世論調査:労働党支持率が2年ぶりに国民党を追い抜く
最新のTaxpayers’ Union-Curiaの世論調査によると、労働党(Labour)の支持率が約2年ぶりに国民党(National)を上回り、30.9%(前月比+4pt)に上昇した。一方、国民党支持率は29.6%(同-4.6pt)に下落、20%台に落ち込んだ。その他の党では、ACT党が10.8%(同-2.2pt)、緑の党が9.5%(同+1.2pt)、NZファーストが8.1%(同+2.7pt)、マオリ党が5.3%(-0.2pt)となった。この結果に基づく議席数は、左派勢力が合計58議席、右派勢力は合計62議席となり、現在の政府が引き続き過半数を維持している。一方、次期首相候補の人気では、労働党のヒプキンス党首が15.3%(同-4.6pt)、国民党のラクソン党首が24.5%(同-2.6pt)となった。政府の方向性については、39%が「正しい方向」と答えた一方、53%が「誤った方向」と評価している。主要な関心事項としては、生活費(22.3%)、経済(17.5%)、医療(11.6%)が挙げられた。
内閣改造:シェーン・レティ保健大臣が失職
1月19日、首相のクリストファー・ラクソン氏は内閣改造を行い、複数の分野での人事交代が行われた。保健大臣(Health Minister)は、シェーン・レティ氏からシメオン・ブラウン氏に交代。また、メリッサ・リー氏は大臣チームから降格、経済発展・民族コミュニティの担当も外された。経済開発(economic development)担当大臣は経済成長(economic growth)担当大臣と名を変え、ニコラ・ウィリス財務大臣が引継ぐ。経済発展・民族コミュニティ担当はマーク・ミッチェル氏が後任を務める。新人議員ジェームズ・ミーガー氏が南島担当大臣に昇進するなど、新たな顔ぶれも登場したが、労働党のクリス・ヒプキンス氏はこの任命を「南島軽視」と批判している。この改造により、政府は経済成長や医療改革といった重要課題への対応を強化する方針だ。
住宅ローン固定金利引き下げ相次ぐ
主要銀行の住宅ローン金利引き下げが相次いでいる。ウェストパック銀行は6ヶ月の住宅ローン金利を5.99%に引き下げ、5〜9カ月の定期預金金利も年率0.10%から0.15%引き下げた。競合他社に対抗するため、これに続き各行が金利引き下げを発表。ANZは6カ月の通常および特別固定金利を25bps(ベーシスポイント)、1年固定金利を22bps、18カ月固定金利を20bps、2年固定金利を15bps引き下げた。BNZも住宅ローンの1年、18カ月、2年の固定金利の値下げを実施し、1年固定金利は5.79%から5.59%に、18カ月固定金利は5.59%から5.39%に、2年固定金利は5.59%から5.29%に引き下げられる。住宅ローン金利の前回の変更は、2024年11月のニュージーランド準備銀行による政策金利(OCR)の50bps引き下げ(4.25%)を受けて行われた。次回の政策金利発表は2月19日に予定されている。
条約原則法案:公聴会初日を終え、賛否両論が激しく対立
1月27日、「条約原則法案(Treaty Principles Bill)」に関する公聴会が行われ、賛否両論が交わされた。賛成派は、条約の原則は裁判所やワイタンギ裁判所による解釈ではなく、議会が定義すべきと主張。提案者であるACT党首のデビッド・シーモア氏も、自由と平等の観点から法案の必要性を強調した。ロビー団体ホブソンズ・プレッジ(Hobson’s Pledge)は、一部の原則には賛成しつつも、不十分な点を指摘した。一方、反対派はこの法案が先住民であるマオリの権利を損なうものだとして強く批判。マオリの代表者や専門家は、この法案は条約の意図を無視しており、先住民との関係を損なうと主張した。この法案はワイタンギ条約の原則を議会が定義する新たな枠組みに置き換えるものだが、主要政党からの支持は得られておらず、成立の可能性は低いと見られている。
