失業手当受給者約22,000人増加
ニュージーランドの失業手当(Jobseeker benefit)受給者数が前年比約22,000人増加(+11.5%)し、2025年2月時点で21万人を超えた。2025年1月と比べ6,400人が就職し給付を停止したが、経済停滞の影響で全体の受給者数は依然増加傾向にある。政府は「短期的に悪化するが、改善に向かうだろう」と説明しているが、労働党は政府の政策を「非効果的で厳しすぎる」と批判している。政府は50,000人の給付削減を目標に掲げ、受給者向けの社会福祉「信号機」制度を導入し、受給6カ月後の就職セミナー参加や週3回以上の求職活動の義務化を進める法案を審議している。専門家は、「経済の停滞を考慮すると受給者の増加は予想通り」と見ており、政府の対策による影響は数千人規模であり、景気回復がなければ求職者支援の増加は続く可能性が高いとしている。世界経済の不確実性が影響し、政府の政策だけで受給者数を大幅に減らすのは困難との見方もある。
政府による学校給食プログラムに批判が高まる
政府提供による学校給食プログラム「Ka Ora, Ka Ako」は、1月に改革が行われた後も多くの問題に直面している。このプログラムは、教育副大臣のデイビッド・シーモア氏が指揮を執り、コスト削減と食事の簡素化を目指して実施されているが、配達の遅延や不十分な食事量、未密封の容器による衛生問題、焦げた食事など質の低下についての苦情が相次いでいる。3月には、主要な給食サプライヤーだったリベル・グループ(Libelle Group)の倒産により問題が悪化、一部では学校側がピザや照り焼きチキンなどを購入して対応せざるを得なくなった。食事提供の安定性を確保するため、政府はオーストラリアの提供業者に依存することを検討している。批判が高まる中、首相のクリストファー・ラクソン氏は、これらの問題を「試行錯誤の段階」とし、政府の対応に自信を示しているが、プログラムが学生の福祉に与える影響や政府の支出優先事項については、今なお議論を引き起こしている。
全国の賃貸価格上昇
コロナ禍以降、全国の家賃は大きく変動し、2020年3月のロックダウン以降、中央値は510ドルから640ドルへと25%上昇した。コロナ禍による住宅市場の混乱やインフレ、失業の影響が家賃高騰につながったとみられる。Trade Meの2025年2月のレンタル価格指数によると、ニュージーランドで最も家賃が高いBay of Plentyは、週の中央値が680ドルで、オークランドより20ドル、ウェリントンより15ドル高い。Bay of Plentyは近年家賃が最も高い地域として知られており、人気の居住地となっている。大型住宅の家賃については、主要都市で大きく変動しており、オークランドは6.1%減の1,080ドル、ウェリントンは8.7%減の1,100ドルとなったが、クライストチャーチは15.6%増の1,040ドルだった。賃貸物件の家賃は、オークランドとウェリントンのタウンハウスがそれぞれ3.5%、4.8%減少し、クライストチャーチではアパートの家賃が2.9%下落したが、ユニットの家賃は4.4%増加した。
大手銀行住宅ローンの固定金利、再引き下げ
ニュージーランド大手銀行のASBは、3月20日、住宅ローンの固定金利を最大20ベーシスポイント(bps)引き下げた。6カ月固定金利は5.89%から5.79%に、4年固定金利は5.79%から5.59%に、5年固定金利は5.69%に変更された。さらに、一部の定期預金金利も5~20bps引き下げられた。これにより、ASBはBNZと並び6カ月固定金利で大手銀行の最低水準となった。CoreLogic NZの調査によると、1月の借入者の90%が変動金利または6~12カ月の短期固定金利を選択。しかし、銀行間の「金利競争」により、2~3年の長期固定金利への移行が進む可能性があると分析する専門家もいる。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は4月9日に次回の公式キャッシュレート(Official Cash Rate、以下OCR)を決定予定。2月に引き下げられたばかりのOCRは現在3.75%で、昨年7月以降、合計175bpsの利下げが行われている。RBNZは4月と5月にそれぞれ25bpsの追加利下げを示唆している。
