「雑草という名の草はない」って名言があるけれど、NZで庭仕事をしていると常々、この言葉を痛感する。だってあちこちに咲くオダマキはいわゆる雑草扱いだし、夏に紫の花を咲かせるアガパンサスも外来危険植物として嫌われている。日本で庭に勝手にオダマキが生えてきたら、ラッキー!!って大事に残すと思し、アガパンサスも良い値段の植物という位置付けだ。いくらキレイな花でも広がりすぎたり、生態系に影響を及ぼす恐れがあると、嫌われる対象となる。南島の春の象徴ルピナスの花が駆除対象となったのも、記憶に新しい。
さて、以前海沿いの公園の公衆トイレに立ち寄った際、その横の植え込みを見てびっくりたまげた!だって竜血樹がトイレ横の花壇に普通に植えられている。こんなレア植物が、しかもこんな立派に育ったものがトイレの横の花壇にあるなんて!と一人興奮状態。日本でこんな高価な植物をトイレの横の花壇に植えることはまずないと断言できる。逆の驚きもある。日本で過去に多く生垣で使われたカイズカイブキという植物がある。NZで動きのある仕立てにしたこれは、ジャパニーズスタイルとして人気があり、結構な高値で扱われる。うねるような枝ぶりは元の特徴だけど、日本ではこのうねった枝を「暴れた」と表現し、いかにそれを出さないかが正解とされている。しかも、今ほぼ人気はない。植物は、その国、時には個人の価値観に基づいて定義され価値が決められる。雑草とかレア、手入れの正解不正解とか、なんだか勝手なもんだなあ、ふとそう思った。
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美日本では園芸業界に長く関わりガーデンデザイナー、イラストレーターとしても活動。NZ移住後も日本園芸雑誌にコラムやイラストを描きつつ、NZ国内でもガーデンデザイナー、ガーデナーとして活動。クライストチャーチ近郊在住。
【ブログ】naomigarden8.com