3万トン以上の食品廃棄物をリサイクル
2023年4月に食品廃棄物(Food scraps)の収集が始まって以来、オークランド市民から寄せられた3万トン以上の食品廃棄物が、再生可能エネルギーと肥料の生産に利用されている。この量は、30万世帯に1ヵ月間再生可能ガスを供給するのに十分なエネルギーに相当するという。2024年11月からは、この再生可能エネルギーがニュージーランドで初めて国営ガスパイプラインに供給され、18,000世帯に定期的に再生可能ガスを供給することになった。カウンシルの政策計画委員長リチャード・ヒルズ議員は、「3万トンという節目に到達したことはオークランド市民が誇りに思えることだ。食品廃棄物を単に破棄するのではなく資源に変えるために協力してくれるオークランド市民に感謝している。食品廃棄物サービスに参加することで、環境への影響を減らし、持続可能な未来に貢献することにつながる」と語った。
犬の規制に関する公聴会
カウンシルの規制安全委員会(Regulatory and Safety Committee)は、地域の犬に関する規則の改定について公聴会を行う予定でいる。犬に関する政策(Dog Policy)と条例(Dog Management Bylaw)は数年ごとに見直されている。2024年3月に実施された調査によると、飼い主が犬の排泄物を片付けないこと、複数の犬が通路を占領すること、リードが必要なエリアや犬の立ち入りについての規則が守られていないことなどが問題として挙げられた。カウンシルは、犬の飼育許可証や全国犬襲撃調査、ACCの犬関連の請求など様々なデータを分析し、SPCAや犬の散歩代行業者などの団体への聞き取り調査を行った後、犬の規制の改定案を作成した。改定案では、公園で犬の立ち入りを禁止する場所や、一度に散歩できる犬の数の制限が更新されている。2025年中に変更案に関する意見を公募する公聴会が開催される予定だ。
オークランド市内の「ヒートアイランド」が明らかに
カウンシルは、ニュージーランドで初めて「オークランド都市熱評価」の報告書を発表し、都市部の人口密集地帯が「ヒートアイランド」現象と呼ばれる現象に見舞われていることを明らかにした。ヒートアイランドは、都市部の土地被覆により地域全体の気温が上がり、特に高密度の建物やインフラが熱を閉じ込める現象で、特に緑地が少ない地域で気温が高くなることが示されている。この現象は、気候変動によりさらに頻繁に発生する見込みだ。気温上昇は、既往症のある人、高齢者、経済的困難を抱える人々の健康問題を悪化させる可能性がある。市民ができる対策としては、木を植えて緑地を増やすこと、反射材や断熱材などを使うことで家を冷却できるように改修すること、ビルの屋上の緑化などの地域の冷却プロジェクトを支援することが推奨されている。カウンシルは、大規模な植樹活動や街路の再開発も進めている。
コミュニティのための新しい支援センター「ファカマル」
1904年に設立されて以来、社会支援活動を120年以上続けてきたウェリントン市ミッション(Wellington City Mission、WCM)は「ファカマル(Whakamaru)」というユニークなコミュニティハブを正式にオープンした。この施設は、困窮者への食料提供から始まり、利用者の尊厳と選択を優先しながら住宅、収入、健康、教育、家族支援などの包括的な支援を提供する拠点となっている。長期的な移行住宅35室を有し、ソーシャルスーパーマーケット、カウンセリングや社会的支援の専門家が揃う施設は、24時間体制で利用できる。「クレイグ&ゲイルズ・カフェ」は、地域のすべての人に開かれており、「できる限りの貢献(contribute what you can)」モデルで運営されていて、利用者は「できる範囲」の支払いで利用できる。心理的サポートを行う「クライシスリカバリーカフェ(Crisis Recovery Cafe)」も運営されている。
ポネケの約束を振り返る
ウェリントンの「ポネケ・プロミス(Poneke Promice, PP)」は、安全で活気に満ちた市街地を作るための3年間の取り組み。市民の安全確保と公共空間の改善を目指し、2021年の長期計画で720万ドルが資金が提供された。重点的な取り組みは、性暴力の防止と被害軽減に向けた取り組み、安全で魅力的な公共空間の改善(特にテ・アロ・パーク周辺)、新たな地域コミュニティスペースの開設、ビジネスの安全支援の4つ。カウンシルは、犯罪防止設計などの安全対策を導入し、警察の巡回やCCTV設置を強化した。また、13歳~18歳の若者向けのユース・ハブ「テ・タイ・オヒンガ(Te Tai Ohinga)」を開設するなど、人々が一緒に時間を過ごすためのより良い空間づくりを行った。この取り組みを基に新しい市安全計画が策定され、2025年初頭に実行される予定だ。
