体調を崩したり、けがをしてしまった場合パートタイムの私にもSick Leaveの権利はあるのでしょうか?

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「困ったときの法律駆け込み寺」日本とは勝手が違い、戸惑うことも多いニュージーランドの法律。現役弁護士がお答えします。

2018年09月号掲載

Q. パートタイム(週20時間前後)として今の勤務先で働き始めて半年が経ちました。自身が体調を崩したり、けがをしてしまった場合パートタイムの私にもSick Leave(有給病気休暇)の権利はあるのでしょうか?

ご質問者の方にはフルタイム従業員と同様にSick Leaveの権利があります。NZの雇用法において、6カ月間同じ雇用主の下で就業した従業員全員(一定の条件を満たしたパートタイムや期間従業員なども含む)は、5日分のSick Leaveの権利が与えられます。そして、同じ会社で勤務を続けると、毎年、Sick Leaveが初めて与えられた日に、5日分のSick Leaveが上乗せされ、最高で20日分まで蓄積することができます。

Sick Leaveの特徴として、病気以外にけがであっても使用することができます。また、Sick Leaveの権利を持っている本人のみならず、パートナーや子どもなどの家族が病気やけがをした場合にも使用することができます。分かりやすいように二つの具体例を挙げてみます。

〈事例1〉

Aは、平均週10時 で働くパートタイム従業員で、水曜と木曜に5時間ずつ働いています。週末にAの子どもがインフルエンザにかかり学校へ行けなくなったので、子どもの看病のためその週は水曜と木曜とも休みました。

⇒適用:子どもや家族の世話という理由で休む場合でも、Sick Leaveを使用することができます。また、平均週10時間以上のパートタイム勤務であっても、Sick Leaveを受ける対象となります。よって、2日分のSick Leaveを消化でき、計10時間分の支払いがなされます。

〈事例2〉

Bは、平日時間勤務のほか、平均で1日2時間残業をするフルタイム従業員です。週末、Bは家の階段から落ち、足をけがしたため、月曜と火曜の2日間休みました。

⇒適用:けがであってもSick Leaveを使う事が可能です。なお、2時間の残業に関して、けがをしていなければ、両日とも2時間残業していたものと仮定して考えるため、2日(残業込み)のSick Leaveを消化し、合計で20時間の支払いがなされます。

日本では、民間企業の場合、病気休暇制度は法律で定められていないため、病欠時は、年次有給休暇を消化するのが一般的だと思いますが、NZでは年次有給休暇(Annual Leave)とは別で病気やけがによる有給休暇の権利が与えられることを覚えておいてください。

※『2021年10月31日時点、Sick Leaveの権利は年5日から10日に増やされています』

弁護士 西村純一
弁護士
Junichi Nishimura
西村純一

ローズバンク法律事務所代表弁護士。オークランド大学法学部を卒業し、ニュージーランドで初の日本人弁護士となる。

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※本記事はあくまでも法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用いただくためのものではありません。

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