社会
ネルソンの警察官、元旦に殉職
ニュージーランド警察のリン・フレミング上級巡査部長(Senior Sergeant Lyn Fleming)が、元旦の早朝2時過ぎ、同僚とネルソン市中心部を徒歩で巡回していたところ、バクストン・スクエア(Buxton Square)で車にひかれて死亡した。32歳の男が殺人、殺人未遂、暴行、傷害、危険運転、免許停止中運転などの罪に問われている。62歳のフレミング氏は、38年間警察官として勤務し、多くの人々に愛されていた。1月16日には正式な警察葬が執り行われ、家族、友人、同僚のほか、国内外の警察官、クリストファー・ラクソン首相などが参列。葬儀の最後に、フレミング氏に敬意を表して、同僚により伝統的な警察のハカ「Ko Te Uru Pounamu」が披露された。フレミング氏はニュージーランドで職務中に殺害された最初の女性警官かつ、ネルソンで職務中に殺害された最初の警察官である。
元国会議員、オークランドのスーパーで万引きの疑い
元緑の党議員のゴルリズ・ガーラマン(Golriz Ghahraman)氏が万引き疑惑で注目を集めている。事件は2024年後半、オークランドのロイヤルオークにあるスーパーマーケット「Pak’nSave」で発生したとされる。ガーラマン氏は未払い商品の入ったバッグを持ってレジを通過しようとし、警備員に呼び止められたが、ガーラマン氏は支払う意思があったと説明したという。万引き金額は150ドル未満で、「低レベル」の万引きと分類されている。呼び止められたのがレジ通過前だったことから、万引きを立証するのは難しいと指摘する専門家もいる。この疑惑がSNSを通じて広まった経緯も問題視されており、警察や当該スーパーマーケットは詳細なコメントを控えている。ガーラマン氏は過去に合計約9,000ドル相当の高級衣料品を万引きした件で有罪判決を受けており、1,600ドルの罰金を科されていた。
2024年のNCEA試験結果発表
1月15日、NCEAの結果がニュージーランド資格認定局(New Zealand Qualifications Authority、通称NZQA)のウェブサイトで発表された。統計によると、NCEAのすべてのレベルにおける達成度は、11年生から13年生の生徒全体で3年連続で低下している。2024年のNCEAレベル1取得率は70%で、昨年の82%から大幅に低下した。教育相のエリカ・スタンフォードは、この変化は、識字・計算力の必須要件の導入や評価方法の変更などによるもので、結果は予想されたものであると述べた。レベル2と3の取得率は昨年とほぼ同水準で、最終結果では若干の改善が見込まれる。この結果を受け、政府は、初等教育における基礎学力向上を重視し、小学生に毎日1時間の読み書き・算数を義務付ける方針を発表した。特定の学校に識字・計算能力向上のための支援パッケージも配布する。
タカプナの日本食レストラン、武装強盗に襲撃される
1月19日午後9時半ごろ、オークランドのノースショアにあるタカプナの日本食レストラン「Tokyo Bay」が強盗に襲われ、現金400ドルが盗まれた。警察は容疑者が逃走した直後に到着し、現在も犯人の行方を追っている。当時レストラン内には5人のスタッフがいて、強盗がハンマーや鋭利な武器を振り回す中、椅子で身を守った。スタッフの中には、ニュージーランドに来たばかりでその日初めての夜勤を終えた日本人スタッフもいたという。事件後、スタッフはひどく動揺しており、回復にはしばらく時間がかかると見られている。レストランは窓ガラスが割られ、飲み物のボトルや缶が散乱しているため、翌日の営業停止を余儀なくされた。レストランの共同経営者マーク・スミス氏によると、翌日はランチもディナーも予約で満席だったといい、この事件で約1万ドルの売り上げが失われたと予想している。