景気後退から脱却、GDPは0.7%上昇
ニュージーランド経済は2024年第4四半期に0.7%成長し、新型コロナ関連を除く、1991年以来最悪の景気後退から回復した。観光業や不動産業の回復、乳製品・肉類の輸出好調が成長を支えたが、建設業や情報通信業は引き続き低迷している。年間ではGDPが0.5%減少し、依然として前年同期比1.1%縮小しており、回復の途上にある。一人当たりのGDPも年間で2.2%減少し、個人レベルでは経済成長が実感しにくい状況が続いている。政府は回復を歓迎し、「成長は雇用増加や公共サービスの改善につながる」と期待を示したが、経済専門家は、経済の回復傾向を認めつつも、2025年の成長の持続性には慎重な見方を示している。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は4月と5月に政策金利を引き下げる可能性が高いが、世界的な経済の不確実性が今後の成長を左右すると指摘し、「短期的な回復にとどまり、2025年の成長には不透明感が残る」と慎重な見解を述べている。
社会
住宅の共同購入が人気
住宅価格の高騰により、友人や家族と共同で家を購入する人が増えている。住宅価格は収入中央値の8.2倍と依然高く、依然「極めて手が届きにくい」水準である。共同購入には、住宅ローンや税金、修繕費を分け合うことで各自の金銭的負担が軽減され、個人では手が届かない物件を購入しやすくなるというメリットがある一方、独自の課題も指摘されている。注意点の1つは、共同購入者は全員が住宅ローンの債務全額に責任を負うことだ。例えば、100万ドルの住宅ローンを共同購入者の2人が半額ずつ負担して各自が50万ドル借入するとしても、実際には2人とも100万ドル全額に責任を負う。また、共同購入者と将来の計画について事前にしっかり話し合っておくことも重要だ。購入した家の売却時期や、結婚・出産などのライフステージの変化、一方が死亡した場合、万が一関係が悪化した場合などについて、弁護士を通じた契約書を作成しておくことが望ましいと専門家は推奨している。
Pak’nSave元警備員3人が恐喝未遂容疑で逮捕
オークランド南部のマヌカウ(Manukau)にあるスーパーPak’nSaveの店舗で勤務していた元警備員3名が恐喝未遂の疑いで逮捕された。今年1月、買い物客の女性が万引きの疑いをかけられ、警備員から不当な罰金395ドルを支払うよう脅された事件が発端となった。女性は防犯カメラ映像の確認を求めたが、当初は拒否され、厳しく追及された。消費者団体Consumer NZは、警備員に逮捕権や罰金を科す権限はなく、当該警備員の対応は不当だったと指摘している。警察の捜査の結果、他にも4人の被害者が警備員による恐喝行為を訴えた。逮捕された元警備員は23歳男性、39歳男性、19歳女性の3人で、恐喝目的の要求や詐欺による取得などの罪で起訴され、最大7年の懲役刑が科される可能性がある。事件を受け、スーパー運営会社のFoodstuffsは女性に謝罪し、当該警備員は警備会社から解雇されたが、逮捕に関しては「裁判中のためコメントできない」と述べている。
「ニュージーランダー・オブ・ザ・イヤー」:女性の健康の先駆者ベヴ・ロートン
2025年の「Kiwibank今年のニュージーランド人(Kiwibank New Zealander of the Year)」に、ウェリントンのヴィクトリア大学にある「Te Tātai Hauora o Hine(ニュージーランド女性健康研究センター)」の創設者兼所長ベヴ・ロートン(Bev Lawton)教授が選ばれた。ロートン教授は、女性の健康分野で革新的な研究を行い、特にヒトパピローマウイルス(HPV)や子宮頸がんの予防に貢献している。HPVワクチンの導入や自己検査による子宮頸がんスクリーニングの推進に重要な役割を果たし、ニュージーランドは先進国で初めてこの方法を導入した。ロートン教授は「子宮頸がんの根絶は可能であり、政府がそれに投資すべきだ」と訴えている。また、医療現場での女性やマオリの不平等を目の当たりにし、それを改善するための研究も続けている。今後は子宮がんや先天性梅毒の対策にも取り組む予定であり、女性たちが声を上げ、政府に支援を求めることが重要だと強調した。
生活
ハイランドパークのPak’nSaveオープン、初日来客数5700人以上
