日本の秋を代表する花、菊。遣唐使の時代に中国から日本へ渡来した歴史の古い高貴な花だ。さて、秋も深まる5月。ニュージーランドでも菊の花を多く見かける。英語だとクリサンスマム、短縮してマムと呼ばれる。こちらで見かけるのは半球状にビッシリ花を咲かせたクッションマムや、小さなポットに咲くポットマムだ。こちらでは、それら小型に改良された品種たちを「ガーデンマム」と呼ぶ。日本だとそのような海外で改良されたものを「西洋ギク」と呼んでいる。
他にも、花壇に使われ、背が高く枝分かれし小花を多く咲かせる「スプレーマム」、野紺菊などの野生菊、懸崖や盆栽仕立て、菊人形などにも使われる「小菊」、厚物、菅物と呼ばれスッと伸びた茎に大きな大輪の菊を咲かせる「一輪菊」、江戸の園芸ブームの中、日本独自に改良され各地に今も残っている「古典菊」。日本では形状や用途によって呼び名が色々あって、本当にややこしい。でも、全部含めて一般的には仏花とか献花のイメージが強いよね。だから、昔旦那さんが仏花をプレゼントしてくれた時にはちょっと複雑な気分だった。それはさておき、秋にガーデンマムを手に入れた人は、翌年も同じようにコンパクトに咲かせたいよね。それなら植え替え、切り戻し、摘心作業が大事。春先にまずは植え替えをして半分ほどバッサリと切り戻す。そして枝先を摘む摘心作業を2回ほど夏までに行い、より多くの脇芽を出す。日が短くなると花芽を形成するからそれまでに行うこと。もちろん成長期は肥料と水も忘れずに!!
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美日本でガーデンデザイナー、イラストレーターとして活動。
園芸雑誌や新聞へのコラム執筆、デザイナー向け講演も行う。
現在クライストチャーチ近郊に在住。
【ブログ】naomigarden8.com
2023年5月号掲載