ニュージーランド海軍の艦船HMNZSマナワヌイ、サモア沖で沈没
10月5日、サモアのウポル島沖でサンゴ礁の調査を行っていたニュージーランド海軍の1億ドルの艦船HMNZSマナワヌイ号が、座礁・沈没した。乗員と乗客75人はサモアの消防緊急サービス局によって救助された。幸いにも死者は出なかった。ニュージーランド国防軍は燃料容器の検査を実施し、汚染の証拠はないと報告したものの、座礁したマナワヌイからは約20万リットルのディーゼル燃料が漏れたと推定されている。経済を海に依存するサモアのサファタ地区の村民は、この事件が地元の生活に影響を及ぼしていると考えており、サモア・ニュージーランド両政府からの公正な補償を望んでいる。
子供が学校をさぼった場合、親は訴追される可能性
教育副大臣のデイビッド・シーモア氏は、ニュージーランドの子どもの学校への出席率は国際基準から見て低いと述べ、出席率を上げるため「段階的出席対応制度(Stepped Attendance Response、通称”STAR”)」を導入すると述べた。この制度は2026年度よりすべての学校に義務付けられる予定。これにより、学校と保護者は子どもを学校に通わせる義務を課されることになる。子どもが単に学校をさぼっていると考えられる場合は、15日間以上欠席した時点で保護者の訴追を開始する措置をとることもあるという。教育省のデータによると、2024年2学期の出席率は53.2%で、2023年2学期の47.1%からわずかに増加している。なお、学校が模範を示すため、学期中にTeacher Only Dayを設けることも取りやめる予定でいる。
1News-Verian世論調査結果:40%が「状況は悪化」
10月14日、最新の1News -Verian世論調査の結果が発表された。この調査は、ニュージーランド・ファースト党とACT党による国民党連立政権への政権交代をもたらした2023年の総選挙から1年経過を記念して、10月5日から9日にかけて有権者1,000人を対象に行われた。支持率は、国民党が37%、労働党が29%で、ともに前回の世論調査(2024年8月)から1ポイント下落した。首相として望ましいとされる割合は、現首相のラクソン氏が25%、労働党総裁ヒプキンス氏が15%で、どちらも3ポイント低下した。回答者の30%が1年前と比べて国の状態は良くなったと考えており、40%が悪化したと考え、26%がほとんど変化がないと考えている。
消費者物価指数インフレ率は2.2%に低下
9月四半期、ニュージーランドの消費者物価指数(CPI)は前年比2.2%に低下し、6月四半期の前年比3.3%上昇と比べて低下、3年以上ぶりの低水準に落ち込んだ。輸入(または貿易可能)インフレ率は年間1.6%低下し、国内(非貿易可能)インフレ率は4.9%と高止まりしたが、多くの経済学者の予想よりは低かった。家賃や地方自治体の税金、タバコの価格は上昇したが、ガソリン価格は8%下落、野菜の価格も17.9%下落している。財務大臣のニコラ・ウィリス氏は、データ発表後に「圧倒的な価格上昇の時代は終わった」と述べた。インフレ率の低下は家計や企業の運営費にプラスとなると見られる一方、消費者支出の落ち込みが小売商品やサービスの価格に影響をもたらす可能性や、保険や金利などの価格が引き続き上昇する可能性を警戒する声もある。
社会
元首相ジャシンダ・アーダーン氏、ニュージーランド功労勲章
10月17日、ニュージーランドの元首相ジャシンダ・アーダーン氏は、イギリスのウィンザー城で行われた叙任式でニュージーランド功労勲章(Dame Grand Companion of The New Zealand Order of Merit)を受章し、正式に”Dame”の称号を授与された。受章にあたり、アーダーン氏はマオリの伝統的なカカフマントを身にまとい「大変光栄だ。家族や一緒に働いたすべての人々、そして私を支えてくれたすべての人々に感謝している」と述べた。アーダーン氏は、ニュージーランドの第40代首相として2017年10月から2023年1月まで就任。新型コロナウイルスのパンデミックやクライストチャーチのモスク襲撃事件を乗り越えて国を率い、気候変動に取り組み、新たなリーダーを支援する世界的な取り組みに参加した。
国勢調査:ニュージーランドの暮らし最新データ
