2022年6月号掲載(更新)
2018年4月号掲載
Q. 2021レジデントビザでようやく永住権を得ることができました。ほっとしたのもつかの間、ある先輩永住者から「飲酒運転でも国外追放になることもあるから気を付けて」と言われました。どんな場合に国外追放となるのでしょうか?
基準は保持期間と罪の重さ
永住権保持者の犯罪による国外追放の可能性について、過去のコラムでお話しましたが、2021レジデントビザにより、多くの方が永住権保持者になることを踏まえて、今一度お伝えしたいと思います。
永住権*を持っていても刑事罰を受け、裁判において有罪判決を受けた場合は、移民局の決定により国外追放になる可能性があります。国外追放の主な基準は、①永住権を取ってからの期間、②有罪判決を受けた罪の重さの2点で、簡易的な表にまとめると右記のようになります(○印は国外追放の可能性有り)。
身近な例としては、永住権取得から2年を経過していない方が飲酒運転により有罪になる場合です。初めての飲酒運転で捕まりアルコール検査の結果、濃度が一定基準を超えると、3カ月以下の禁固刑もしくは4500ドル以下の罰金刑 、加えて6カ月の免許停止の刑事罰が科せられます。重要な点は、実刑が罰金刑と免停処分だけで済んだとしても、この刑罰そのものが『3カ月の禁固刑を求刑可能』なため、禁固3カ月以上の実刑判決を受けなくても国外追放の対象となることです。
ワークビザ保持者の場合は
永住権を申請中のワークビザ保持者の場合、移民局が国外追放するのに『十分な理由』があると判断すると追放の対象となります。十分な理由には、ビザ条件の違反、申請書の虚偽記載、犯罪行為が含まれます。ここでの犯罪行為は刑罰の重さや有罪判決の有無などの基準は設定されておらず、犯罪行為があったという事実が十分な理由とみなされれば国外追放の対象になることがあります。
*Resident Visaもしくは Permanent Resident Visa
※本記事はあくまでも法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用いただくためのものではありません。
弁護士
Junichi Nishimura
西村純一ローズバンク法律事務所代表弁護士。オークランド大学法学部を卒業し、ニュージーランドで初の日本人弁護士となる。
Rosebank Law Barrister & Solicitor
【所】Level 1, 527B Rosebank Rd., Avondale, Auckland
【Ph】09-820-0154
【営】9:00~17:00【休】土・日曜
【Web】www.rosebanklaw.co.nz