こんにちは!GakknaNZスタッフのクロイトリです。縁あって、6月号の読者プレゼントのethique粉シャンプーを使わせてもらえることになったので、使用感などを書いてみようと思います!
手元に届いたこのシャンプー、まず目にして驚くのはそのパッケージの小ささ。シャンプーと言えば350mLとか1Lくらいのプラスチックボトルに入った液体シャンプーを思い浮かべますが、この箱は小さめの紙パックのジュースくらいしかありません。パッケージには50gとありますが、箱の容量でいえば150mLくらいでしょうか。片手の平に収まるほどのサイズです。ethiqueは髪に直接こすり付けて使う固形シャンプーで有名ですが、粉末はどのように使うのか、この量で一体何回分くらいシャンプーできるのか、まずはパッケージを熟読しました。
とりあえず作る
このシャンプー、粉末の状態で売っているのが特徴の一つですが、粉末のまま使うのかと思いきやそうではなく、粉末を水(熱湯)で溶いて液体のシャンプーを作るようです。ちなみに作り方は、以下の通り。
【作り方】
1.粉末をすべて耐熱のJugに空けます。
2.熱湯300mLを加えて、粉末が溶けるまでよく混ぜます。
3.冷ましてからボトルに詰め替えます。冷ましている間に何度か振ります。
・・・と、作り方を読んだだけですでに疑問が発生。300mlの液体(シャンプー)をかき混ぜるための「耐熱Jug」とはどんなものを使えばいいのでしょーか。。Jugとは、ジョッキとか水差しのような、液体をためておくための大きめの容器のことのようですが、水差しは持っていないし、うちにある大きめのビアグラスは耐熱ではありません。台所の棚を探し回っていると、久しく使っていないプラスチック製の麦茶ポットを発見しました。
口が狭くて縦長なので中の液体をかき混ぜるのには不向きな気もしますが、唯一Jugの代わりになりそうな形状の入れ物を見つけて一安心。熱湯に耐えられるかどうか、念のため調べてみると、裏に耐熱温度は120℃と書いてあったのでこれで良しとしました。
早速中身を空けようとパッケージ裏側のシールをはがしていきます。シールには何やら印字が。”I’m home-compostable!”・・・コンポスト可能だそうです。普通のプラスチック製のように見えますが、何らかの種類の生分解性プラスチックなのかもしれません。
とりあえず→プラスチックフリーで作る道具を集める
なるほど、シャンプーのくせにプラスチックではなく紙の箱に入っているのも、プラスチックに見えるけれどコンポスト可能なシールも、このメーカーが徹底してプラスチックごみを減らそうとしている努力の表れなのですね!ニュージーランドの他の地域に並び、オークランドでも生ごみを他のごみと分けて回収する取り組み(Food Scraps Bins)が始まりつつありますが、プラスチックごみは生ごみに先駆けて問題視されてきました。特に大量のプラスチック製の包装は、リサイクルされずに一度の使用で使い捨てされ、ゴミとして埋め立てられたり、海洋汚染の原因となったりしているからです。パッケージ裏面の「プラスチックのボトルは嫌だけど、シャンプーは液体がいい?だったらethiqueの粉末シャンプーはいかが?」といううたい文句もうなずけます。それならばこちらもその熱意に応えるべく、(特に強制されているわけではないけれど)プラスチックフリー(プラスチック無し)でこのシャンプーを作ってみせようではありませんか!