10月3日、Stats NZは2023年3月に実施された最新の国勢調査の結果を発表した。データによると、ニュージーランドの人口は4,993,923人で、2018年の国勢調査より約30万人増加したが、前回の調査(2018年)よりも増加は鈍化した。高齢化が進み、平均年齢は2018年の37.4歳から38.1歳に上昇。高齢化が最も顕著な地域はテムズ・コロマンデルで、65歳以上の人口が34%を占めた。ウェリントンはLGBTIQ+コミュニティに属していると自認する成人の割合が最も高い都市で、2023年のオークランドの住宅所有率は国内で最も低かった。労働者の平均収入は41,500ドルで、調査参加者の28.8%が海外で生まれ、人口の半数以上は無宗教である。マオリ語を話す人の数は、2018年から2023年の間に15%増加した。
病院における人種差別:患者がアジア系スタッフを拒否、職員は英語以外の言語禁止
オークランド、ノースショア病院で、パケハの患者の要請によりアジア人スタッフが手術室から排除された。ワイカト病院、パーマストンノース病院、クライストチャーチ病院では、職員に対し「患者に対して英語以外の言語で話さないよう」「職場では(英語以外の)母国語の使用を控えるよう」通達が出された。ニュージーランドの病院における外国人看護師の割合は、2024年6月には約45%を占めるまでに増加している。多様なニーズを持つ患者の権利と、医療従事者の尊厳や権利のどちらも犠牲にしないような措置を取るのが難しくなっている。患者や臨床にとって安全かつ適切な方法が望まれる一方で、制度的な差別は言語的・文化的少数者である医療従事者の雇用やキャリアアップを阻む障壁となる可能性がある。
飲食のための屋外使用料金値上げで打撃
タウランガ・カウンシルは、2023年7月から飲食店が屋外スペースを使用するための年間料金を導入した。料金はマウント・モンガヌイのメインストリートでは1㎡あたり150ドルで、2025年上半期までは免除や割引があるものの、経営者たちは依然厳しい状況にあると訴える。クイーンズタウンのある事業主は、去年まで3,200ドルだった料金が、今年は51,000ドルに暴騰したと悲鳴を上げる。飲食のための屋外使用料金は地域によって異なり、レストラン協会によると、ファー・ノースはテーブル5台につき288ドル、ハミルトンはテーブル1台につき31ドル、ヘイスティングスは年間320ドルの定額、ウェリントンは1㎡あたり113ドル、となっている。屋外での飲食は地域に活気をもたらし、観光客の誘致に役立つ面もあるが、高額な料金設定には首をかしげる声もある。
生活
ニュージーランド航空がトップ旅行賞で最優秀航空会社に選出
ニュージーランド航空は、コンデナスト・トラベラー誌(Conde Nast Traveller)の2024年読者投票で、最優秀航空会社賞を含む2部門でトップの座を獲得した。投票はイギリスの57万5000人を超える読者が複数のカテゴリーにわたる全体的な満足度に基づいて行い、100点満点で評価。ニュージーランド航空の評価は89.08で、2017年に続いて2度目の優勝を飾った。 2位はシンガポール航空で88.47、3位はカタール航空で87.11だった。ニュージーランド航空は機内食部門でも最優秀賞を受賞。焼き鯛や燻製カハワイのリエットなどが含まれる地域限定プレミアムメニュー「テイスト・オブ・アオテアロア」などが評価された。コンデナスト・トラベラー誌はイギリスを拠点とする高級旅行雑誌。読者投票は1997年に始まり、27年間にわたって開催されている。
世界大学ランキング:オークランド大学、オタゴ大学が順位を落とす
ニュージーランドの大学の順位が世界ランキングで下落している。ニュージーランド最高峰の高等教育機関であるオークランド大学は、昨年より2つ順位を下げて152位タイにランクされた。国内2位のオタゴ大学は昨年の301~350位から351~400位と過去最低の順位となった。調査を行ったタイムズ・ハイアー・エデュケーション(Times Higher Education)は、ニュージーランドの留学生数が減少していることに加え、財政難により数百人の教員や職員が職を失ったことを指摘した。タイムズ・ハイアー・エデュケーションは、世界の大学をランク付けする大手企業のひとつ。最新のランキングの上位5校は、1位から順に、オックスフォード大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、プリンストン大学、ケンブリッジ大学だった。
珍しい彗星 C/2023 A3、ニュージーランド全国で観測される
ニュージーランド在住者は、過去8万年もの間地球の軌道上で観測されなかった彗星を肉眼で見るチャンスに恵まれた。肉眼で見えるほど明るい彗星は珍しいと言われている。彗星C/2023 A3は、9月下旬から明け方の空に見えるようになり、10月中旬ごろには、日没直後の西の空に、光害から離れたビーチや山頂を中心に全国で観測された。この彗星は非常に長い尾を持っているのが特に印象的だが、彗星の尾は彗星を包んでいた氷が燃え尽きたものだという。80年かけて太陽の周りを一周するハレー彗星とは異なり、公転の周期が非常に長いので、一生のうちに見られるのは今回限りだろうと推定されている。