生活
英国、ニュージーランド国籍者へ入国料を課す
英国は、新たな電子渡航認証(The Electronic Travel Authorisation、通称ETA)制度を導入し、1月8日以降にニュージーランド、米国、カナダ、オーストラリア、日本などの国々から英国に入国する訪問者に事前認証の取得を義務付けた。ETAの費用は10ポンド(約22NZドル)で、一度取得すると2年間有効、一度に最大6か月間の滞在ができる。この制度は2023年に対象国籍を限定して試験導入され、ニュージーランドや日本を含む50カ国以上に拡大された。2025年4月にはEU諸国にも適用予定だという。ETAはトランジット目的の旅行者や子供も対象となり、専用アプリやウェブサイトで申請することができる。申請にはパスポートと顔写真の登録が必要で、承認まで約3営業日かかる。英国の観光客減少や経済への悪影響を心配する声もあり、競争力の低下が懸念されている。
川や湖で有害な藻類大量発生
ニュージーランド各地の水辺で有害な可能性のある藻類の異常繁殖が報告されている。ほとんどの淡水藻類は無害だが、「Microcoleus autumnale」などのシアノバクテリア(cyanobacteria)と呼ばれる種類は、嘔吐や下痢、皮膚刺激を引き起こし、特に幼児やペットが誤って摂取すると深刻な健康被害をもたらす可能性があるので注意が必要とされている。すでにタウポ近郊のワイカト川、ロトルア湖、ロトイティ湖、ウェリントン地域のワイポウア川やハット川、カンタベリーのワイキリキリ・セルウィン川などで発生が報告されている。藻類異常繁殖は、エルニーニョ現象による乾燥した暑い気候が原因と考えられており、過去には2017~2019年の夏にも同様の現象が見られた。専門家は、地元自治体のウェブサイトや「Land, Air, Water Aotearoa」のサイトを確認し、安全に水遊びを楽しむよう呼びかけている。
オークランド交通(AT)、バス、電車、フェリーの運賃を値上げ
オークランド交通(Auckland Transport、通称AT)は、2月2日から公共交通機関の平均運賃を5.2%引き上げると発表した。バス、電車の運賃は15~25セント、フェリーは20セントから最大1.40ドルの値上げとなる。運賃ゾーンの再編も行われ、現在の14ゾーンから9ゾーンに統合される。これにより長距離利用者の運賃が安くなるという。さらに、バス、電車利用者は、5ゾーン以上を移動しても4ゾーン分の運賃しか請求されなくなる。現在提供されている10%のオフピーク割引は廃止されるが、1週間の運賃上限50ドル、非接触型決済による1日の上限20ドルは継続される。ATのディレクター、ステイシー・ファン・デル・プッテン氏は、運賃の値上げはコスト増加に対応するためにのやむを得ない措置とし、「コロナ禍の2年間、運賃を据え置いていたが、今は遅れを取り戻す必要がある」と述べている。
2024年にニュージーランドで最も盗難が多かった車
ニュージーランドの大手保険会社AMIによると、トヨタのハイブリット車「アクア」が2024年のニュージーランドで最も盗難が多い車のトップに立った。2024年、アクアは全盗難車両請求の8%を占め、車両盗難未遂に関連するものも含めると、AMIは約12,000件の車両に関するクレームを受けたという。アクアは、2022年と2023年に最も盗難が多い車の1位になったことがある。地域別にみると、車両盗難件数が最も多かったのはオークランドで、次いでカンタベリー、ワイカト、ウェリントン、ベイ・オブ・プレンティとなっている。AMIのデータによると、盗難車両の30%は年内に回収されず、回収された盗難車両の52%は修理可能だった。他の盗まれやすい車として、トヨタ「カローラ」、日産「ティーダ」、マツダ「デミオ」、マツダ「アテンザ」などが上位にランクインしている。