となると、プラスチックの麦茶ポットは直ちに却下。他に我が家にある水差し的なもの(プラスチック以外)を探さなければいけません。しかし、しばらく探してみて愕然としました。台所、洗面所、ガレージなどにある容器という容器が、ほとんどプラスチック製なのです。鍋やオーブンのトレイなどはさすがに金属ですし、食器やコップは陶器のものが多いのですが、タッパーもボウルもバケツもじょうろもプラスチック、特に大き目の容器になるとプラスチック製がほとんど。スーパーのビニール袋がなくなり、ストローやテイクアウェイのスプーンも紙製や木製になる時代なのに、使い捨てでないとはいえ、自分がこんなにプラスチック製品を保有していたのにはやや罪悪感を覚えます。迷った結果、耐熱Jugの代わりは、耐熱ガラスでできた調理用のボウルを使うことにしました。混ぜる道具は木製のレンゲです。実際は何もしていないにも関わらず、これだけで少し環境に配慮したような気分になります。
やっと作れる
作り始める前に思わぬところで時間を食ってしまいましたが、早速作成に取り掛かります。シャンプーの蓋を開けてみるとこんな感じの洗濯洗剤のような白い粉が入っています。粉の状態では完全に無香です。
これをボウルに入れたいのですが、さかさまにしても出てきません。レンゲを使ってほじくってみますが、固くてうまくいきません。どうやら中で湿気って底の方が固まってしまった様子。開封前に数日間バスルームに置きっぱなしにしたのがよくなかったようです。紙製のパッケージは、やはりプラスチックに比べて湿気には弱いですね。しかしこれも環境のため。仕方ないので、パッケージを底から破壊することで何とか全量をボウルに空けることに成功しました。紙なので、簡単に壊せたのはよかったです。
次にここに熱湯を注ぎます。粉の状態では全くにおいがしませんでしたが、お湯を入れるとかすかににおいを感じます。派手な香料の香りではないのですが、なんというか、薬液という感じのにおいです。昔、小学校のトイレの手洗い場にあったシャボネット(薬用手洗いせっけん液)の香りに似ています。一生懸命かき混ぜますが、かたまりをほぐさないままお湯を入れたためか、ダマになってしまい、中々溶けてくれません。とろみをつける料理で片栗粉をダマにしてしまったような気分になり焦りましたが、根気よくかき混ぜていると、トロリとしたなめらかな液体シャンプーになりました。冷めるとほとんどにおいは感じなくなりました。
トロリとした感触は普通の液体シャンプーと似ていますが、市販のシャンプーと比べるとあまり光沢がなくて、触っても水でさっと流し落とせます。ぬるぬるした感触が苦手な筆者は、使う前から期待が膨らみます!
使う
さて、使う前に一応パッケージに書いてある説明書きをチェックします。
【使い方】
少量を取り、頭皮に直接もみ込むようにしてクリーミーな泡を作り、その泡で毛先までを洗い上げます。しっかり洗い流し、必要ならコンディショナーを使います。
作るのは手間取りましたが、使い方は特に難しくはありません。ポイントは、髪ではなく頭皮につけるという点でしょうか。
早速使ってみましょう。通常のシャンプーの時と同じように、まずは髪を良く濡らし、今作ったシャンプーを髪というより地肌に直接塗るようにして揉みこんでいくと、次第にきめの細かい泡ができてきました。普通の液体シャンプーのようにすぐにボリューミーな泡が立つわけではないのですが、泡の密度が高く濃い感じです。
この泡が皮脂や汚れを吸着して落としてくれるようで、洗い流した後は、ベタベタもぬるぬるもせずに、さっぱり。かといって安物のせっけんのように脂分がすべて取り去られてしまったようなギシギシした感じはなく、髪も頭皮もしっとりしているのは、このシャンプーにババスオイルとベタインが入っているからでしょうか。ババスオイルとは、Babassuというアマゾンに生息するヤシ科の植物の種子から取れるオイル、ベタインは植物や海藻に多く含まれる成分だそうです。どちらも保湿効果が高く、乾燥を防ぐので、アンチエイジング効果もあるそうですよ!筆者の髪は絡まりやすいので、念のためコンディショナーも使いましたが、必要ない人もいると思います。筆者の髪の長さは肩下くらいまでのミディアムですが、1回分は大さじ1弱で大体足りました。泡の立ち方は異なりますが、使用量としては、普段使っている液体シャンプーと同じくらいだと思います。洗っている最中は、少し薬っぽいにおいが鼻につきますが、洗い流した後はにおいはほぼ残りません。
保存する
