。
Japan Kauri Education Trustでは、Japanese Children’s Libraryの運営以外にも、保護者が中心となって運営する子どものためのプレイグループへの紙芝居や絵本の貸し出しや、地域コミュニティとのイベントの共催、日本語継承センターとして、日本にルーツを持つ子どもたちのための日本語教室の活動や、ニュージーランド教育省 Ministry of Education NZとの共催で保護者向けにニュージーランドの教育システムを学ぶセミナーなどを行っている。詳しいイベントの詳細などは、facebookページにて随時更新中。
Japanese Children’s Library
場所:Level 1, 5 William Pickering Drive, Rosedale, Auckland
開館時間:月・水〜金 9:00am-3:00am、土 12:30am-5:00pm
料金:一般会員(1家族):75ドル
オークランド日本語継承センターの生徒:45ドル
コミュニティーカードホルダーの方:50ドル
団体会員:110ドル ※2024年3月時点
Email:info.jhc@jket.org
FB:https://www.facebook.com/inchJ
Japan Library Pukapuka
日本図書館プカプカは、ジリアン・ヨーク/森下均夫妻がワイカト地域パエロアの自宅で運営する私立図書館で、日本関連図書(英語、日本語)約8000冊を保有。そのうち200冊は、日本財団から寄贈を受けた。英語で日本を紹介する本です。その中には源氏物語や平家物語などもあります。夫婦は、2014年から日本文化や歴史、日本語に興味のある人たちの交流の場として、自宅の一部を開放して、日本図書館プカプカを設置している。カウリの木を使った手作りの本棚を用意し、プカプカをスタートした。(カウリの木の重さ約1トン。本の重さを足すと、2トンにもなり、おかげで、家の土台を補強しないといけなかった。)
読書好きだった両親の影響で、小さい時から本を読むことが大好きだったジリアンさん。漠然と日本への興味、強い魅力を感じていたとか。そして1978年に初めて日本へ行くと、すぐに居心地の良さに憧れ、その後32年間も、日本で生活をすることになり、翻訳、通訳、文筆など幅広く活躍してきた。
「日本に関する本や、日本人作家の本を読むことは、大きな喜びであり、好奇心を満たし、理解を深め、視野を広げてくれる。 学べば学ぶほど学ぶことは増えていきます」とジリアンさん。中でもお気に入りの本は、『お探し物は図書館まで』(青山道子著)だ。
「本は、いつの時代でも深く学び、冒険し、楽しむことができる素晴らしい手段です。活字離れと言われている時代ではありますが、だからこそ、本を通して、ニュージーランドに住んでいる日本に関心のある人々たちと学び合える場所をつくりたいと考えています。」とジリアンさんは語る。
また多くのイベントを企画し、人々が気楽に集まることのできる特別な場所として育ててきました。そしてプカプカを訪れる老若男女の、日本に関する関心の幅の広さに驚いている。
ウェブサイトへの短い書評の掲載も募集中とのこと。さらに、追加してほしい本のリクエストや、寄贈も受付中。
※閲覧、貸出を希望の場合は、事前に電話、メールでご予約を
日本図書館プカプカ Japan Library Pukapuka
Email:japanlibnz@gmail.com
電話:07-862-6834/021-169-5990