最新世論調査:アクト党、マオリ党が大きく支持率増
12月1日から3日に行われた最新のTaxpayers’ Unionによる世論調査によると、アクト党(ACT)とマオリ党(Te Pāti Māori)が大幅に支持率を伸ばし、一方で国民党(National)と労働党(Labour)は支持率を落とした。アクト党は4.5ポイント増の13%、マオリ党も3ポイント増で5.5%に達した。一方、国民党は4.6ポイント減少し34.2%、労働党も同じく26.9%に下落。NZファースト党(NZ First)は1ポイント減少し5.4%となった。議席計算では、国民党(44議席)とアクト党(17議席)が合計61議席を獲得し、NZ ファースト党(7議席)抜きで政権を握ることが可能となった。労働党(34議席)、緑の党(Greens、11議席)、マオリ党(7議席)は全体で52議席にとどまった。国民が抱えるトップ3の問題として、経済(40.2%)、生活費(37.4%)、健康(34%)などが挙げられた。
クック海峡フェリー航路の将来
政府は、老朽化したキーウィレール(KiwiRail)の島間フェリーの交換計画について発表した。キーウィレールは、ニュージーランドの鉄道事業と、北島と南島をつなぐ島間フェリーの運営を担当するニュージーランドの国有企業。数年前に労働党(Labour)の前政権が大型フェリー導入を計画したが、これが撤回され、新たな計画では2029年に中型フェリー2隻の運航を導入することになる。鉄道貨物の積載が可能な「RoPax型」フェリーとなる見込みだが、具体的な詳細は未発表。政府は2024年3月末までに最適な案を検討し、最終案を選定する。商業上の配慮から予算規模はまだ公表されていないが、コストは労働党政権下で開発されていた30億ドル以上に膨れ上がったプロジェクトよりはるかに低くなると予想されている。
最低賃金1.5%上昇し23.50ドルに
政府は、2025年4月に最低賃金を現状の時給23.15ドルから23.50ドルへ引き上げると発表した。この1.5%の増加は約14万2,000人の労働者に影響を与えると予測されている。労働組合は、この引き上げが実質的な賃金減少であり、不公平だと指摘。緑の党(Green)は、インフレ率や家賃上昇に追いつかず、移民の流出を食い止める効果もないと非難している。野党や労働党(Labour)も、今回の増額を「実質的な賃金カット」と見なし、政策の優先順位が間違っていると批判。一方、大手雇用者団体はこの増加を「経済状況に合った現実的な措置」と評価し、事前通知が早い点を支持している。政府は、インフレ抑制を強調し、労働者支援と企業負担のバランスを取ったと説明。若年層の雇用機会確保や失業手当の削減を目指すとしている。
キーウィバンクが固定住宅ローン金利と定期預金金利を引き下げ
キーウィバンク(Kiwibank)は住宅ローンと預金金利を引き下げた。2年固定特別金利は5.69%から5.59%になり、2年標準金利は6.49%に10ポイント引き下げ。6カ月特別金利は6.49%から6.15%になり、その他の固定金利も10~20ポイント引き下げられたが、1年特別金利は5.79%のまま据え置かれた。預金金利は0.5~20ポイント引き下げられた。この動きは、11月末のニュージーランド準備銀行(Reserve Bank、RBNZ)による政策金利(Official Cash Rate、OCR)の50ポイント引き下げに伴い、他の銀行が固定金利を引き下げた流れを受けたもの。国際的な地政学的要因が銀行の借入コストを押し上げる可能性があり、最近では、米国大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利後の財政赤字拡大懸念が一因とされている。
社会
銀行が運営するATMが減少、民間業者が穴埋め
銀行所有のATMが大幅に減少し、代わりにNextやAllpointなどの民間プロバイダーによるATMが台頭している。銀行は自社敷地内にATMを設置することを好む傾向があるが、民間業者は利便性のいい場所に設置されできるので、その結果、民間のATMがより利用されるようになったと見られる。銀行ATMの多くは手数料が無料だが、民間のATMでは一回の取引で約2.50〜2.80ドルの手数料を請求することが多い。現金を使う機会の減少とコスト削減のため銀行がATM提供を縮小する一方、民間業者は手数料ビジネスで収益を見込める市場に価値を見出した。必要に応じて現金を引き出せる手段が提供されていることは重要だが、特に低所得者層の利用者にとっては、手数料は負担を与えるとの懸念もある。