2月末、オークランド東部のハイランドパーク(Highland Park)に総工費1億ドルをかけてPak’nSaveが新規開店し、開店初日だけで5,700人以上の顧客が詰めかけた。開店直後から長蛇の列ができ、店内はカオス状態に。店舗側は通常より多い383台のカートを用意していたが、それでも足りず、追加で44台を導入したという。店長のウェイド・ブラウン(Wade Brown)氏は「開店前からカートを押した人々が並んでいた」と驚きを語った。開店にあたり、ココナッツウォーターが89セント、チンゲンサイが49セント、アボカドとパプリカが99セントといった低価格セールを展開。初日はスイートコーン、ブルーベリー、国産鶏胸肉などがよく売れたという。開店前に、Pak’nSaveを所有する食品小売大手Foodstuffsと水道局Watercareの間で防火用水用貯水タンクの設置をめぐるトラブルがあったが、最終的に店舗の水道接続が認められ、予定通り開店となった。
観光局がマインクラフトと提携
ニュージーランド政府観光局は、マインクラフト(Minecraft)と提携し、国内の6つの観光名所をゲーム内で体験できるコンテンツを制作した。この取り組みにより、政府は観光収益5,000万ドルの創出と、広告効果を目指している。対象の観光地は、ワイトモ洞窟(Waitomo Caves)、ロトルアのテ・プイア(Te Puia)、カピティ島(Kāpiti Island)、エイベル・タズマン国立公園(Abel Tasman National Park)、テカポ(Tekapō)、ダウトフル・サウンド(Doubtful Sound)で、プレイヤーはゲーム内でこれらの場所を探検し、実際の旅行計画につなげることもできる。ニュージーランドの文化や環境保護への配慮を学ぶ要素も含まれている。映画『A Minecraft Movie』の公開と連動したマーケティング戦略として行われ、ゲームの人気を活用してニュージーランド観光を促進する狙いがある。観光業者向けの専用旅行プランも開発され、4月までプロモーションが続く予定だ。
ファーノース国道で7月から速度制限引き上げか
運輸局(NZ Transport Agency、以下NZTA)は、ファーノース地方の国道4区間を含む16区間の制限速度の正式な見直しを実施する。これらの区間は、2020年以降に安全対策として制限速度が引き下げられた。見直し対象の区間は、SH1のカイタイア(Kaitāia)の60km/h、50km/h制限区間、SH11のテ・ハウミ(Te Haumi)の50km/h制限区間、SH1のモエレワ(Moerewa)の50km/h制限区間で、これらの制限が以前の70~100km/hに戻る可能性がある。NZTAは、1月に自動速度復元リストを公表した後、一部の地域社会から制限速度を維持したいとの意見が寄せられたため、正式なレビューを実施すると発表。4月上旬から6週間の一般公開協議が行われる。なお、他の4区間(SH10のカイガロア(Kaingaroa)、SH1のモエレワ~カワカワ(Kawakawa)、SH1のヒュケレヌイ(Hūkerenui))の制限速度に関する協議も先月実施されたが、結果は公表されていない。
一流レストランが2025年の牡蠣シーズンを中止
ニュージーランドの主要なシーフード供給会社Ngāi Tahu Seafoodは、2025年のブラフ・オイスター(Bluff oyster)漁を行わないと発表した。牡蠣の品質や数量の低下が続いていることが理由とされる。特に、病気やウイルス、異常気象やエサ不足などの気候変動の影響が、牡蠣減少の原因になっているという。これを受け、オークランドの有名レストランDepot Eatery and Oyster Barも、今季はブラフ・オイスターをメニューから外す決定をした。同店は持続可能な漁業を支持し、「今後もこの貴重な資源を守るために責任を果たすべきだ」とコメントしている。ブラフ以外のニュージーランド産の牡蠣は引き続き提供される。ブラフ・オイスターは、ニュージーランド南島のフォーボー海峡(Foveaux Strait)で採取される高級食材で、ニュージーランド最古の商業漁業の一つ。Ngāi Tahuは持続可能な漁業を優先し、来年の漁の可否を年末に決定する方針を示している。
芸能・スポーツ
