クローン〇〇って聞くと、何を思い浮かべる?繁殖方法の1つで、体の一部を利用して、同じ遺伝子セット(ゲノム)の新しい個体を作る事。羊や牛のクローンが作られて、議論になったのは記憶に新しい。でも、ちょっと倫理的にこの話題は…と思った人。実は植物界ではよく行われている手法だ。ほら、取り木、挿し木、株分けって言えば、なるほどって思うでしょ。蘭の栽培家が行う組織培養や、果樹やバラによく行われる接木も手法の1つ。庭や公園の桜の幹をよく見ると枝を継いだと思われる継ぎ目を発見できる。これは病気などに強い原種などの枝に、特定の品種枝をくっつけてクローンを作っているって訳。
ハウスプラントの中でも、ポトスやトラディスカンチア・ゼブリナは、挿し木が簡単な品種。ローズマリーやミントなどのハーブも種から栽培するより挿し木の方が格段に早く大きくなる。切り取った枝は、上部の葉は残したまま、下部分の節についた葉を取って、湿らせた土や水苔やバーミキュライトに刺す。根っこは必ず節から出るから、必ず節部分を湿った場所に固定しよう。さらに、品種によっては「葉挿し」も可能だ。多肉植物を筆頭にベゴニアや椿、サンセベリアがその代表的植物。葉をカットして水苔やバーミキュライトに挿しておくと、根っこや新芽が生えてくるから本当に不思議だ。これら繁殖に適した時期は、春と晩夏~初秋。増えた株をお友達とシェアしてもいいし、何より増えるってお得な気分。興味出た人は、クローン栽培に挑戦してみては?
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美日本でガーデンデザイナー、イラストレーターとして活動。
園芸雑誌や新聞へのコラム執筆、デザイナー向け講演も行う。
現在クライストチャーチ近郊に在住。
【ブログ】naomigarden8.com
2023年2月号掲載