スーパーマーケットの食品に針混入
12月4日、南オークランドのスーパーマーケットWoolworths Papakuraで食品2品に注射針が混入しているのが発見され、警察とニュージーランド食品安全局(NZFS)が捜査をしている。店内の防犯カメラの映像を確認し、対象となる商品はすでに店頭から撤去されたため、製品名は明らかにされていない。NZFSの副局長ヴィンセント・アーバックル氏は、この事件を深刻に受け止めているものの、意図的な食品異物混入事件はニュージーランドでは極めて稀であると強調した。現時点では他の商品に影響がある証拠はなく、店側は商品の監視を強化しているという。Woolworthsの広報担当者は、食品安全を最優先事項とし、NZFSおよび警察と緊密に連携していると発表した。
ロト・パワーボール:ニュープリマスの住民が2,300万ドルを獲得
ニュージーランドの最新の高額宝くじ当選者が発表された。当選者は1等の3分の1とパワーボールを的中させ、2,333万3,333ドルを手にした。チケットはニュープリマスのWoolworths Spotswoodで購入されたという。これは今年5番目に大きな当選額で、20人目のジャックポット獲得者となる。また、同じ1等でパワーボール番号がないチケット2枚が、それぞれ33万3,333ドルを獲得。この2枚はクライストチャーチのWoolworths Eastgateと、ベイ・オブ・プレンティのPak’nSave Pāpāmoaで販売された。今年は高額当選が相次ぎ、6月には5,000万ドルのジャックポットが7人で分配される記録的な当選発表もあった。ロトの賞金引き換えは、当選者が店舗で申請書を記入後、ロト本社のチームが手続きを行う。
バヌアツ地震:ニュージーランドからも救助隊派遣
12月17日に南太平洋西部の群島国バヌアツでマグニチュード7.3の地震が発生し、首都ポートビラを中心に多くの被害が出た。この地震により、少なくとも14人が死亡し、200人以上が負傷している。ニュージーランド政府は、地震発生直後からバヌアツへの支援を開始。19日には、都市捜索救助の専門技術を持つニュージーランドホークスベイ消防緊急隊(Fire and Emergency New Zealand Hawke’s Bay)が、瓦礫の中の犠牲者の捜索を支援するため派遣された。また、ニュージーランド国防軍(NZDF)のボーイング757型機を派遣し、ニュージーランド人など約86人を避難させた。余震が続く中、22日には商業飛行が再開された。ニュージーランドとバヌアツは地理的に近く、太平洋地域の島国同士、共通の課題を抱えていることから、歴史的に深い協力関係が築かれている。
生活
イケア(IKEA)がニュージーランド倉庫をオープン
12月17日、スウェーデンの小売大手イケアは、オークランドのマンゲレに外部倉庫を開設した。この倉庫は、オークランド空港が建設し所有する2万㎡の建物。同社は2025年後半にオークランドにシルビアパーク店を開店予定で、オークランド空港と連携し、ニュージーランド市場への本格参入に向け着実に準備を進めている。商品は主にマレーシアと中国などのアジアから輸送され、倉庫を経由して全国へ配送される。出荷品は2025年5月に倉庫に到着する予定で、シルビアパーク店がオープンしたその日から商品を購入できるという。また、同社では倉庫運営や店舗販売、レストランスタッフなど多様な職種の従業員約400人の採用が計画されている。
食料品サプライヤーが価格を引き上げ
Foodstuffsが仕入れるコストの変化を毎月追跡している。11月には約3,500品目が前月比でコスト上昇し、2024年7月以来の最高水準となった。部門別では、バターや牛乳などの乳製品、冷蔵食品、パンなどが3.1%上昇し、チョコレートや食用油のコスト上昇もあり、一般食料品全体では2.3%の上昇が見られた。供給コスト上昇の背景には、世界的な生産低下や輸入品の高コスト化、燃料費の上昇があり、これらの要因は今後も一定期間影響を及ぼすと考えられる。