ソーセージコンテスト:オークランドのWestmere Butcheryが優勝
Westmere Butcheryは2024年ダニンガムズ・グレート・ニュージーランド・ソーセージコンテスト(Dunningham’s Great New Zealand Sausage Competition)で栄えある最優秀賞を受賞した。このコンテストは27年前に始まった歴史あるコンテスト。今年は108の企業から800種類を超えるソーセージやミートボール、パティが出品され、34名の審査員が構成、味、食感、外観を評価した。Westmere Butcheryの「豚肉とネギのソーセージ」は、ネギの食感や具材の配合のバランスの良さで高い評価を受けた。Westmere Butcheryはオークランドのウェストメアにある肉屋で、2019年にも「鶏肉とねぎとベーコンのソーセージ」で最高賞を受賞したことがある。
芸能・スポーツ
アメリカズカップ:ニュージーランドチームが3連覇
9~10月にバルセロナで開催された国際ヨットレース、アメリカズカップで、前回優勝者のエミレーツ・チーム・ニュージーランド(ニュージーランド)がイネオス・ブリタニア(イギリス)に7‐2で圧勝し、タイトル防衛を決めた。イギリスが挑戦者決定シリーズを制し、カップマッチに出場したのは60年ぶり。カップマッチの最初の4レースはニュージーランドが勝利したが、イギリスはニュージーランドのミスを見逃さず、第5、6レースを制した。しかし第7、8レースでは、ニュージーランドがそれぞれ1分13秒と55秒差でシリーズ最大の勝利を収め、イギリスの逆転の勢いを奪った。最終となった第9レースではニュージーランドが37秒差で勝利を収め、アメリカズカップ3連覇を果たした。
プロサッカー:オークランドFC、Aリーグデビュー戦2-0で勝利
10月19日、オークランドFCのAリーグデビュー戦である、オークランドFC対ブリスベン・ロアーの試合がオークランドのGo Media Stadium Mt Smartで開催された。オークランドFCは、試合開始8分後に酒井の放った強烈なクロスがブリスベンのハリー・ファン・デル・サーグにより自陣のゴールに押し込まれ、オウンゴールで先制。その後オール・ホワイツのストライカー、ローガン・ロジャーソンが2ゴール目を決め、勝利を確定させた。オークランドFCは、キングス(1999~2004年)とニュージーランド・ナイツ(2004~2007年)に続く3つ目のオークランドのプロサッカークラブ。元オーストラリア代表でAリーグで2度優勝した経験を持つスティーブ・コリカが監督を、元日本代表の酒井宏樹がキャプテンを務める。
ミス・ユニバース・ニュージーランド、ニュージーランド人ではないとの主張に反論
今年9月にミス・ユニバース・ニュージーランドに輝いたビクトリア・ベラスケス・ヴィンセントさんの勝利について、他の出場者らが疑問を呈している。フィリピン系ニュージーランド人のヴィンセントさんは、2019年にオークランド大学で2つの修士号を取得し、現在はニュージーランドとオーストラリアの建設業界で働いている。ニュージーランド国籍だが、フィリピンで生活し働いた経験もある。2021年にはミス・ユニバース・フィリピン・チャリティで優勝し、今年もミス・ユニバース・フィリピン・コンテストでトップ10に入った。ヴィンセントさんは「フィリピン人だからといって、誇り高きニュージーランド人であるという事実が薄れるわけではない。父と母の両方の伝統を尊重している。複数の文化の間で引き裂かれるのではなく、複数の文化に融合することを学んだ」と述べている。
メタリカ、2025年にニュージーランドでM72ワールドツアー開催決定
伝説のロックバンド、メタリカが2025年ニュージーランドに戻ってくる。2025年11月19日にオークランドのEden Park Stadiumにて1公演を行う予定だ。メタリカが前回ニュージーランドで公演したのは2010年10月。オークランドのVector Arena(現在のSpark Arena)とクライストチャーチのCanterbury Arenaで演奏した。2019年10月に予定されていたオークランドのMt Smart Stadiumでのコンサートは、ボーカル兼ギタリストのジェイムズ・ヘットフィールドの薬物依存症回復のためキャンセルされた。最後のニュージーランド公演から15年の時を経て、2025年のツアーでは、ミート&グリート、プロダクションとステージツアー、「スネークピット」、「ブラックボックス」ラウンジでの飲食など、充実した体験が用意される。