さて、残る問題は、どう保存するかです。作り方の3番目に「3.冷ましてからボトルに詰め替えます。」とあるのですが、問題は、(私が勝手に)プラスチックフリーでやっていること。市販の液体シャンプーの入っているようなポンプ式のボトルが一番便利ですが、残念ながらうちにあるポンプボトルは全部プラスチックです。プラスチック以外で保存容器として使えるものというと、大きめのジャムのビンか、金属の鍋くらい。うーん、正直、面倒くさい。。。今ボウルに入っているものをジャムのビンや鍋に詰め替えても、違いはフタが有るか無いかだけで、大して変わらないように思います。かといってフタがないとゴミが入るし、シャンプーが蒸発してしまうので、じゃあこのボウルにフタをかぶせればいいか!・・・ということで、「ボトルに詰め替え」は省略し、ボウルにガラス製の鍋のフタを乗せました。・・・が、よく見るとそのフタ、取っ手がプラスチック!ここにきて無念のプラスチックフリー失敗となってしまいました。
(罪悪感に苛まれ、写真は撮れませんでした。)
感想
ここまでやってみて一番の感想は、シャンプーの使い心地よりもまずは「プラスチックフリー、やってみると大変」ということ。etiqueが気にしている、シャンプーボトルやビニール袋のような使い捨てを前提としたプラスチックはもちろん、自分の身の回りの品の多くがプラスチックで構成されていることが分かります。元々うちで使っていたシャンプーのボトルもプラスチックですし、スマホにも家電にも洋服にも、プラスチックが使われています。現代では完全にプラスチックフリーの生活は難しいと思いますが、これを機に、使い捨てを前提としたプラスチックはできるだけ使わない、買わないように心がけようと思いました。
シャンプー自体は、私は泡が濃厚なのが気に入りました。初めに派手に泡立つシャンプーほど、洗っているうちに泡が消えて行ったりしますが、このシャンプーの泡は最後まで濃厚なまま洗えます。「For touchy scalps」とあるので、私はそんなに実感はありませんでしたが、敏感肌さんにも向いていると思います。逆にこのシャンプーに向いてないのは、作る手間を楽しめないせっかちな人、シャンプー中は素敵な香りに包まれたい人、シャンプーに15ドルは高価だと感じる人、でしょうか。無香料が苦手な人は、同じシリーズでお花やシトラスの香り付きのものもあるので、試してみたらいいかもしれません。ちなみにこのシャンプー、作った後は「6か月以内に消費してください」だそうです。
まとめ
・粉シャンプー購入後は、乾燥したところで保管する!湿気の多いところに置いておくと固まってしまいます!
・シャンプーを作る前に、できればプラスチックではない耐熱Jug、保存用ボトル(ポンプ式がオススメ)を入手しよう!何度も使えるガラス製のポンプボトルは、お値段10ドルくらい〜売られているようです!
・万一粉末にかたまりがある場合、お湯を注ぐ前にかたまりを壊しておこう!粉末が固まった状態でお湯を注ぐと、ダマになり溶かすのに苦労します!
・シャンプーはほぼ無香料。頭皮に揉みこむように洗うと、きめの細かい泡が立って、洗い上がりはぬるぬるせずサッパリ!
・でもババスオイルとベタインのおかげでシットリ!
・作ったシャンプーは6か月以内に消費しよう!
※この使用感は、個人の感想です。使用感や効果には個人差がありますので、ご理解の上ご使用ください。
追記
私は家族と一緒に使ったので2,3週間で使い切りましたが、使い始めのころと使い終わりのころでシャンプーの質感やにおいに差がありました。作った直後は「あまり光沢がない」と書きましたが、使い終わりのころには普通のシャンプーのような光沢が見えました。ボウルにフタをして保存していたせいで水分が蒸発し、シャンプーが濃縮されたせいだと思います。また、その結果か、若干においがきつくなってきたように思いました。ただ、ぬるぬるしない触感はずっと変わりませんでした。パッケージには「6か月以内に消費する」とありましたが、6か月と言わず、なるべく早く使い切った方がいいと思います。300mL程度の量なので、髪が短い人が一人で使っても、毎日使えば2か月くらい以内には使い終わるでしょう。
また、実は作った後に発見したのですが、ethiqueのウェブサイトに作り方動画が載っています!
ちなみに動画でシャンプーを作るのに使っていたのは、大きめのガラス計量カップ、金属製のスプーン、そしてなんと、プラスチック(のように見える)シャンプーボトル!パッケージ裏面に書いてあった「プラスチックのボトルは嫌だけど、シャンプーは液体がいい?だったらethiqueの粉末シャンプーはいかが?」は何だったのだと一瞬思いましたが、私も最終的にプラスチックの取っ手の付いたフタで妥協した身なので、人のことは言えません。きっとこれは「頑張りすぎなくていい」というethiqueからのメッセージなのかも?!「プラスチックフリーは大変すぎる」とあきらめてしまうより、自分にできることから始めてみようという精神が大事。使い捨てせずに繰り返し使うモノならプラスチックでもいいのです。このシャンプーを買っただけで、すでにプラスチックシャンプーボトルとビニール袋を使い捨てせずに済んだのですから。あなたも今日から、自分にもできるプラスチックフリー生活始めませんか?