芸能・スポーツ
ゴールデングローブ2025:アンナ・サワイがテレビドラマ部門最優秀女優賞
1月6日、第82回ゴールデングローブ賞がロサンゼルスのビバリーヒルトンホテルで開催され、批評家からも絶賛された素晴らしい作品が多数出品される中、映画部門では『ブルータリスト』『エミリア・ペレス』『ウィキッド』などの秀作が受賞した。日本の時代劇ドラマ『将軍(Shōgun)』はテレビドラマ部門で多数の賞を獲得。ニュージーランド出身の女優アンナ・サワイは主演女優賞を受賞し、アジア系女優として初めてのエミー賞受賞に続く快挙となった。同作では他に、真田広之が主演男優賞、浅野忠信が助演男優賞を受賞し、作品賞と合わせて4部門で受賞している。『将軍(Shōgun)』は戦国時代の日本を舞台にしたジェームズ・クラベルの小説を、真田広之が映像化したドラマシリーズ。エミー賞で18部門制覇という大旋風を巻き起こした同作が、ゴールデングローブ賞でも快挙を成し遂げた。
テニストーナメント:ASBクラシックで大坂なおみ準優勝
2024年12月30日にオークランドで開幕したテニストーナメント「ASBクラシック」で、大坂なおみ選手は決勝戦進出を果たすも、決勝の試合中に棄権を申し出て準優勝となった。大坂選手はこのトーナメントで産休から復帰後初の優勝が期待されていたが、決勝戦のクララ・タウソン選手(デンマーク)との試合で第1セットを6-4で先取した後、腹部の痛みを訴え、まさかの棄権。優勝したタウソン選手も「喜べない」とコメントし、異例の結末に観客や関係者も驚きを隠せなかった。大坂選手は、その後1月14日から開催されたオーストラリアでの全豪オープンにも出場。3回戦では、東京五輪金メダリストで元世界4位のベリンダ・ベンチッチ選手(スイス)と対戦し、第1セットを戦い切ったが、ASBクラシックでの負傷の影響か、またもや無念の負傷棄権となり、グランドスラムベスト16進出は果たせなかった。
元オールブラックスのキャンベル・ジョンストン選手が同性婚
元オールブラックスの選手キャンベル・ジョンストンとベン・トムソンの結婚式が、北カンタベリー地方のオックスフォードにある「ザ・フラックスミル(The Flaxmill)」で盛大に行われた。2人はラグビー界の伝説リッチー・マコウの操縦するヘリコプターで入場。会場では、2人が2024年10月に秘密裏に結婚していたことが明かされ、ゲストを驚かせた。秘密の結婚式は2人だけで山頂の特別なロケーションで行われ、その様子を収めたビデオが今回の公開結婚式で上映された。公開結婚式には世界中から165人のゲストが集まり、2人の結婚後の姓を「ジョンストン」と「トムソン」のどちらにするかを投票するなどのユニークな演出が行われた。投票の結果、「ジョンストン」が新しい姓として選ばれた。ジョンストンは2023年に同性愛者であることをカミングアウトしており、同性愛を公表した初のオールブラックスだった。
ヨットレース:SailGPオークランド大会、オーストラリアが優勝
SailGPのオークランド大会が1月18日から19日にかけて開催され、トム・スリングスビー率いるオーストラリアチームが優勝した。昨年の優勝者スペインは22秒差で2位、英国は決勝の序盤のミスでペースを落とし3位に甘んじた。ニュージーランドチームのブラック・フォイルズは表彰台に上がれず、4位で大会を終えた。SailGPは2019年に発足した国別対抗ヨットレース。使用されるF50艇というヨットは、水面から離れることで高速走行できる。レースにはオリンピックメダリストやアメリカズカップ優勝者らも参加している。日本チームもシーズン1(2019年)とシーズン2(2021〜2022年)に参加し、優れた成績を収めていたが、ヨット建造の遅れやチームスポンサー不在などの経営上の問題で撤退した。