2024年春のラム肉の収穫予測は5.2%減少
Beef + Lamb New Zealandの報告によると、2024年春のニュージーランドの子羊生産量は、前年から5.2%減少し、推定1,920万頭になる。生産量減少の主な要因は、繁殖用母羊の減少と出生率の低下と見られている。北島では出産率が予想を上回ったものの、南島では予想を下回り、さらに雨天や降雪が子羊の生存率に影響した。これにより、輸出用子羊の数は6.5%減少し、クリスマス前の処理数は、北島では前年同期比2.4%増加するが、南島では同22%減少する見込みとなっている。輸出用成羊の数も全体で10.9%減少する見込み。しかしシーズン初期の羊肉価格は昨年より高く、さらに金利の低下が農家の財政圧力を緩和しているため、羊肉セクターには慎重ながらも楽観的な見方が広がっている。
「今年の名言」大賞はオウムのペッパーの「こんにちは、ダーリン」
「今年の名言(Quote of the Year)」コンテストの2024年の栄誉は、6歳のオウムのペッパー(Pepper the cockatoo)に贈られた。ペッパーは11月17日にスタグランズ野生動物保護区の鳥小屋から盗まれ、1週間後に発見された時に「こんにちは、ダーリン(hello darling)」と口癖の決め台詞を発したことで有名になった。このコンテストは、マッセイ大学が毎年年末に実施しており、今年で14年目を迎えるが、動物が優勝を飾るのは初。第2位には、クリストファー・ラクソン首相の自慢「私は裕福で経済的に恵まれている(”I’m wealthy, I’m ‒ you know ‒ sorted.”)」が選ばれた。過去の優勝者には、クリス・ヒプキンスの「足を広げろ(“spread your legs”)」、サイモン・ブリッジスの「ポーラ・ベネフィット(”Paula Benefit”)」失言などがある。
芸能・スポーツ
学校ラグビー:ケルストン男子高校が優勝、トロフィーは3年連続ニュージーランドへ
ケルストン男子高校(Kelston Boys’ High School)は、今月アラブ首長国連邦の首都アブダビで行われた学校ラグビー世界選手権(World Schools Rugby Festival)の決勝で南アフリカ王者のポール・ルース・ギムナジウム(Paul Roos Gymnasium)を20対12で破り、優勝した。ケルストンは序盤でリードを許したものの、ルースフォワード陣の活躍、強力なラインアウト、キャプテンであるジャレル・トゥアイマロ=バエガ(Jarrel Tuaimalo-Vaega)のリーダーシップにより、逆転勝利を収めた。ニュージーランド勢が同大会でタイトルを獲得するのは3年連続。2023年はウェストレイク男子高校(Westlake Boys’ High School)が、2022年はハミルトン男子高校(Hamilton Boys’ High School)が優勝している。
Netflix『エデンの東』2月にオークランドで撮影予定
Netflixのドラマ『エデンの東』に、『オッペンハイマー』や『若草物語』で有名なイギリス出身の女優、フローレンス・ピュー(Florence Pugh)が主演し、マイク・フェイスト(Mike Faist)やクリストファー・アボット(Christopher Abbott)らと共に撮影に臨んでいる。撮影は9月からオークランドで始まり、ダニーデンやオアマルでも行われる予定だが、2月には政策陣がオークランド郊外のデボンポートに拠点を置くことが明らかになった。撮影は2月18日から21日にデボンポート・ドメイン(Devonport Domain)周辺やチェルトナム・ロード(Cheltenham Rd)の一部で行われる予定。時代背景に合わせて現代の車両を排除し、道路や歩道には砂利を敷き、キャストやスタッフは約200人規模となるという。地元住民には道路閉鎖や駐車制限に関する通知が送られ、一部の住民は撮影に合わせて家を時代に合わせた色に塗り替えるよう依頼されている。