毎年9月の第2週(今年は13日から19日まで)は「マオリ語週間」だ。テレビのニュースや天気予報などでマオリ語が多用されるほか、学校ではマオリ語や先住者の文化・歴史について学ぶ機会が持たれる。先住者の言語であったマオリ語は、19世紀に英国および欧州から多数の白人が入植して白人社会を形成したことによって、その使用が急速に衰退した。それでも、20世紀半ばの第2次世界大戦ころまでは、マオリにとってはマオリ語が「正式な言葉」だった。
20世紀半ば以降、都市に住むマオリ人口が増えると、マオリ語を使う機会はさらに減少。この国の貴重な文化でありアイデンティティの一つでもあるマオリ語を守るために「マオリ語週間」は1975年に導入された。さらに1985年のワンタンギ条約調停の勧告を受けて1987年からマオリ語はニュージーランドの公用語の一つに位置づけられた。統計調査によれば、マオリ語が使えるマオリの割合は20%前後で推移している。
今年は、マオリ語週間に先立って、ニュージーランドを代表する歌姫のロードが、彼女のアルバム「ソーラー・パワー」から5曲をマオリ語にフィーチャーした「テ・アオ・マーラマ」というミニアルバムをリリースしたことが話題になった。またマオリ党は、ニュージーランドの正式国名をマオリ語の「アオテアロア」に変更するとともに、2026年までに全国の都市名を元のマオリ語の名前に戻すことを政府に求める署名を開始した。
<参照>(英語原文)
NZ Histry https://nzhistory.govt.nz/culture/maori-language-week