今こそ自然災害への備えを整える時期 ニュージーランドの住まいの保険 <住宅保険編>

今こそ自然災害への備えを整える時期 ニュージーランドの住まいの保険 LIFESTYLE

2023年に入りニュージーランド北東を中心に自然災害が多発し、住宅関連の保険に注目が集まっている。そこで住宅関連を含む損害保険ブローカーであるトッド・マウントフォートさんに住宅保険と家財保険を中心とした保険請求事例も含め、お話を伺った。

*あくまでも記事内で紹介した内容はモデルケースや参考例であり、保険会社や補償プラン、および個人の状況によって補償等の内容や時間に変更が生じます。また記載されている情報に基づいて読者が被ったあらゆる損害に関しても一切責任を負うものではありません。
*弊誌では情報の精査に努めておりますが、記載されている情報は2023年3月中旬現在のもので、変更が生じる場合があります。

Todd Mountfort

トッド・マウントフォートさん
Todd Mountfort

Rothbury 地域マネージャー/プケコヘ&ロトルア支店長

1990年に保険業界に入り、NZ国内第3位の規模を持つ損害保険ブローカー企業Rothburyに2014年入社、現在はプケコヘ&ロトルアの支店長を務めている。ニュージーランドの保険業界で保険会社や引受査定業務専門家と長年に渡り協働してきたトッドは損害保険・ビジネス保険、商業不動産管理・売買スペシャリスト。休日は、湖に出かけたり、レッドウッドフォレストでマウンテンバイクをしたりと、仕事とのバランスをとり、充実した日々を送っている。

【E-mail】todd.mountfort@rothbury.co.nz
【web】www.rothbury.co.nz/broker/todd_mountfort

www.linkedin.com/in/todd-mountfort-65108632

住宅保険

不動産オーナーはもちろん、家を借りる上でテナントも住宅保険について知っておくのは大事だと言える。住宅関連保険ブローカーのトッド・マウントフォートさんに、住宅保険についてお話を伺った。

甚大な洪水被害

ニュージーランド保険評議会(ICNZ)は、オークランド記念日の週末に発生した洪水に関する損害保険請求データの暫定版を発表しました。ICNZのCEOであるティム・グラフトンは、「現在までに約48,000件の保険金の請求があり、長い復興に向けて、すでに約1億1100万ドルの保険金が請求者へ支払われました。保険会社は1月27日から2月2日の間に洪水による影響を受けた人々への支援として10億ドル以上を提供する予定です」と述べています。

今年のオークランド・アニバーサリー・ウィークエンドの洪水やサイクロン「ガブリエル」により前例のない広範囲な被害が発生し、保険金の申請件数は2016年のカイコウラ地震時の約2倍であり、保険請求の大きな内訳としては、住宅及び家財損害関連が36,000件以上(約5億6500万ドル相当)、商業施設・ビジネス損害関連3,800件(約3億2000万ドル相当)、自動車損害関連7,500件(1億900万ドル相当)となっています。一般的に、保険金の申請後に保険会社が被害状況を確認し、証拠を記した必要書類を提出し受け取りには数週間から数ヶ月程度かかります。今回は被害が大きかったため、通常の受け取りより時間を要する可能性があります。

不動産オーナーはもちろん、家を借りる上でテナントも住宅保険について知っておくのは大事

自然災害も見据えた保険選び

NZでは異常気象の頻度と深刻さが増加し、保険業界に大きな影響を与えています。甚大な請求件数により来年の保険料は継続して上昇すると予想されており、住宅保険や家財保険の補償内容や免責金額、保険料を比較し、それぞれの家計に見合った保険会社及び補償プランの見直しが必要となります。

この経済状況の中で、人々は今まで以上に、個人や家庭の状況に合わせた保険商品の選出や質の高いアドバイスを必要としています。私たちの使命は、お客様に適正価格で充実した価値の高い商品を提供することです。お客様の資産を守るために、リスク、補償、コストの組み合わせを分析し、適切な保険ソリューションを提供できるよう努力しています。

住宅保険の補償対象

色々な損害リスクから家屋を守るのが住宅保険です。地震、落雷、竜巻、暴風、洪水などの自然災害や火災、爆発などからの損害を補償するもので日本では一般的に火災保険と呼ばれています。住宅保険は例にあげると、家を逆さまにして落ちてこないものが補償の対象となります。今回の暴風雨や台風による家屋への被害の多くは浸水による床、カーペット、窓ガラスやフェンスの破損でしたが、こういった被害も住宅保険での補償対象になります。また自宅が被害を受け、一時的な宿泊施設が必要な際の費用も請求できます。実際に被害にあった際は、オンライン問い合わせフォームの利用をお薦めしています。電話での請求や問い合わせは回線が混雑することが多いため、時間を節約することができます。

住宅保険の知っておくべきことは?

家を購入する前の確認ポイントは?

住宅のカウンシル土地情報報告書(Land Information Memorandum) で災害リスクの認定有無、カウンシルハザードマップでの洪水、地震、津波などの自然災害リスクの有無、また保険会社に見積もりをとることで地震や洪水のリスク評価を確認することができます。

家を賃貸として貸し出す時の保険は?

賃貸物件への補償は家主保険(landlord insurance)が最適です。物件の損害補償の他に未払い家賃への補償もプランによって含まれます。

ニュージーランドの住宅保険の知っておくべきこと

ニュージーランドでの
一般的な住宅保険の補償対象は?
(保険会社、補償プラン内容によって多少異なります)

1: 建物である住宅本体(配管、家庭内配線、床材、カーペットも含む)、デッキ、ベランダ、パティオ、ガレージ、シェッド、フェンス、ゲート、浄化槽などの建造物の損害
2: 自宅が被害を受けた際の一時的な宿泊施設の滞在費用
3: 盗難、紛失、または違法に複製された際の鍵、ロックの交換費用

ニュージーランドでの
住宅保険の契約期間は?

1年間です。一般的に、保険が不要になったことを保険会社に連絡するか、保険料の支払いを停止しない限り、契約期間終了時(12ヶ月ごと)に自動的に更新されます。ただし、保険期間中に保険金請求が発生した場合は、保険金請求が解決されるまで保険期間が自動的に延長されます。解決後は、保険期間を再度更新する必要があります。
保険会社によっては、保険期間の2年更新の場合もあります。

補償されないケースは?

老化・劣化が原因となる損害は補償されません。これには、食器洗機、洗濯機、洗面台、蛇口などに使用されるホースに損傷によって引き起こされた水漏れも含まれます。修理や配管の交換の記録を残しておくこと、定期的なメンテナンスを行うことが大切です。
また故意や重大な過失の場合も補償されません。例えば保険金目当てでの放火といった事象、窓の閉め忘れにより隙間からの雨等の吹き込みによる床の損傷というケースです。

2023年4月号掲載
Text: Mariko Mckenzie

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