National Leagueを楽しもう!
ニュージーランドにあるプロフェッショナルチームはオーストラリアのAリーグに所属するWellington Phoenixのみだがセミプロフェッショナルクラブが多数存在し、国内リーグも運営されている。この仕組みを理解しニュージーランドのサッカーをもっと楽しむため、現在オークランドシティ所属の岩田卓也さんにニュージーランドの国内リーグについてお話を伺った。
三段階の国内リーグの仕組み
国内リーグである“National League”には大きく分けて三つのステージがある。まず、“National League Regional Phase”という地域ごとのリーグ戦が今年は3月から始まった。国内を三つに分けて9月まで戦い、“Northern League”の12チームから上位4チーム、“Central League”の10チームから上位3チーム、“Southern League”の10チームから上位3チームを選出する。
そして各地域から選出された合計10チームで、次のステージである“National League Championship”を11月頃まで戦い、上位2チームを選出する。
こうして選ばれたにチームが、12月頃に最終ステージとなる“National League Championship Grand Final”で競うことになる。ここで勝ってこそ、国内リーグ1位として賞金やメダルをもらえる。
強豪や特色のあるチームは?
「実は最近リーグの形態が変わり、様々なチームがリーグで戦えるようになり、それに合わせて各地の多くのチームが名称を変更したりと、今までとは違った様相となりました。注目チームとしては、“Northern League”だったら我らがAuckland City、そしてMelville United、Auckland United、またBirkenhead Unitedなど強豪と言われるチームがありますが、その年によって監督が変わることも多く、選手の入れ替わりも多いのでどうなるか分からないエキサイティングな展開になります。Eastern Suburbsは去年は低迷していましたが老舗ですし今年はどうなるか分かりません」と岩田さんは言う。
「“Central League”ではWellington Phoenix Reservesという、Wellington PhoenixのU23などを目指す育成中の若手や怪我から復帰する選手が多く在籍するチームがあります。また元々はTeam Wellingtonというチームが名称を変えたWellington Olympicというのが注目チームですね。“Southern League”では心機一転で名称変更や入れ替わりが多く、応援したいチームを見つけてもらえたら嬉しいなと思います」とのことだ。
「チームによっては相手チームに対してあくどい野次が多いサポーターを持っているチームなどもありますから注意してください。また応援団のあるチームもあります。例えばWaiheke Unitedというチームは去年から“National League”からは降格してしまいましたが、南米系選手が多く応援歌などもあります。僕たちAuckland Cityは選手各個人のための応援歌があるのですが、歌われると気持ちが盛り上がって頑張れます」とのことなので、ぜひ岩田さんの応援歌も覚えておきたい!
“National League Regional Phase”や“National League Championship”はなんと入場は無料とのことで、観戦を楽しみやすい。
「実はニュージーランドの観客は日本の情熱的な応援と比べるとずっと静かなのですが、大きな声援はもちろんウェルカムです。反面、ニュージーランドのサッカーは選手と観客との距離が近いというか、とてもオープンで、観戦後はぜひピッチのそばまで来て、お気に入りの選手に声をかけてみてください」
Auckland Cityには太鼓を叩いて応援する名物サポーターもいて、観客を盛り上げてくれるのでぜひ応援にかけつけよう!
注目選手、そして世界への挑戦
「Auckland Cityのキャプテンである7番キャメロン・ホウィソン選手(MF)はAll Whitesにも選抜されていますし、13番のネイサン・ロボ(左SB)、16番のジョセフ・リー(右W)はU23にも選ばれている注目選手です。ちなみに僕は今年40歳で“National League”の最年長なんじゃないかと思いますし活躍に注目してください(笑)」と岩田さん。ぜひ面白い試合を見せてほしい!
このニュージーランドの“National League”から国外へ行く選手も出てくるそうだが、「20歳を超えたあたりからヨーロッパなどへチャレンジする選手も出てきますね」とのことだ。例えばU17、U20、 U23で活躍したアダム・トーマス選手もAuckland Cityを含め様々なニュージーランドのクラブチームを経て、今はアイルランドのクラブチームでプレーしている。
知れば知るほど面白くなってくるニュージーランドの“National League”をぜひ楽しもう!
岩田 卓也
Takuya Iwata
ポジション:DF。2006年に岐阜FCに入団。オーストラリアに渡り2010年からエッジヒル・ユナイテッドFC、クイーンズランド・ブルズに加入後、ニュージーランドに移住し2012〜2019年Auckland City FC在籍。2020年からウェスタン・スプリングスAFC、日本に戻り、はやぶさイレブン、福井ユナイテッドFCを経て、2022年から再びAuckland City FCに加入。
2023年4月号掲載
Text: GekkanNZ