南アフリカで確認された新型コロナウイルスの新たな変異種オミクロンの登場は、ワクチンの普及によって規制緩和を進めようとしていた各国に再考を迫ることになった。
豪州政府は、12月1日からの予定だった日本や韓国からのワクチン接種完了者に対する隔離免除を12月15日に延期すると発表した。日本政府も、水際強化措置を発令してアフリカ10カ国に対して入国後10日間の施設待機を指定し、英国や韓国を含む12カ国には同6日間、米国やカナダ諸州を含む36地域には3日間の施設待機を課した。これらの対象国・地域は感染の広がりと共に拡大している。
ニュージーランド政府は、アフリカ9カ国からの入国を自国民に限定して14日間の管理隔離を課す緊急対策を取った。その一方、先月24日に発表した国境再開プランについては、現在のところ変更はなく予定通りとしている。緩和に向かっていた入国規制が、一部で強化されたことにより、一旦持った希望をまた折られるような事態も起こっている。
ワンニュースは、南アからの入国が自国民のみに制限されたことで家族の再会計画が中断した事例を報じた。南アに学齢期の子どもを残し、幼児だけを連れてニュージーランドに移住した夫婦が、2年越しで永住権を得て、子どもを呼び寄せるために管理隔離施設をようやく確保できた段階で、入国規制が発令されたという。
オミクロン株はスパイクタンパク質にこれまで知られている中で最多の32カ所の変異がある。感染力はデルタ株よりも強い可能性があり、WHOは警戒レベルが最も高い「懸念される変異株」に指定した。重症化や致死率は高くないとの報告もあるが、まだよくわかっていない。状況次第で入国規制の強弱が急変するような局面となっている。
<参照>(英語原文)
One News
https://www.1news.co.nz/2021/12/04/familys-heartbreak-after-nz-omicron-border-restrictions/
RNZ News
https://www.rnz.co.nz/news/national/456719/new-zealand-bans-travel-from-9-southern-african-countries