秋も深まってきた今日この頃。春や夏のように雑草がぐんぐん伸びる時期ではないものの、なんだか庭仕事が忙しい。というのも、今が春から咲く球根植物の植え付けベストシーズン。別に植えなくてもいいのだが、水仙やチューリップ、ムスカリやスノードロップなど、ショップに並ぶ秋植え球根を見ていると、あれもこれも買いたくなる衝動を抑えるのが難しい。そして、もし育てた花の種を取るならタイミングが重要だ。うっかりするといつの間にか弾けてタネは何処。
逆に自然に増えてほしくない雑草も、同じくこの時期種をつける。それについては種がばら撒かれる前に抜いておきたい。雨上がりの地面にジキタリスらしき小さな芽が、すでに何千と芽吹き始めているのを発見して少し焦る。全部育ったら大変な事になるので、とりあえず草取り鎌で不必要な芽は取り除く。やることが山積み!!
でもね、ふと目をやると花びらが枯れたり落ちたりして軸だけになったエキナセアや秋明菊、モコモコとした花穂が存在感のあるラムズイヤー、完全に茶褐色に色づいたアスチルベの繊細な花穂など、植物たちはカラフルな夏の花とはまた違った落ち着いてシックな姿を披露している。枯れ込んできた宿根草の地上部を急いで刈り込まずに、秋冬ならではのこの枯れた景色を眺めるのも、この季節の乙な楽しみだ。例えるならば、燻されて深みと魅力が増す、まさにいぶし銀。秋の庭には、派手さや華やかさこそないけれども、枯れたなんて一言では語れない熟成したいい感じの渋かっこ良さがある。
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美日本では園芸業界に長く関わりガーデンデザイナー、イラストレーターとしても活動。NZ移住後も日本園芸雑誌にコラムやイラストを描きつつ、NZ国内でもガーデンデザイナー、ガーデナーとして活動。クライストチャーチ近郊在住。
【ブログ】naomigarden8.com