2025年アカデミー賞:Wētā FX、視覚効果賞受賞ならず
3月初、第97回アカデミー賞の授賞式がハリウッドで開催され、映画『Dune: Part Two』が視覚効果(VFX)賞を受賞した。ニュージーランドの視覚効果制作会社Wētā FXは、『Alien: Romulus(邦題:エイリアン:ロムルス)』『Better Man(邦題:ベター・マン)』『Kingdom of the Planet of the Apes(邦題:猿の惑星/キングダム)』の3作品で視覚効果賞にノミネートされていたが、惜しくも受賞を逃した。Wētā FXのVFX責任者マット・エイトケン(Matt Aitken)は、今年は過去最多の個人がオスカーにノミネートされたことに言及し、その成果を称えた。ノミネートされた作品の各VFX制作担当者の面々も、「このノミネーションが次世代のVFXアーティストやSF映画ファンに刺激を与えることを願っている」「チームの努力が業界の仲間に認められたことを光栄に思う」「1,000人以上のスタッフの尽力を代表することを誇りに思う」と口々に喜びを語った。
ミス・ユニバース・ニュージーランド:ネイピアの弁護士ダナ・マクナティが立候補
ネイピア在住の弁護士ダナ・マクナティ(Dana McNatty)氏は、企業法や商業法を専門としながら、2025年ミス・ユニバース・ニュージーランドに挑戦することを決意した。マクナティ氏は「キャリアを持ちながらも、美のコンテストに挑戦できることを示したい」と述べている。マクナティ氏は全国から選ばれた14人のファイナリストの一人で、ホークスベイ(Hawke’s Bay)地域からの唯一の代表者。10代の頃に小規模なコンテストに参加した経験があり、再び美と自己成長の世界に魅了されたという。「今のコンテストは、単なる美の競争ではなく、自己成長のプログラムだ」と説明し、スピーチや立ち振る舞いの指導を受けながら、スポンサー探しや慈善活動にも取り組んでいる。ミス・ユニバース・ニュージーランドの優勝者は、11月にタイで開催されるミス・ユニバース世界大会に出場することになる。
陸上史上最年少記録:サム・ルースが4分の壁を突破
15歳のニュージーランド人中距離ランナー、サム・ルース(Sam Ruthe)が史上最年少で「4分の壁」を破り、1マイル3分58秒35を記録した。ルースは、2020年東京・2024年パリオリンピックのニュージーランド代表選手サム・タナー(Sam Tanner)とともにレースを走り、タナーに次ぐ2位でゴール。レースはオークランドのGo Media Stadiumで開催され、雨が降る中での快挙となった。ルースは「これまでで一番嬉しい目標達成」と語った。ルースは、元800mと1,000mの国内記録保持者の父ベン・ルース(Ben Ruthe)と、クロスカントリー国内王者の母ジェス(Jess)の間に生まれ、祖母ローズマリー(Rosemary)もコモンウェルスゲームズの金メダリストという、陸上界の名門一家の出身。この夏、15歳以下の3,000m世界最高記録を3度更新し、ニュージーランド陸上選手権ではシニア1,500mでタナーと同タイムで金メダルを獲得するなど、快進撃を続けている。
2026年サッカーW杯:日本に続きニュージーランドも出場決定
3月24日、ニュージーランド代表男子サッカーチーム「オールホワイツ(All Whites)」は、オセアニア予選決勝でニューカレドニアを3-0で下し、2026年に北米で開催されるFIFAワールドカップへの出場権を獲得した。試合は3月25日にオークランドのイーデン・パーク(Eden Park)で行われ、終始緊張感のある試合が展開された。前半はニューカレドニアの堅い守備に苦しみながらも、後半61分にDFマイケル・ボクソール(Michael Boxall)がヘディングで先制。5分後にはコスタ・バルバルセス(Kosta Barbarouses)が追加点を決め、終盤にはイライジャ・ジャスト(Elijah Just)がダメ押しの3点目を入れた。この勝利により、ニュージーランドは2010年以来となるワールドカップ出場を果たした。なお、日本も3月20日のアジア最終予選でサウジアラビアと0‐0で引き分け、C組1位として予選突破が決定したばかり。本大会は2026年6月11日に開幕し、決勝は7月19日に行われる予定だ。