下水道網改修プロジェクトが完成間近
カウンシルは、老朽化した下水道網のアップデートと、将来的な都市の成長に対応するため、大規模な下水道網改修プロジェクトを進めている。このプロジェクトの中心となるのが、新しい圧送式下水管(圧力をかけて汚水を運ぶパイプ)「ライジングメイン(Rising Main)」の建設で、ウェリントン水道局(Wellington Water)により2023年8月に建設が開始された。完成までの予想費用は2,140万ドル。最新の掘削技術を用いることで、都市への影響を最小限に抑えながら工事が進められている。新しいライジングメインは、下水処理場への輸送効率を向上させ、災害時の復旧力を高め、持続可能な発展に貢献することが期待されている。カウンシルは、地域住民の理解と協力のもと、プロジェクトを順調に進めており、プロジェクトは2025年初頭に完成予定だ。
カウンシル職員が全国優秀賞を受賞
カウンシルのベン・ルゾスカ(Ben Rzoska)氏は、レクリエーション・アオテアロア賞の「ポール・スチュアート・メモリアル賞(Paul Stuart Memorial Award)」を受賞した。ベンは施設管理業界での23年の経験を持ち、エネルギー効率の高いシステムへの移行や廃棄物削減、化石燃料の使用停止に積極的に取り組むとともに、スタッフと利用者の健康・安全・福祉を重視し、「Be Cool Not Cruel」キャンペーンなどで不適切な行動への対応を改善することでチームのパフォーマンス向上に貢献している。マタティキ・ホーンビーセンターで水泳教育のチームリーダーを務めるハリー・ロバーツ(Harry Roberts)氏は「新進レクリエーションリーダー賞(Emerging Recreation Leader of the Year award)」を受賞した。ハリーはライフガードとしてキャリアをスタートし、水泳教育プログラムの開発に貢献している。
交通プロジェクトにゴーサイン
カウンシルは、クランフォード・ストリート(Cranford Street)とチャーチ・コーナー(Church Corner)の2つの交通プロジェクトを承認した。クランフォード・ストリートのピーク時間帯のバス優先レーンは試験的に導入されていたが、来年初めに恒久的なレイアウトにアップグレードされる予定。ピーク時以外は、通常の車線に戻る。メインサウス・ロード(Main South Road)、ヤルドハースト・ロード(Yaldhurst Road)、リッカートン・ロード(Riccarton Road)の交差点には、自動車用信号、自転車専用レーン、信号機付き横断歩道、バス専用レーン、スピードバンプが設置される。この交差点の事故発生件数はクライストチャーチで上位3%に入っており、過去10年間で76件も衝突事故が発生している。改良により地域全体のリスクが軽減されるとともに、歩行者や自転車も安全に横断できるようになる。
来年度の予算案決定
カウンシルは、2025/2026年度の予算案に関する方針を決定した。この年間計画には、2024–34年の長期計画(Long Term Plan 2024–34、LTP)で示された公共事業や資本プロジェクトに加え、聖堂の修復費用に対する税金徴収の一時停止や、下水処理場の保険金からの残り5,500万ドルの借入金削減、計画変更への対応のための追加資金など、新たな施策もいくつか含まれる。2025/2026年度の税率は平均で8.93%の増加が見込まれ、これは一家庭あたり週6.05ドルの負担増に相当する。カウンシルは、公共事業やプロジェクトを追加する際には他の項目を削減する方針で、税率増加を可能な限り抑制することを目指している。予算案は2025年2月12日に採択され、3月に一般からの意見を求める予定。市長のフィル・メイジャー氏は、クライストチャーチの人口増加と成長を背景に、さらなる発展を目指すと述べた。
情報提供:Auckland City Council / Christchurch City Council / Wellington City Council