2025年1月30日、ニュージーランドの賃貸法が改正され、大家と入居者に影響を及ぼす重要な変更が導入されました。
今回の改正(Residential Tenancies Amendment Act 2024)は、大家が臨機応変に対応できる運用体制を整える一方で、入居者の権利保護を一層強化することを目的としています。
それでは、主な改正内容を解説します。
賃貸契約の終了に関する変更
● 理由不要の契約終了(No-cause terminations)
不定期賃貸契約(Periodic Tenancy)は、90日前の通知で理由を示さず終了可能。
固定期間契約(Fixed-term Tenancy)は、契約満了時に21~90日前の通知または双方の合意により終了可能。通知がなければ自動的に不定期契約へ移行。
● 通知期間の短縮(Shorter notice periods)
大家は、家族の入居、売買成立、自身の従業員の住居利用といった特定のケースで通知期間を90日→42日に短縮可能。
入居者は、契約終了の通知期間が28日→21日に短縮。
● 不当な契約終了の禁止(Terminating for the wrong reasons)
入居者が修理を依頼した直後に契約終了の通知を出すなど、報復的な終了は無効とされる可能性あり。
入居者は通知後28営業日以内であれば、通知の取消しを求めることもできる。また、通知から12か月以内に異議申し立てが可能。
保証金のオンライン手続き(Online bond lodgement)
保証金に関する手続きは、郵送は不要になりすべてオンラインで完結。
室内喫煙の禁止(Indoor smoking bans)
大家は物件内の喫煙を禁止することができ、違反時は賃貸裁判所(Tenancy Tribunal)に提訴可能。
ペット飼育に関する変更
● ペット飼育の許可(Permission to have a pet)
入居者のペット飼育は大家の許可が必要だが、大家は「物件にフェンスがない」「攻撃性の高い犬種」などの合理的な理由がなければ拒否できない。
障害者補助犬(盲導犬等)は許可不要、ペット保証金の対象外。
● ペット保証金の導入(Pet bonds)
これまで禁止されていたペットの追加保証金が最大2週間分の賃料まで徴収可能に(通常の保証金4週間分とは別)。
契約書には通常の保証金とペット保証金の両方を明記。賃料変更に伴い保証金額の調整も可。
入居者のペットが死亡した場合、ペット保証金は返還される。
※ペット関連の新ルールは2025年後半に施行予定。適用はその後の契約から。
今回の改正により、契約書の見直しや管理体制の調整が求められるため、最新の法改正を確認し、適切な対応を行いましょう。詳しくは、ニュージーランド住宅省(Ministry of Housing and Urban Development)の公式サイトをご確認ください。

ローズバンク法律事務所
弁護士 西村純一
オークランド大学法学部卒業後、ニュージーランドで初の日本人弁護士となる。
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