2018年10月以降、外国人による既存不動産(中古物件)購入は禁止された。外国人参戦が不動産価格を押し上げて来たと考えられた為である。ここで言う外国人とは、ニュージーランドの居住権を持っていない人達を指す。しかし、実際には、外国人バイヤーは全体の3%程度で、彼らを締め出した後も不動産価格の高騰は続いた。
2023年10月の選挙戦で国民党が$200万以上の物件に限り15%課税を条件に再び外国人へ既存物件購入の門戸を開くというマニュフェストを掲げるも、議席の過半数割れで三党連立政権となり、その内の一党NZファースト党の反対を受けて、この法案は一旦は、消えたかに思われた。しかし2024年5月、NZファースト党のウィンストン・ピーターズが再検討余地を示唆した。つまり外国人にも200万ドル以上であれば、既存物件が購入できる可能性が出て来たわけだが、私がこの原稿を書いている2024年11月現在、まだその門戸は開かれてない。また、開いたとてターゲットは富裕層限定となる。
現在でもOIA(Overseas Investment Act)コンセント取得前提で外国人に購入可能な物件もあるが、既存物件(中古住宅)は含まれない。
但し、ここにも抜け道はあるのだ。商業物件に関しては、一般住宅程規定が厳しくない。商業物件にもOIAコンセントは必須だが、住宅の中には商業物件として購入できる物がある。例えばホテルの一室が商業物件として登録されている場合、中古であっても外国人でも購入できるわけだ。さらに通常、内税と考えるGSTを相殺できる為、15%安く購入できるというメリットまである。例えばAuckland City Hotel内の3ベッドルームのアパートメントは、現オーナーが商業物件として購入しGST登録しているため、ニュージーランド居住者が住居として購入する場合はGST込みの購入、海外を含む投資家が商業物件として購入する場合は、GSTを相殺するということで15%免税となる。購入後は Airbnbとして管理会社に管理を一任することも可能だ(ホテルへのリースバックも可)。外国人オーナーが自らステイしたい場合も、ホリデーメーカーとしてなら宿泊できる。海外投資家でもOIA前提で新築アパートメントの購入は可能だが、新築物件の割高感は否めず、セルフリースも不可である。たまにニュージーランドに来る程度の外国人にとっては、中古商業物件こそスマートな選択かもしれない。


補足:外国人でもOIA(Overseas Investment Act/海外投資家許可)を取得すれば商業物件を購入できるとご紹介しましたが、正確には significant business asset に該当する場合にOIAの取得が必要です。
具体的には、購入価格が$100 million(1億ドル)を超える高額な商業物件 に関してはOIAコンセント(許可)が必要となります。一方で、今回ご紹介したような 中古の商業アパートメント であれば、OIAの対象とはならず、許可を取得する必要はありませんので、ご安心ください。

Hiroko Jenny
イェニー浩子1994年よりオークランド在住。ツアーガイド、クレジットカード会社、ブランド店勤務を経て不動産業界12年目。YouTubeでは不動産だけではないNZ情報発信中。